肉と健康との関連性を科学的に解説【決定版】

肉はどのように健康に良い/悪いのか、何肉が良いのか。肉は良いタンパク質源だから食べたほうが良いのか。色々な説があります。

この記事では、肉の健康効果に関する科学的根拠を解説していきます。肉と健康に関する記事として、決定版です。

 

肉と健康との関係:タンパク質の量

肉と健康との関係をはっきりさせる

 

肉は非常に良いタンパク質源です。これは間違いありません。

もちろん、魚や豆など、他にもタンパク質源はありますが。

 

では、

タンパク質の量は重要だから肉を取らなくてはいけない!

この主張は正しいのでしょうか。

 

実によく耳にしますので、まずはタンパク質の量に関する科学的根拠をみてみましょう。

 

 

タンパク質の量は、日本ではほとんど問題にならない

タンパク質が不足してはいけないのは常識です。

日本では、成人男性は1日60g、成人女性は1日50g以上の摂取が推奨されています(厚生労働省資料)。

タンパク質が不足すると、発達遅延や筋喪失、心筋症、死を起こすことが知られており、今でも発展途上国ではこのような状況に瀕している方が多くいます。

 

ですが、先進国でここまでのタンパク質摂取低下はまずみられません。

むしろ、動物性タンパク質の摂取過剰が(ヒトと地球の健康に悪いため)公衆衛生的な問題となっていますPublic Health Nutr. 2016;19(8):1358–1367.)。

タンパク質の量を引き合いにして健康を議論するのは、日本においては的外れです。

量ではなく質が大事なのです(魚や豆から摂取しましょうということ)。

 

日本人の研究を紹介します。8万人程度のコホート研究です(JAMA Intern Med. 2019;179(11):1509–1518.)。

結果、タンパク質の総摂取量は、癌や心血管病、死亡率と関係ありませんでした

これは以前のアメリカ人を対象とした研究結果と一致しています(JAMA Intern Med. 2016;176(10):1453–1463.)。

両研究とも、動物性の替わりに植物性タンパク質摂取を増やすことで、癌と循環器疾患罹患率を減らすことができる、と結論しています。

 

以上より、日本人において「肉は非常に良いタンパク質源だから健康に良い」とは言えない事が分かりました。

 

 

赤肉・加工肉・白色肉の科学的根拠

それぞれの肉について科学的根拠をみていきましょう。

 

赤肉

赤肉と健康

赤肉とは、牛肉、豚肉、ラム肉などを指します。ミオグロビンにより見た目が赤い肉です。

鶏肉でもモモは赤肉です。しかしどの部位かまで疫学調査は難しく、鶏肉=白色肉と分類されることが多い印象です。

 

今まで一貫して、赤肉摂取量が多いと心血管病や癌の発症・死亡率が高いことが示されてきました。

これは特にハーバードが強く主張しており、おそらく真実です。

 

【2018年のumbrella review(Eur J Clin Nutr. 2018;72(1):18–29.)】

Umbrella reviewはメタ解析のメタ解析です。

この研究は次のようにまとめています。

1日につき65gの赤肉摂取が増える毎に、

・子宮体がんが36%増加

・食道癌が25%増加

・肺がんが22%増加

・心血管病死亡、総死亡、胃癌・大腸がん・糖尿病・脳卒中・乳がんリスクが、10~20%程度増加

 

65gは大した量ではありませんよね。

この研究は非常に膨大な数の文献に基づき、赤肉が健康に悪いことを示しています。

 

※一方、根拠が(ランダム化研究でなく)コホート研究に基づいているので、はっきりとした因果関係(赤肉を食べたことでどうなるか)はどうしても言えません(理由はこちら)。

この点をつくと「赤肉は健康に悪い根拠は少ない」とも言えてしまいます。実際その主張をしたメタ解析が2019年に出版され、論争を巻き起こしました(Ann Intern Med. 2019;10.7326/M19-0655.)。

著者らは栄養疫学者でなく、権威の高い医学誌に載ったことが問題でした。詳細は別記事で解説します。

 

IARCは赤肉はGroup 2Aの発ガン性物質と定義しています。

繰り返しますが、「赤肉は健康に悪い」ことはおそらく真実です。

 

 

加工肉

加工肉と健康ベーコン、ホットドッグ、ソーセージ、ハム、ビーフジャーキーなどを加工肉と言います。

工肉(特に赤肉の加工肉)は、肉の中でも最も健康に悪いとされ、避けるべき食材です。

 

上述したumbrella review(Eur J Clin Nutr. 2018;72(1):18–29.)にて、以下のように報告されています。

1日につき50gの加工肉摂取が増える毎

・胃癌が71%増加

・心血管病が42%増加

・食道癌が37%増加

・糖尿病が32%増加

・大腸がんが24%増加

・心血管病による死亡率、肺がん、前立腺癌、直腸がん、全死亡、脳卒中、乳がんリスクが10~25%程度増加

 

ホットドッグやソーセージは量をとってしまいがちなので、注意が必要です。

IARCで加工肉はGroup 1の発ガン性物質です。最も癌との関連性がはっきりしているという事です。

 

※勿論、加工方法によっても健康への影響は異なるでしょう。

それを疫学研究で調査することは困難です。

科学的根拠として言えることは、ルーチンに加工肉を消費することは非常に健康を害するリスクが高い、という事。

時々食べるくらいなら、影響はそこまで出ません。習慣化するのが良くない。

 

 

白色肉

白色肉と健康

白色肉は基本的に鶏肉です。

白色肉を摂取することにより健康の悪影響が出る、という強いエビデンスはありません。

 

研究を紹介します。

・2014年のメタ解析では、白色肉と全死亡・心血管病罹患・心血管病死亡に関連はありませんでした(Br J Nutr. 2014;112(5):762–775.)。

・2016年のUmbrella reviewでは、白色肉摂取によるいくつかの癌抑制効果が示唆されています(Crit Rev Oncol Hematol. 2016;97:1–14.)。

・白色肉を食べることにより、食道癌(J Gastroenterol. 2018;53(1):37–51.)や胃癌(Nutrients. 2019;11(4):826.)の予防となる、としたメタ解析も報告されています。

 

※しかしながら、白色肉を取る人は赤肉をあまり取らないこと、そういう人は健康意識が高いこと、赤肉と疾患発症の関連が強いことから、白色肉摂取の健康効果はバイアスの影響を排除できません。

→つまり、白色肉を食べたことによる癌予防効果だ、と因果関係のように言うことは難しいです。

+白色肉より、魚や豆からタンパク質を摂ったほうが健康に良いです。

 

赤肉や加工肉を食べるくらいなら白色肉にしましょう。本当は植物や魚由来のタンパク質摂取が理想的ですが。

と言えそうです。

 

 

赤肉が悪いのは常識になりつつある

つらつらと科学的根拠を紹介してきましたが、詳細は知らずとも赤肉が健康に悪いことは常識になりつつあります。

何より、その製造過程で生じるメタンガス等を原因とした温暖化が重大な問題です。

肉は健康に悪いことは前提。これからは地球の健康=planetary healthを考える時代です。

 

この記事に書きましたが、今後おそらく赤肉が規制されてくると思います。

今一度自分の食習慣を見直し、ルーチンのレベルでの赤肉の摂取頻度を減らしてみましょう。

 

 

結論

タンパク質は量より質。

赤肉と加工肉は健康に悪い。白色肉はそこまで悪くない。

できれば魚と豆からタンパク質を摂取しましょう。

ではまた。

-食事と健康

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