ココナッツオイル、健康に良さそうですよね。植物性油ですし。
しかし、これに疑問を投げかける研究がいくつかあり、それをまとめたメタ解析が出版されました。
この論文を解説していきます。
本当にココナッツオイルは健康に良いのか。
ココナッツオイルって健康に良いの?
ココナッツオイルが健康に良いと予想するのは、自然ですね。植物性だから。
栄養素的には、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を多く含み(50%近く)、中鎖脂肪酸は健康によいとされています。
しかし実はココナッツオイルは、
・中鎖脂肪酸の中でもlauric acid (12:0)がメインで、これは構造上は中鎖脂肪酸だが、他の中鎖脂肪酸とは異なる代謝の動きをとる
・25%近くが飽和脂肪酸である(飽和脂肪酸は悪い:この記事参照)
ということで、オリーブオイルなど他の植物性油とは明らかに違う性質をもっています。
ココナッツオイルが健康に良いかは議論の余地があるトピックで、色々な研究が行われてきました。
具体的には、コレステロール値がどう変化するか、興味のあるポイントです。
それをまとめたメタ解析がCirculation(Circulation. 2020;141(10):803‐814.)に発表され、その一般向け解説がJAMA(JAMA. 2020;323(16):1540–1541.)で行われました。
これを解説していきます。
どういう研究?
17個のランダム化試験のメタ解析です。
どういうランダム化試験かと言うと、「ココナッツオイル vs non-tropical vegetable oil*」のものです。
*non-tropical vegetable oilとは、いわゆる植物油。
→具体的には、パーム油、カノーラ油、オリーブオイル、サンフラワーオイル、大豆油などです。
最低2週間このどちらかを投与して、血中のコレステロール値などを比較した研究が集められました。
どうなったでしょうか・・・?
ココナッツオイルはコレステロールを増やした!
メインの結果です。
ココナッツオイルは他と比べ、
総コレステロールを15 mg/dl
LDLコレステロールを10 mg/dl
HDLコレステロールを4 mg/dl
増やしました。
<その他の分析>
・比較対象をパーム油のみとした場合でも、結果は同様でした。
・比較対象をバターとするとココナッツオイルはやや良さそうですが、確定的ではありません。
よって、ココナッツオイルはその他の植物油と比較し、LDLコレステロールを上げる=健康に悪い、という結論となりました。
*LDLを増やすのは悪いけど、HDL増やすのは良いんじゃないの?と思われる方へ。
これはそうとも限らないと言われています。
LDLが高い状態は悪い(心血管疾患になりやすい)しHDLが低い状態も同様です。しかし、
・前者は悪いのはLDLのせい(LDLを下げると心血管疾患になりにくくなる)ですが、
・後者はHDLのせいとはいえなさそう(HDLを上げると心血管疾患になりにくくなるとは言えない)
というのが、最近の見解です。
解釈は?
ココナッツオイルは良い。中鎖脂肪酸だから、ポリフェノールが豊富だから・・と言われますが、
そういう議論よりこの研究の方が意味があります。
おそらく、ココナッツオイルはそこまで(その他の植物油ほど)健康に良い、とは言えなそうです。
なので健康食品としてココナッツオイルをオイルを取るのは止めといた方がよいと思われます。
オイルを塗るのは・・・知りません。
ではまた。