食物繊維をとれば腸内環境は良くなるか【科学的根拠まとめ】

食物繊維が健康に良いのは誰でも知っています。

でもなんで健康に良いのか?

いくつかメカニズムが言われていますが、その一つが「腸内環境の改善」。

より詳細に言うと、腸内細菌のバランスが良くなる。

これについて、今までのエビデンスをまとめた報告を紹介します。

 

 

食物繊維をとれば腸内環境は良くなるか

食物繊維をとれば腸内環境は良くなるか

腸内環境=腸内細菌。

健康に極めて重要だと考えられています。

栄養素を合成、化学反応を起こす役割、免疫系への作用があり、結果糖尿病の発症や心臓病に関連することが報告されています。

 

腸内細菌って、数兆個います。

どうやって、「良い腸内環境」を定義するのでしょう?

いくつか指標があります。

例えば、、

α-diversity:どれだけたくさん別の細菌がいるか(richness)とその数の割合(evenness)からなる指標。色々な疾患と関連性がある。

ビフィズス菌、ラクトバチルス属:これらは健康な人に多い

腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(SCFA):免疫系を制御する

これらを用いて、「腸内環境が良い」と科学的に言うのです。

 

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聞いたことあるかもしれませんが、食物繊維が、腸内環境を整える作用があると注目されています。

何故かというと

食物繊維は吸収されず、(腸内細菌がいる)大腸まで届くからです。

*食物繊維の健康効果についてはこの記事を参照下さい。

 

ということで、「食物繊維の摂取が腸内環境を変えるか」という因果関係が調査されてきました。

因果関係なので、ランダム化試験です。

今回紹介するのは、今までのランダム化試験をまとめた報告です(AJCN 2018 10.1093/ajcn/nqy041)。

*2018年とちょっと前の報告ですが、以降大きくエビデンスは変わっていません。

 

 

どういう研究?

ランダム化試験のメタ解析です。

 

・対象は健康な方(肥満は含む)

・介入方法は、食物繊維を増やす指導(カウンセリング)、シリアルを追加するなどの食事介入、食物繊維のサプリ、のいずれか

・アウトカムはα-diversity, 「良い」腸内細菌の多さ、SCFAなど

 

結果、メタ解析の対象となったのは58個のRCTでした。

 

 

結果は・・・

* I2とはheterogeneityの指標で、高いとメタ解析の質が悪いことを意味します。詳細はこちら

 

<α-diversity

ちょっと細かいですが、α-diversityにも色々な指標があります。

それぞれの結果を紹介すると、

・Shannon diversity index(richnessとevennessを合わせた指標)

…6研究のまとめ。I2=53%

食物繊維により変化なし(p=0.48)

・operational taxonomic unitsの数(evennessの指標)

…3研究のまとめ。I2=0%

食物繊維により変化なし(p=0.82)

 

<良い腸内細菌の多さ>

・ビフィズス菌

…51研究のまとめ。I2=85%

食物繊維により増えた!(p<0.00001)

・ラクトバチルス属

…23研究のまとめ。I2=49%

食物繊維により増えた!(p=0.02)

 

*他いくつかの菌が解析されていますが、有意な変化なしです。

 

<SCFA

・SCFAの合計

…13研究のまとめ。I2=0%

食物繊維により変化なし(p=0.19)

 

*SCFAの種類(酢酸塩など)も解析されています。酪酸はぎりぎり有意差あり(p=0.05)でしたが、他は変化なしでした。

 

 

解釈は?

食物繊維の摂取によって、α-diversityという腸内細菌バランスの指標は変化しないが、特定の良い菌(乳酸菌の種類)は増やす、という結果でした。

 

解釈において重要なポイントは3つ。

✔数週間の介入によるランダム化試験がほとんどなので、長期的な影響はわからないということ

・α-diversityがどうなるか、というのが最も重要なポイントですが、それが食物繊維によって変わらなかったのは、単に介入期間が短いからかもしれません

→観察研究では、食物繊維を食べている人はα-diversityが大きい、というデータがあります

→長期のランダム化試験がないのでなんとも言えないですが、少なくとも短期の介入で良い菌が増えることを考えると、長期的に食物繊維を食べることでα-diversityが増える=腸内環境が改善することは期待されます。

 

✔全体的にheterogeneityが高いです

・これは、参加者の腸内環境の状態がかなりバラバラであること、介入の方法もバラバラであることによります

→heterogeneityが高い=メタ解析の信頼性が低い、という意味です

→これは、この種の研究上どうしようもないことです。

→が、ベースラインの腸内環境の状況や介入の方法(どういう食物繊維を使うか)はかなり重要だ、という認識は大事です。

 

✔上にまとめた以外のアウトカム(その他の菌種など)については、n数が足りず、「本当に関連性がないか」言えない状況です

→他にもたくさんの研究が行われ、それらを含むメタ解析が再度行われれば、「関連あり」との結論になるかもしれません

 

 

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まとめると、「まだ研究途上だが、食物繊維で腸内環境がよくなることは十分期待される」となりそうです。

こんな簡単そうなことを言うために、果てしない努力が必要です。

 

なぜそんな努力が必要なんでしょう?

例えば、将来こんなことができるようになるかもしれません:

・便検査で「腸内環境の悪い人」を特定

→彼らに食物繊維のサプリを処方

→腸内環境が改善

→糖尿病や心臓病のリスクが低下

…これを保険診療の枠組みで行う

 

良さそうですね。

 

でも、自分で食物繊維が取れるなら、それでいいんですよ

それができない人が圧倒的多数なのです。

玄米やバナナや野菜、毎日のルーティンに取り入れましょう。

 

 

結論

食物繊維によって腸内環境がよくなるかはすごくはっきりしていないが、期待はされる。

食物繊維は毎日取ったほうがよい。

ではまた。

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