人工甘味料は本当に危険か、科学的に分析する

〇〇ゼロ、ノンカロリー〇〇、ダイエットコークなど、人工甘味料入りドリンクが大変ポピュラーになっています。これらは、砂糖入り飲料(清涼飲料水)が体に悪いという事実に基づき、市民の健康意識の高まりとともに普及された経緯があります。が一方、「人工甘味料は逆に糖尿病のリスクを高める!」といって敬遠されることもよくあります。本当なのでしょうか?仮にそうだとしても、そのリスクは「砂糖入り飲料」より高いのでしょうか?

この記事では、2019年12月時点での人工甘味料の危険性をまとめ、実際にどう考えて飲むべきか、科学的根拠に基づいたガイドを提示します。この記事を読むことで、甘いものに関して自分の選択に自信が持てるようになるでしょう。

人工甘味料とは?

人工甘味料とは?

人工甘味料とは、砂糖より数百〜数万倍甘いため、砂糖と同じ甘さを出すために必要な量が少ない、人工的に合成された物質です。人工甘味料自体はカロリーを少し含むものもありますが、極微量で甘くなるので、カロリーフリーが謳われます。「砂糖不使用」「カロリーゼロ」「カロリーオフ」と表記してある甘い食べ物には、例外なく人工甘味料が使用されています。

人工甘味料にはたくさん種類がありますが、メジャーなものは次の6つ:アスパルテーム、アセスルファムK、サッカリン、スクラロース、ネオテーム、アドバンテームです。

※糖アルコール

人工甘味料に似たものに、糖アルコールというものがあります。糖アルコールは、砂糖の25%〜100%くらいの甘さですが、カロリーは低い、自然に存在する成分です。砂糖と異なり、糖アルコールは虫歯や血糖値に急激な上昇を来しません。お菓子だけでなく、歯磨き粉や医薬品にも使われます。

代表的には次の6つ:ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、エリスリトール、マルチトールです。

糖アルコールは、人間が摂取して健康に影響することはないとされています。例外は、キシリトールなどを摂取し過ぎた時に生じる腹痛や下痢です(Int J Dent. 2016;2016:5967907.)。これは糖アルコールの吸収が遅いため、小腸に多量の水分が引き込まれてしまう事が原因と考えられています。この症状は一過性で、かつ摂取し続けると症状が起きにくくなります。ちなみに、エリスリトールはこの副作用がありません。

以下の情報は、糖アルコールを含まない、人工甘味料に関するものです。糖アルコールは危険ではありません。

人工甘味料の危険性は?

はじめに言っておきますが、結論ははっきりとしていません。健康に悪影響する可能性も十分にあります。以下に、人工甘味料入り飲料に関する最新の研究を紹介します。

人工甘味料は血糖値を上昇させることはなさそうです(Eur J Clin Nutr. 2018;72(6):796–804.)。29個のランダム化試験のメタ解析で、多くはアスパルテームかサッカリンに関するものです。具体的には、人工甘味料摂取後血糖値は上昇せず、時間経過とともに下がっていく傾向がみられました。

糖尿病を増やすかどうか、結論が出ていません砂糖入り飲料よりリスクが高い可能性はあります。ランダム化試験のメタ解析では、水と比べ、人工甘味料入り飲料に有意なリスク上昇は認められませんでしたが、試験の数が少なく(1〜5個)、観察期間も6ヶ月ほどと短く、信頼性は低いです(CMAJ. 2017;189(28):E929–E939.)。一方、コホート研究のメタ解析では、人工甘味料入り飲料を1日1本飲むごとに、2型糖尿病のリスクが25%上がると報告されています(Br J Sports Med. 2016;50(8):496-504.)。砂糖入り飲料のリスク上昇は、1日1本飲むごとに18%でした。

※しかし、これはreverse causationである可能性が非常に高く、信頼できる結果とは言えません。つまり、太ってきて糖尿病リスクが高い人が、気にして人工甘味料入り飲料を選んでいるということです。糖尿病の発症は、人工甘味料が原因でない可能性を裏付ける研究もあります(Am J Clin Nutr. 2011;93(6):1321–1327.)。

長期的な体重増加には寄与する可能性があります。短期のランダム化試験のメタ解析では、水と比べ、体重への影響はなさそうでした(CMAJ. 2017;189(28):E929–E939.)。が、コホート研究のメタ解析では、体重、BMI、肥満の頻度が上昇することが示されています(同論文)。糖尿病と同様、これはreverse causationの可能性がありますが、バイオロジカルにも説明されます:人間の脳は甘いものに反応し、さらに甘いものを食べたり飲んだりする欲求が生まれるように設計されているということです。砂糖に比べ、サッカロースは満腹中枢を刺激しにくい(満腹感を得にくい)ことがMRIで示されています(Neuroimage. 2008;39(4):1559-69.)。ホットな研究分野で、まだ結論は出ていませんが、違うものを食べることにより体重増加に寄与する可能性が示唆されています。

・その他、脳卒中や心筋梗塞のリスクを少し上昇するというコホート研究の結果がありますが、確定的な結果とは言えません(CMAJ. 2017;189(28):E929–E939.)。

癌についてはヒトの報告はほとんどありません。アスパルテームはネズミでは癌発症に関係ない(Arch Environ Occup Health. 2015;70(3):133–141.)という論文はあります。

まとめると、砂糖入り飲料と比較しカロリーが少ないので、血糖値の急激な上昇には寄与しません。が、食欲を刺激して他のものを摂取することで肥満や糖尿病につながることは否定できない、というのが2019年12月現在の結論です。

じゃあどうしたら良いの?水飲んで。

じゃあどうしたら良いの?水飲んで。

2018年にアメリカ心臓学会とアメリカ糖尿病学会が声明を出しています(Circulation. 2018;138(9):e126-40.)。これによると・・・

砂糖入り飲料は避けたほうがよく水を替わりに飲むのが一番良い。フレーバー入りでもOK。砂糖や人工甘味料入りはだめ。

・でもどうしても甘いものを飲みたい人は、人工甘味料入り飲料を一時的に飲んでもよい。だが、完全に砂糖入り飲料を人工甘味料入り飲料に置換する行為は止めておいたほうが良い。なぜなら、他のお菓子や飲み物を飲み、結果的にカロリー摂取過多となってしまう事態を引き起こし得ないから。

・健康への悪影響が示唆されている以上、影響されやすい小児は飲むべきでない

ということです。

上述の科学的根拠を基とした私の日本人への見解は、以下のとおりです。

スポーツ中にスポドリとして人工甘味料入り飲料を飲むことは理にかなっていない。そもそも水でなくスポドリが必要な状況は限られており、かつスポドリによる運動パフォーマンスの上昇は炭水化物(砂糖)がどれくらい飲料中に入っているかが重要だから(詳細こちら)。

コカコーラゼロを飲むんだったら、スパークリングウォーター(フレーバーあり)を飲んだほうが良い。

・どうしても甘いものが飲みたいときは、人工甘味料入り飲料を飲む。ただしお菓子を同時に食べないように注意する。

いかがでしょうか。割と実践的だと思います。

結論

人工甘味料は、そこまで悪い危険性は立証されていません。研究中です。

いたずらに恐れず、砂糖入り飲料の良いalternativeとして使いましょう。が、結局水やスパークリングウォーターが良いので、そちらに移行していきましょう。

ではまた。

-食事と健康

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