弁当やパンが低脂質か見て買うか判断する、割と一般的なプロセスだと思います。でも実際低脂質ダイエットを行うことで、どれほど減量や健康に効果があるのでしょうか。
この記事では低脂質ダイエットの科学的根拠を紹介します。
低脂質ダイエットは本当に効果的なのか
脂肪を摂取すれば体の脂肪が増える気がしますよね。それが根拠で低脂質ダイエットが1960年代から行われてきました。低脂肪食というものが出てきたのは1980年代。皆意識しているはずなのに、肥満はむしろ年々増加しています。本当に効果があるのでしょうか?
実は、多くの疫学研究で低脂質ダイエットの効果が調べられてきました。
体重減少効果
決定的な論文が、2015年にLancetの姉妹誌に掲載されました(Lancet Diabetes Endocrinol. 2015;3(12):968–979.)。1年以上フォローしたランダム化試験のメタ解析です。
・18個の研究結果ですが、低炭水化物ダイエットと低脂質ダイエットを比較すると、低炭水化物ダイエットの方が1年で平均1.15kg体重減少効果が強い結果となりました。低脂質よりも低炭水化物ダイエットの方が効果が高い。
・8個の研究結果ですが、低脂質ダイエットは通常の食生活と比較すると5.4kgの体重減少に寄与しました。バイアスの残る解析です。ダイエットなので、体重減少してしかるべし。
という事で、ダイエット目的であれば、低脂質ダイエットより低炭水化物ダイエットの方が良さそうでした。低炭水化物ダイエットについてはこちら。
心血管疾患
長期フォローの試験で最も大規模なのは、Women’s Health Initiativeというランダム化試験です。5万人くらいの閉経後女性を対象に、低脂質ダイエットか普通食にランダム化、8年間フォローしたものです(Am J Clin Nutr. 2017;106(1):35–43.)。
・心血管疾患の発症率は、両群で差はありませんでした。
・もともと心血管リスクの低い人は、低脂質ダイエットにより心血管疾患の発症率が低い結果となりました(Effect modificationです)。
・面白いことに、リスクが高い人は、低脂質ダイエットにより心血管疾患の発症率が上昇しました。これは、普通食だとLDLコレステロールが上がりやすく、するとスタチンを飲む可能性が高くなります。スタチンは心血管疾患を予防するので、普通食グループの方が予後が良かったのです。これを、post-randomization confoundingといいます(JAMA. 2016;315(21):2273–2274.)。
健康な人では低脂質ダイエットによる利益があるかもしれませんが、一概には言えません。
より重要なことは、食事の質
脂肪と一括にしてしまうのが乱暴なのです。良い脂肪(シス不飽和脂肪酸)と悪い脂肪(飽和脂肪酸、トランス不飽和脂肪酸)があります。詳細はこちらの記事にまとめています。
例えば、アボガドの脂肪は良い脂肪と考えられます。脂肪をアボガドとして摂取することで、LDLコレステロールが低くなるという報告があります(J Clin Lipidol. 2016;10(1):161–171.)。
結局、量よりも質が大事です。
結論
ダイエット法としては、低脂質ダイエットより低炭水化物ダイエットの方が効果的。
重要なことは量より質。
ではまた。