歩速=歩く速度の目標は?【科学的根拠まとめ】

「健康にいいから早歩きしたほうがいいよ!」って言われたことありませんか?それ本当でしょうか。そうだったら、どれくらいの速度が理想なのでしょうか。

この記事では、歩速=歩く速度の目安について、科学的根拠を紹介します。

歩く速度についてもエビデンスがあるのです。是非ご確認下さい。

 

歩速=歩く速度の目標は?

歩速=歩く速度の目標は?

若くて元気なら歩く速度は早い。元気なくなってくると歩く速度は遅くなる。

当たり前ですね。

これは歩く速度が結果となっています。

 

一方、早く歩くことで(歩く速度を原因として)健康に良いのでしょうか。

歩く速度が早くなれば運動強度が増えます。

一般的に、運動強度の高い運動をすることが重要だと言われており、まず間違いなく良いことなんだろうと予想できます。

 

でもどれくらい早く歩けばよいのでしょうか?

それを知っておけば、毎日の生活習慣をちょっと変えることができ、それを継続すれば健康に繋がります。

とても重要なことですが、原著論文を解釈する必要があるので、あまり解説している文章は目にしません。

この記事(このブログ)では、論文からの根拠をわかりやすく解説していきます。

 

 

歩速の平均値

歩速の平均値はいくつかの論文で発表されており、そのメタ解析を紹介します(Physiotherapy 2011;97(3):182-189)。

 

・男性の場合、20-29歳が1.36m/s、30-59が1.43m/s、60-69歳が1.34m/s、70-79歳が1.26m/s、80-89歳が0.97m/sでした

・女性の場合、20-39歳が1.34m/s、40-49歳が1.39m/s、50-59歳が1.31m/s、60-69歳が1.24m/s、70-79歳が1.13m/s、80-89歳が0.94m/sでした

 

よく道案内で見かける「駅まで徒歩10分!」の徒歩は、1分間に80m、つまり1.33m/sが基準となっています。

合致した結果ですね。

勿論身長や民族、年齢によって異なりますが、だいたい1m/sを越えていれば悪くない印象です。

 

 

歩速の科学的根拠

歩速の研究には、大きく分けて2パターンあります。

1) 今の歩速がどの程度将来の疾患リスクと関連するか

2) 介入により歩速が改善するか

 

1)の研究が一番行いやすく、エビデンスが豊富です。2)は病気になった後のリハビリテーションや高齢者のコミュニティに対する介入に関する話です。ここでは1)を紹介します。

 

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・44研究のメタ解析ですが、歩速が0.1m/s減るごとに12%の死亡リスク増加、8%の心血管病リスク増加と関連することが示唆されました(J Am Med Dir Assoc. 2018;19(11):981–988.e7.)。

→ただheterogeneityが高く、フォロー期間も短いものが多いので、すごく信頼できる結果ではありません。

→また、調整した結果とはいえコホート研究をもとにしているので、因果関係ではありません(歩速を原因としているかはわかりません)。

・最初に世の中にインパクトを与えたメタ解析は2011年のもので、結論はあまり変わっていません(JAMA. 2011;305(1):50–58.

 

・1000人程度の心房細動のある高齢者についてのコホート研究ですが、歩速が遅いとうつ、不安、認知症のリスクが高い結果となりました(JAHA 2019;8:e013212)。

・異なる3つのコホート研究の解析でも同様の結果でした(Exp Gerontol. 2020;129:110783.)。

 

・2009年のsystematic reviewですが、次のようにまとめています(J Nutr Health Aging. 2009;13(10):881–889.)。

>1/3m/s:めちゃ元気

>1m/s:死亡率低い

<1m/s:1年死亡率上昇、入院率高い

<0.8m/s:2年死亡率上昇、ADL低下

<0.7m/s:死亡、入院、施設入所、転倒のリスク上昇

<0.6m/s:認知機能低下、施設入所・死亡リスク上昇

<0.42m/s:ADL低下、歩行機能低下

<0.2m/s:かなりフレイル

<0.15m/s:施設入所

 

現在のところ、特に高齢者において、歩行速度はその後の悪い予後を示す重要な指標であることがわかっています。

しかし「歩行速度が遅いことが原因として予後が悪いのか」はわかっていません

 

 

では早く歩いたほうが良いとする根拠は?

では早く歩いたほうが良いとする根拠は?

実は「歩く速度を早めれば健康に良い」ことを証明するのはほぼ不可能です。

このためには、歩く速度を早くする介入をランダム化して、その集団を長期フォローする必要があります。

→しかし、歩く速度を早くする介入は、歩く速度だけに作用するわけではありません。また、歩く速度を早くする介入は難しいし、どのくらいの期間やるかも問題となります。

→その研究の結論は、その介入手法が健康とどの程度関連するかが分かるのであって、必ずしも歩く速度の影響でないわけです。

 

一方、運動強度という観点で速歩きを議論することは可能です。

健康のためには運動時間だけでなく運動強度も重要だと考えられており(詳細は別記事)、速歩きにより運動強度が増すため、おそらく健康によいだろうと言えるのです。

 

*運動強度はMETsという指標で評価されることが多いですが、平地での歩行については次のとおりとされます。

ゆっくり歩行(3.2km/h=0.89m/s):2.8 METs

普通の歩行(4km/h=1.1m/s):3 METs

やや早い歩行(4.8km/h=1.3m/s):3.5 METs

早い歩行(5.6km/h=1.6m/s):4.3 METs

 

中等度〜強度の運動が3-6 METsと定義されます(WHO)。ガイドラインでは、中等度〜強度の運動を最低週に150分すべきとあります。

よって、早めに歩くのは理にかなっている=健康に良いだろうと考えられます。

 

早めに歩くことを意識することで、将来の歩速の減少を抑えられるかは分かりませんが、早く歩くことを習慣化すれば大きく期待できます

是非、早く歩くことを意識し、習慣にしてみましょう。

 

 

結論

早めに歩ことを意識するのは、中等度の運動をするという意味で理にかなっています。

歩測の低下は悪い予後と関連しますが、それは歩測の低下を原因とするかはわかりません。

ではまた。

-運動etc

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