魚の健康効果について、正しい事を全部知ろう

魚に関しては健康に良いという常識がある一方、詳しい方は水銀などによる魚の汚染についても言及されます。結局食べたほうが良いのでしょうか?肉好きの方は、どの程度意識して魚を食べると良いのでしょう?

この記事では、科学的に、魚の健康効果についての真実について、網羅的に語ります。これを読むことで、魚に関する疑問はほとんど解けると思います。

魚の健康効果に関する議論

魚の健康効果に関する議論

よく聞く議論は次のようなものです。魚はオメガ3脂肪酸が体に良いが、水質汚濁のせいで、ダイオキシンやPCB汚染されている魚もある。だから食べ過ぎは禁物だ、、。この議論は正しいのでしょうか。

結論を先に書くと、「食べ過ぎることで、魚のとれた場所によっては汚染物質による悪影響を受けるかもしれないが、魚の良い健康効果は強いため摂取が推奨される。現代は魚の推奨摂取量まで食べていない人がほとんどなので、まず汚染を心配するのでなく、どうやって魚を定期的に摂取できるか考えるべきだ」、となります。

魚はオメガ3脂肪酸を含みます。そしてオメガ3脂肪酸は、摂取による健康効果があるかもしれない栄養素の数少ない一つです(Ann Intern Med. 2019;171(3):190–198.)。栄養素は食事と異なりサプリとして摂取可能なため、ランダム化研究が組みやすく、質の高いエビデンスが出せます(エビデンスについてはこちら)。

日本は魚の消費量が多い国で、特によく寿司を食べるため、オメガ3脂肪酸の恩恵を受けている人が多いと思います。飲み会でもホッケやサンマとかよく食べます。アメリカ人は本当に魚を食べません。「魚食べろ!」というメッセージは、日本人に対しては、よっぽど肉ばっかり食べている方に対するものです。

魚の健康効果についての真実

魚の健康効果は、「魚をよく食べる人とほとんど食べない人の比較」で研究されます。魚は「地中海料理」の一部なので、地中海料理スコアとしても評価され得ます。この記事では、地中海料理スコアでなく、魚の摂取量として比較している文献を紹介していきます。

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・最新のメタ解析では、魚摂取による死亡率低下、心血管病による死亡率低下の効果はありそうです(Public Health Nutr. 2018;21(7):1297–1306.)。1日20g摂取量を増やすことで、死亡率が3-4%低下するかもしれません。

癌による死亡率とは関係ありませんNutr Cancer. 2018;70(2):204–212.)。

・アジア人で、魚からのオメガ3摂取による乳がん発症抑制効果が期待できます(Asian Pac J Cancer Prev. 2019;20(2):327–332.)。

・魚摂取による脳卒中抑制効果が期待できます(J Stroke Cerebrovasc Dis. 2019;28(3):604–611.)。

・魚摂取による認知症予防効果が期待できます(Public Health Nutr. 2018;21(10):1921–1932.)。

・股関節骨折を予防するかもしれませんが、エビデンスは弱いです(Crit Rev Food Sci Nutr. 2019;59(8):1320–1333.)。

・心不全発症を減らすかもしれません(Crit Rev Food Sci Nutr. 2019;59(7):1071–1090.)。

・もしかしたら小児喘息の予防も期待できるかもしれませんが、エビデンスの質は低いです(Pediatr Allergy Immunol. 2018;29(4):350–360.)。

・魚摂取によるうつ病予防効果はもしかしたらあるかもしれませんが、あっても非常に弱いです(Asia Pac Psychiatry. 2018;10(4):e12335.)。

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このように、魚摂取を増やすと、癌死亡以外の様々な疾患予防になりえます。メタ解析で研究している疫学研究は、魚が汚染しているかしていないか関係なく、全部まとめて解析しています。なので、‘平均すれば’魚は健康効果があることは立証されている、と言えます。

汚染された魚に関して深く考える

汚染された魚に関して深く考える

次に、魚の汚染を考えます。「魚を食べたほうが健康に良いが、汚染されている魚を食べても健康に良いのか」という疑問です。

有名な2006年のハーバードの研究を紹介します(JAMA. 2006;296(15):1885–1899.)。やや昔のメタ解析ですが、これはそれぞれのコホートの全ての参加者データを集めた、かなり質の高い研究です。

この研究は、10万人が週2回サーモンを70年間食べることで、「7000人の心臓病による死亡を予防し、(PCB:ポリ塩化ビフェニルにより)24人の癌による死亡を増やす」と結論しています。また、PCBやダイオキシンの摂取源は、魚は10%に過ぎず、肉や乳製品、卵からの摂取が大半なので、魚を避ける理由にならない、と結論しています。PCBとダイオキシンによる健康への悪影響は、疫学研究ではっきりと立証されていません(発ガン性物質について詳細は追って解説します)。

水銀に関しては、成人には問題ありませんFDA ホームページ)。議論の余地があるものは、妊婦と子供ですが、魚(オメガ3脂肪酸)摂取による知能などの利益があるので、魚摂取は推奨されています(Lancet. 2007; 369:578-85.)。水銀は害があるかもしれませんが、魚を摂取しないことの方が大きな害があると考えられています。

もちろん、魚のとれた場所によって汚染具合は違います。個別に言及することは困難です。が今の所、日本であれば、それほど心配する必要はありません。

汚染影響を考え、魚摂取を制限した方が良い場合

具体的には以下の場合のみ、水銀汚染による健康悪影響を懸念して、魚摂取を制限する方がよいだろう、とされています(FDA ホームページ)。

自分で釣った魚を食べる場合:それぞれの釣り堀の管理者に相談が必要。相談相手がいない場合、(水銀の濃度が高い可能性があるので)、釣った魚の摂取は1週間に1回程度にしておく。

妊婦と小児は、水銀濃度が低い魚を選んで食べたほうが良い。水銀濃度が高い魚とは、マケレル、サメ、白いツナ缶(ビンナガ)、メカジキ、甘鯛など。これらは、食べるとしても、1週間に1回程度にしておく。

ちなみに、これらの推奨は、エビデンスレベルの低い研究からなっています。というのも、例えば水銀汚染の影響を考える場合、体内の水銀濃度と知性発達の関連を調べるのですが(例えばInt J Hyg Environ Health. 2019;222(1):9–21.)、その水銀濃度が魚摂取を原因としているか評価することは難しいわけです。なので、この部分はある程度推算となります。なので、「週1回程度にしておくのが無難」というだいたいの推奨となるのです。

結論

汚染の悪影響について語りましたが、そもそも魚を食べない人が多すぎるのが問題なわけです。週に2回以上が推奨されていますが、食べていますか?(日本人は食べている人が多いと思いますが)。特殊な状況を除き、汚染による悪影響は考えるに足りません。それよりも利益が大きいので、魚を積極的に食べましょう。

魚が嫌いでしょうがない人は、オメガ3脂肪酸のサプリを飲みましょう。サプリの詳細は追って説明します。

ではまた。

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