「食事バランスガイド」は健康的な食事を表現できているか

中学高校で誰しも習う、食事バランスガイド。日本人の食事ガイドラインとも言えます。食事バランスガイドに従えば、食事の健康効果を享受できる事が期待されます。

このガイドに従うことで、死亡率低下効果も示されています。

実際、食事バランスガイドはどの程度最新の科学的根拠に基づいているのでしょうか。この記事ではそれを検証しました。

 

 

食事バランスガイドの全容

健康のための「食事バランスガイド」の全容

 

これが食事バランスガイドです。見たことある人多いと思います。農林水産省のホームページからダウンロードできます。

「自分の食事をスコア化し、コマが倒れないようにバランス良く摂取することで、健康を目指すこと」が目的です。

 

何か健康に良いものを沢山食べるのでなく、あくまで全体のバランスを保つことが目標なのです。

食事で構成されたコマを、走って(運動して)回すのです。

おしゃれですね。

 

 

食事バランスガイドを現在のエビデンスと比較した

食事バランスガイドのユニークな所は、「バランス」を重視していることです。

これは妥当です。

アメリカのガイドラインにも、「energy balanceを重視すべき」事が明記されています。

 

ちなみに、アメリカの食事ガイドラインはこれです。

計436ページ。エビデンスが余す所なく詰められています。興味ある方は是非・・。

 

それでは食事バランスガイドと最新のエビデンスを比較していきましょう。

バランスはここでは置いておきます。

 

主食🍚

食事バランスガイドでは、主食を5-7 serving size (SV)とることが推奨されています。

内容は、基本的に精製穀物からなっていることがわかります。

 

✔「ご飯」は、白米なら精製穀物、雑穀米なら全粒穀物なので、どちらを意図しているか不明です。が、少なくとも「全粒穀物を推奨する記述」はありませんでした

✔日本人において精製穀物(白米)が健康に悪いというエビデンスはありませんが(詳細こちら)、「全粒穀物は健康に良い」というエビデンスがあります(例えばLancet. 2019;393(10170):434–445.)。

 

▷少し全粒穀物について言及して欲しいな、と思いました。

 

副菜🍅

食事バランスガイドでは、副菜を5-6 serving size (SV)とることが推奨されています。

内容をみてみると、基本的には野菜、ポテトフライ、コロッケ、味噌汁からなっています。

 

野菜と食べれば食べるほど良いとされており(詳細こちら、例えばBMJ. 2014 29;349:g4490.)、毎日5-6 SVは結構良い量なので、reasonableかと思われます。

ポテトは死亡率と関係なさそうですが(Crit Rev Food Sci Nutr. 2019;1–14.)、ポテトフライはあるかもしれません(Am J Clin Nutr. 2017;106(1):162–167.)。ちなみにポテトは野菜でありません(詳細ここ)。

コロッケは基本的に赤肉が入ってると考えると、あまり健康によくないかも(ここで詳細)。そんなにしょっちゅう食べる人はいないと思いますが。

味噌汁は発酵性大豆食品で健康によい、とする最近の報告と、男性においては胃癌との関連があるかもという話(詳細こちら)があります。おそらく、減塩味噌を使った味噌汁がベストです。

 

▷ちょっと加筆して欲しいと思いました。

 

主菜🍖

食事バランスガイドでは、主菜を3-5 serving size (SV)とることが推奨されています。

主菜の内容は、基本的には肉、魚、卵、大豆製品(納豆、豆腐)からなっています。肉野菜炒めの‘野菜’は副菜に分類されています。

タンパク質のソース、という位置付けです。

 

✔このうち、大豆製品をメインに食べるべきです(例えばEur J Clin Nutr. 2016;70(2):155–161.Mol Nutr Food Res. 2019;e1900751.)。

✔肉のうち、加工肉を控え、非加工の白色肉を食べるべきです詳細こちら)。

✔卵に関しては、直近のumbrella review [メタ解析のメタ解析] では心臓血管病と関連がないとの結論でした(Public Health Nutr. 2019;1–21.)。コレステロールが上がるので健康悪いという研究もありますが(JAMA. 2019;321(11):1081–1095.)。

 

▷日本人は魚の摂取量が多いですが、肉と魚で悩むことも多いです。はっきりと魚を推奨してもらえると、嬉しいです。

 

牛乳、乳製品

食事バランスガイドでは、乳製品を2 serving size (SV)とることが推奨されています。

カルシウムの供給源という位置づけです。

 

✔牛乳は強力なカルシウム源です。日本人はカルシウム不足気味なので、良い選択肢ではあります。が、他にもたくさんのソースがあることをしっておきましょう(詳細こちら)。

✔乳製品の中でも、牛乳は健康への作用は少なく、ヨーグルトは良いかもしれません詳細こちら)。勿論無糖のものです。

 

▷ちょっとヨーグルトを強調しても良いのかな、と思いました。

 

果物🍊

食事バランスガイドでは、果物もしくは100%フルーツジュースを2 serving size (SV)とることが推奨されています。

 

✔果物は、とればとるほどよいとされています(詳細こちら、例えばBMJ. 2014 Jul 29;349:g4490.)。2SVはちょっと少ないかも。

✔フルーツジュースは糖尿病発生を増やすとされています(例えばBMJ. 2015;351:h3576.)。果物とフルーツジュースは同列に語るのは難しいです。

 

100%フルーツジュースなら果物と同じだろう、というのはよくある間違いです。

 

 

食事バランスガイドの真相

食事バランスガイドは、農林水産省と厚生労働省が作成した「食生活指針」を、具体的な行動に結びつけるツールとして作成されました(農林水産省HP)。

食生活指針がエビデンスに準拠しているのでしょうか。

 

少しみてみると、横断研究と(因果関係でなく)相関関係がエビデンスの主体となっており、コホート研究以上の研究は引用されていなそうです。

作成した頃は日本人に関する科学的根拠があまりなかったのかもしれません。

最近たくさん論文が出てきています。アップデートすべき時かもしれません。

 

 

食事バランスガイドを使った研究

2016年にBritish Medical Journalという権威の高い雑誌に、食事バランスガイドを使った日本人の研究が出版されました(BMJ. 2016; 352: i1209.)。

食事バランスガイドに従う人は従わない人と比較し15%死亡率が低いという結果となりました。驚くべき結果です。

 

この理由は、おそらく「バランス良く食事を摂る」ことにあるんだろうと考えられます。バランスは定量化が難しいですが、食事バランスガイドで(半)定量化できています。

素晴らしいスコアですね。

 

最新のエビデンスを追加し、更に良いガイドラインとなることを望んでいます。

 

 

結論

食事バランスガイドは、食事のバランスをうまく定量化している、よい基準です。

少しアップデートすると、より素晴らしい指針になりそうです。

ではまた。

-食事と健康

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