魚の健康効果について科学的解説:汚染の影響も考える

魚に関しては健康に良いという常識がある一方、詳しい方は水銀などによる魚の汚染についても言及されます。結局魚を食べたほうが良いのでしょうか?肉好きの方は、どの程度意識して魚を食べると良いのか?

この記事では、魚の健康効果について科学的根拠を紹介します。

汚染された魚の人体への影響も、科学的に検証されているので、是非参考にして下さい。

 

 

魚の健康効果に関する議論

魚の健康効果に関する議論

 

よくこのような議論を聞きます。

魚はオメガ3脂肪酸が体に良いが、水質汚濁のせいで、ダイオキシンやPCB汚染されている魚もある。だから食べ過ぎは禁物だ、、

この議論は正しいのでしょうか。

 

これに対する科学的な結論は次のようになります。

・食べ過ぎることで、魚のとれた場所によっては汚染物質による悪影響を受けるかもしれないが、魚の良い健康効果はそれにも増して強いだろう。

・現代は魚の推奨摂取量まで食べていない人がほとんど。まず汚染を心配するのでなく、どうやって魚を定期的に摂取できるか考えるべき。

 

日本は魚の消費量が多い国です。よく寿司を食べるし、飲み会でもホッケやサンマとかオーダーしますよね。

日頃から魚をよく食べている人は、その習慣を変える必要はありません。

しかし日本でも、主菜のベースが肉の人がほとんどでしょう。

「魚食べろ!」というメッセージは、強い科学的根拠に基づいており、多くの方に届いてほしいもの。

肉か魚か? – 迷ったら、間違いなく魚なのです。

 

 

魚の健康効果についての真実

魚の健康効果は、「魚をよく食べる人とほとんど食べない人の比較」で研究されます。

今まで非常に多くの研究が行われてきました。

その中で主要な結果をいくつか紹介します。

 

・魚摂取による全死亡率低下、心血管病による死亡率低下の効果がありそうです(Public Health Nutr. 2018;21(7):1297–1306.)。

 →1日20g摂取量を増やすことで、死亡率が3-4%低下するかもしれません。

・魚摂取量と癌による死亡率とは関係ありません(Nutr Cancer. 2018;70(2):204–212.)。

・アジア人で、魚からのオメガ3摂取による乳がん発症抑制効果が期待できます(Asian Pac J Cancer Prev. 2019;20(2):327–332.)。

・魚摂取による脳卒中抑制効果が期待できます(J Stroke Cerebrovasc Dis. 2019;28(3):604–611.)。

・魚摂取による認知症予防効果が期待できます(Public Health Nutr. 2018;21(10):1921–1932.)。

・股関節骨折を予防するかもしれませんが、エビデンスは弱いです(Crit Rev Food Sci Nutr. 2019;59(8):1320–1333.)。

・心不全発症を減らすかもしれません(Crit Rev Food Sci Nutr. 2019;59(7):1071–1090.)。

・小児喘息の予防も期待できるかもしれませんが、エビデンスは弱いです(Pediatr Allergy Immunol. 2018;29(4):350–360.)。

・魚摂取によるうつ病予防効果はもしかしたらあるかもしれませんが、あっても非常に弱いです(Asia Pac Psychiatry. 2018;10(4):e12335.)。

 

これらは全て、メタ解析という今まで多くの研究のまとめです。

以上のように、魚摂取を増やすと癌死亡以外の様々な疾患予防になりえます

 

・魚は「地中海式料理」の一部で、地中海式料理こそが最も健康に良い料理だと言われています(詳細こちら)。

・油に関して理解しようとすると少し複雑ですが、魚の油=オメガ3脂肪酸は、最も健康によい脂肪酸です(詳細こちら)。

→あらゆる面で、魚は健康に良い証拠が揃っているのです。

 

