マグネシウムの効果と摂取の注意点【科学的根拠まとめ】

ビタミン・ミネラルシリーズ第12段、マグネシウムです。マグネシウムは下剤として有名ですが、健康効果はあるのでしょうか。実は非常にたくさんの研究が行われてきています・・。

この記事では、マグネシウムの効果と摂取の注意点について、科学的見地から解説します。

 

マグネシウムの効果

マグネシウムの効果

摂取不足による害、過剰摂取による害、推奨範囲内で多めに摂る健康効果を分けて考えましょう。

ちなみに、単位はmgです。1日の推奨摂取量は、成人男性は400~420mg、女性は310~320mgです。

 

摂取不足による害

非常に稀です。

悪心嘔吐、食欲不振、倦怠感など非特異的な症状が生じ、重症例では痙攣、不整脈、冠動脈攣縮による心筋梗塞となります。が、健康な方はまず大丈夫です。

リスクは、アルコール依存症、吸収不良(クローン病、小腸切除後、セリアック病など)、高齢者、2型糖尿病患者です。

 

過剰摂取による害

基本的に無いと考えて良いです。余剰分は尿中に排泄されます。

マグネシウム(塩化マグネシウム)は緩下剤として普通に用いられるので、逆に言うとサプリの副作用は下痢となります。

ありえないですが、1日5000mg以上の高用量のマグネシウムサプリを長期間服用すると、高マグネシウム血症となり致命的となり得るそうです(Emerg Care 2007;23:570-2.)。

 

推奨範囲内で多めに摂る健康効果

かなりたくさんの研究が行われてきました。2019年にはUmbrella reviewが出版されており、現時点でのエビデンスが明確にわかります(Eur J Nutr. 2019;10.1007/s00394-019-01905-w.)。全体的に、大規模かつ長期フォローのランダム化試験がなく、エビデンスははっきりとしていません。

 

心血管疾患・死亡率

・コホート研究のメタ解析では、食事からのマグネシウム摂取量、血中マグネシウム濃度が多いほどと心血管疾患リスクが少ないと結論されました(J Cardiovasc Pharmacol. 2019;74(6):516–527.)。しかし、このリスク低下がマグネシウムを原因とするかは不明です。というより、おそらく他の栄養素なりマグネシウム源の食事(交絡因子)の影響が強いでしょう。マグネシウムのサプリを使った大規模・長期フォローのランダム化試験はまだ発表されていなそうです。2012年にはその必要性を呼びかけた論文が出版されています(Am J Clin Nutr. 2012;95(2):269–270.)。

 

・食事からのマグネシウムにより、がんリスク、消化器がんリスクが低下することが示唆されていますが、ランダム化試験で有効だとするエビデンスはありません(Eur J Nutr. 2019;10.1007/s00394-019-01905-w.)。

 

2型糖尿病

・マグネシウムは血糖調整に重要な役割を持つため、サプリによる効果が期待されてきました。ランダム化試験のメタ解析では、空腹時血糖、2h-OGTTなどを下げることが示唆されました(Diabetes Metab Res Rev. 2019;e3243.)。同研究で、コホート研究のメタ解析では、食事からのマグネシウムは糖尿病予防することが示されています。

・Umbrella reviewでは、このランダム化試験のエビデンスはpoor evidenceとされ、現時点で糖尿病予防・治療のためのマグネシウム内服は推奨されていません(Eur J Nutr. 2019;10.1007/s00394-019-01905-w.)。が、マグネシウムを豊富に含む食事を摂ることは血糖値に良いだろう、とは言えそうです。

 

心血管疾患のサロゲートマーカー

血圧:ランダム化試験のメタ解析では、1日300mgのマグネシウムサプリを1ヶ月服用することで拡張期血圧が下がることが示唆されました(Hypertension. 2016;68(2):324–333.)。が、程度は小さく、収縮期血圧に作用しないかもしれません。

血管内皮機能:これもランダム化試験のメタ解析で、FMDで計測される血管内皮機能を改善することが示唆されましたが、サンプルサイズが少ないです(Atherosclerosis. 2018;273:98–105.)。PWVという指標も改善しそうです(High Blood Press Cardiovasc Prev. 2019;10.1007/s40292-019-00355-z.)。が、FMDもPWVも変動が大きく、その改善がどれほどその後のイベントに関わるかははっきりとしていません。

 

骨粗鬆症

・マグネシウムは骨代謝にも重要ですが、2016年のメタ解析ではマグネシウム摂取量と骨折リスクに関連性はなさそうでした( Osteoporos Int. 2016;27(4):1389–1399.)。同論文で、骨密度を少し良くするかもと示唆されていますが、強いエビデンスではありません。

 

片頭痛

・Umbrella reviewでは、2016年のメタ解析について、high quality of evidenceで、マグネシウムサプリによる片頭痛予防効果(頻度・症状)があるとされました(Pain Physician. 2016;19(1):E97–E112.)。が、2019年のメタ解析では‘予防のはっきりとしたエビデンスはない’とされています(Can J Neurol Sci. 2019;46(2):224–233.)。2019年の論文は全文が読めなかったので詳細不明です。アメリカ神経学会・頭痛学会のガイドラインでは ‘probably effective’と位置づけています(Neurology 2012;78:1346-53.)。

 

妊婦

Umbrella reviewでは、マグネシウムにより妊婦の入院するリスクはhigh quality of evidenceとされました。が、2014年のコクランレビューでは、アウトカムがheterogeneousであり(何の原因で入院となるかがバラバラ)、妊婦が積極的にマグネシウムを摂取したほうが良いという質の高いエビデンスはないと結論しています(Cochrane Database Syst Rev. 2014;2014(4):CD000937.)。現時点でははっきりとした結論はでていません。

 

臨床現場にて

・臨床研究として、様々な検討がされています。例えば、心筋梗塞後にマグネシウムをルーチンで投与することで、心室性不整脈を予防することができるかもと示唆されています(BMC Cardiovasc Disord. 2018;18(1):129.)。まだ一般的なプラクティスにはなっていませんが。

 

マグネシウム、どうやって摂取する?

のり、昆布、ひじき、わかめ等が非常に豊富に含んでいます。他、魚介、野菜、全粒穀物、豆腐・納豆に多く含まれます。平成29年の日本人平均摂取量は248mgであり、やや不足気味です。が、特段マグネシウムについて意識するのでなく、上述のような「健康に良い食品」を摂取することを心がければ良いでしょう。

 

結論

健康な方が日常生活でマグネシウムサプリを積極的に摂取すべき状況は、現時点ではなさそうです。大規模ランダム化試験の結果が待たれます。

マグネシウムを含む食品はどれも健康に良いので、積極的に摂取しましょう。

ではまた。

 

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