瞑想、マインドフルネス、流行っていると思います。
これらは最近、実際に健康効果が科学的に証明し始められています。
瞑想するとやせるって本当でしょうか?
この記事では、瞑想の定義や方法、瞑想に関する科学的根拠を紹介します。
実際に健康に良さそうなことを実感してもらい、生活の一部に取り入れてみて下さい。
瞑想の定義は?
瞑想は自分でできます。特にお金を使う必要ありません。
定義はこのようになっているようです(Curr Opin Psychol. 2019;28:172–178.)。
An active mental process involving the pursuit of awareness, attention, concentration and general focus of the practitioner’s mind.
「なにかに集中して気を紛らわされない状態をactiveに維持すること」くらいでしょうか。
日本語訳が難しいので、是非このまま理解下さい。
瞑想の方法は?
瞑想の方法はたくさんありますが、主には4種類ほどに分類されるようです。
・Focused attention mediation:なにかに集中する。特に腹式呼吸に集中するのが禅
・Open monitoring mediation:自分の感覚や考えを客観的にモニターする
・Compassion mediation:苦しんでいる人を心から同調し、救いたいという意識に気づく
・Loving kindness mediation:自分、友達、苦手な人、全世界の順に愛を送る
なかなか和訳・要約が難しいのですが、こんな感じでしょうか。
もし間違っている部分があれば、誰か詳しい方、教えて下さい。
私はFocused attention mediationをやっています。
具体的には、目を閉じて座り、自分の呼吸だけを意識するだけです。
なにか考えが出てきたりしたら、「なにか自分が考えているということ」に気づき、それを頭から除去します。
これを維持して5-10分。こんな感じです。
プロに教わったわけでないですが、文献上はこれこそがfocused attention mediationです。
1日どれくらいやったらよいかは科学的にわかっておらず、5-10分くらいで良いかと思われます。
やればわかりますが、すぐに神経が研ぎ澄まされ、すっきりします。
この長期的な健康効果が、色々な疫学研究で調べられているのです。
瞑想の健康効果:科学的根拠
大規模のコホートやランダム化研究をベースとした質の高いエビデンスはありませんが、いくつか重要な報告があります。
これをまとめたScientific StatementがAHAから発表されています(J Am Heart Assoc. 2017;6:e002218.)。これをもとに紹介していきます。
ストレス低減
瞑想によるストレス低減効果は小規模のランダム化研究で調べられています。
・例えば循環器クリニック患者60人を対象としたランダム化研究にて、自覚的なストレス、怒りが低くなったと報告されています(J Am Soc Hypertens. 2016; 10:763–771)。
・59人の高血圧患者を対象としたランダム化研究では、禅によりQOLが向上したと報告されています(Geriatr Gerontol Int. 2015; 15:1158–1164)。
なぜストレスが低減するか?
唾液中のコルチゾール、アミラーゼ、炎症性サイトカインなどに影響するという報告がありますが(Psychoneuroendocrinology. 2013; 38:1521–1531.)、はっきりとしていません。
血圧
多くの小規模ランダム化試験が行われ、そのメタ解析も複数出版されています。
・2015年の12のランダム化試験のメタ解析では、超越瞑想法という方法で4 mmHg程度の収縮期血圧低下が得られると報告されました(J Hum Hypertens. 2015; 29:653–662)。ただし瞑想を継続できたのは60%程度しかいませんでした。
・血圧低下効果は12ヶ月程度持続するようです(Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2012; 5:750–758.)。
しかし低下しないという報告もあったり、populationもまちまちなので、一概に「血圧を下げる」とは現時点では言えなそうです。
もちろんある程度期待できますが。
メカニズムは不明です。
禁煙
瞑想は禁煙法としても効果的かもしれません。
・2016年の4つのランダム化試験のメタ解析では、瞑想により禁煙維持率が上昇すると報告されました(J Health Psychol. 2017;22(14):1841–1850.)。
→4ヶ月時点での禁煙率は瞑想群で25%、コントロールで14%でした。
瞑想により、衝動を抑える力、自己管理能力が向上する事がメカニズムかもしれません(Proc Natl Acad Sci USA. 2013; 110:13971–13975)。
心血管病予防
現在のところ、心血管病予防や死亡率を下げるエビデンスはないです。
・2014年のコクランレビューにより、根拠となりうる研究はないと報告されています(Cochrane Database Syst Rev. 2014;(12):CD010359)
・死亡率を下げると結論した小規模のランダム化研究がありますが、3年のフォローアップ期間中ずっと瞑想やってたかは不明で、瞑想が原因とは言えなそうです(J Pers Soc Psychol. 1989;57(6):950–964.)
長期フォローを必要とするアウトカムについては、どのように瞑想を暴露因子として設定するか難しく、まだまだ研究過程です。
結局瞑想した方がいいのか?
上述の通り、「健康に良い」と結論するに足る科学的根拠は十分でありません。
しかし、健康に良いことが多面的に示唆されており、かつ明らかな副作用が報告されてないことから、おそらく瞑想したほうが(しないより)良いだろうと言えそうです。
「瞑想が健康に良いか」を厳密に疫学研究で証明するのはかなり難しいし多大なお金がかかるのです。
そこまでしなくても、すぐできるし健康に良さそうなんでやればいいんです。
1日5分でもいい。毎日瞑想やってみましょう。
結論
瞑想は健康に良さそうな傍証はたくさんありますが、科学的に健康に良いとは言い切れていません。
でも毎日5分、瞑想やってみて下さい。きっと健康によいです。
ではまた。