如何に「ルーチンに魚を摂取するか」が重要です。

時々食べるのでなく、「月曜日の夜飯は魚」というように食べるタイミングを決めてしまいましょう。これが健康効果を得る鍵です。

 

*メタ解析で研究している疫学研究は、魚が汚染しているかしていないか関係なく、全部まとめて解析しています

→つまり、‘平均すれば’ 魚は健康効果があることは立証されている、と言えます。

汚染された魚の健康への影響については、次項でみてみましょう。

 

 

汚染された魚に関して科学的に考える

汚染された魚に関して深く考える

 

魚を食べたほうが健康に良いだろうが、汚染されている魚を食べても健康に良いのか」という疑問があります。

これを科学的に検証しましょう。

 

有名な2006年のハーバードの研究を紹介します(JAMA. 2006;296(15):1885–1899.)。やや昔のメタ解析ですが、これはそれぞれのコホートの全ての参加者データを集めた、かなり質の高い研究です。

・10万人が週2回サーモンを70年間食べることで、「7000人の心臓病による死亡を予防し、(PCB:ポリ塩化ビフェニルにより)24人の癌による死亡を増やす」と結論しています。

・そして、PCBやダイオキシンの摂取源として魚は10%に過ぎない。肉や乳製品、卵からの摂取が大半なので、魚を避ける理由にならない。

 

汚染の影響は魚を食べない理由にならないということですね。

 

そして更に重要なことに、

・PCBやダイオキシンによる健康への悪影響は、疫学研究ではっきりと立証されていません

・水銀に関しては、成人には問題ありませんFDA ホームページ)。

 →議論の余地があるものは、妊婦と子供ですが、魚(オメガ3脂肪酸)摂取による知能などの利益があるので、魚摂取は推奨されています(Lancet. 2007; 369:578-85.)。

 →水銀は害があるかもしれませんが、魚を摂取しないことの方が大きな害がある、というわけです

 

もちろん、魚のとれた場所によって汚染具合は違います。個別に言及することは困難です。

しかし今の所、日本であれば基本的に心配する必要はないでしょう。

 

 

汚染影響を考え、魚摂取を制限した方が良い場合

これは参考までに。

具体的には以下の場合のみ、水銀汚染による健康悪影響を懸念して、魚摂取を制限する方がよいだろう、とされています。

アメリカFDAの声明ですが、ある程度日本でも当てはまるでしょう(FDA ホームページ)。

 

自分で釣った魚を食べる場合

 →それぞれの釣り堀の管理者に相談・確認が必要。

 →相談相手がいない場合、(水銀の濃度が高い可能性があるので)釣った魚の摂取は1週間に1回程度にしておく。

妊婦と小児は、水銀濃度が低い魚を選んで食べたほうが良い

 →水銀濃度が高い魚とは、マケレル、サメ、白いツナ缶(ビンナガ)、メカジキ、甘鯛など。

 →これらは、食べるとしても、1週間に1回程度にしておくのが無難。

 

*ちなみに、これらの推奨はやや質の低い研究・考察からなっています。

・例えば水銀汚染の影響を考える場合、体内の水銀濃度と知性発達の関連を調べるのですが(例えばInt J Hyg Environ Health. 2019;222(1):9–21.)、その水銀濃度が魚摂取を原因としているか評価することは難しいわけです

→この部分はある程度推算となります

→つまり「週1回程度にしておくのが無難」というのもだいたいの推奨です。

 

 

どうしたら良いか具体的に考える

そもそも魚を食べない人が多すぎるのが問題なのです。

週に2回以上が推奨されていますが、食べているでしょうか?

日本人は比較的に魚の摂取量は多いですが、全然食べない人もいますよね。

これを期に、ルーチンの食習慣として魚の摂取を考えましょう。

特殊な状況を除き、汚染による悪影響は考えるに足りません。

 

 

結論

普段から魚を食べましょう。

肉と魚で迷ったら、魚。

ではまた。

-食事と健康

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