油と健康の関連性:科学的根拠を分かりやすくまとめた

油には健康に良いものと悪いものがあるのは知っている。オリーブオイルは良いけど普通の油は悪い?植物性なら良くて動物性なら悪いとは限らない?油にはいくつか種類があって、健康の関係は少し複雑です。

この記事では、科学的根拠を基に、油の種類と健康との関連性をまとめます。植物油とか不飽和脂肪酸とか、言い回しが少し複雑なので、明確化します。そして、どういう種類の油を使うべきか、はっきりとしたエビデンスを明示します。企業の宣伝に惑わされず、健康に良い油を使いましょう。

油と健康の関係の結論

油と健康の関係の結論

はじめに、これが結論です。

★良い油=シス不飽和脂肪酸です(略して、不飽和脂肪酸といわれます)。この中に2種類あります。

・いわゆる健康に良い植物油、魚油です。

・一価不飽和脂肪酸(monounsaturated fatty acids, MUFA):オリーブオイル、なたね油、落花生油、ピーナッツ、アーモンド、カノーラ、アボガド、ごま油など。オメガ9系脂肪酸で、代表的にはオレイン酸。

・多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids, PUFA):コーン油、大豆油、魚油、サンフラワー油、くるみ油、カノーラ油(一価も多価も含む)など。オメガ3系(主に魚油)やオメガ6系脂肪酸で、代表的にはリノール酸やリノレン酸。EPAやDHAもこの分類です(オメガ3脂肪酸です)。

★最悪の油=トランス不飽和脂肪酸(略して、トランス脂肪酸といわれます)です。

・いわゆる健康に悪い植物油です。

・部分的に水素化した植物油(人工的に合成):マーガリン、ショートニング、レストランやファーストフードの揚げ物や焼き菓子

・牛肉の脂肪部分や乳製品にも、少量含まれます(自然に含まれる)

※シスとトランスは、化学式の違いです。同じ不飽和脂肪酸なのに、健康への影響は正反対。ここが大事!!! トランス脂肪酸は世界的に全廃されていっています。

★少し悪い油=飽和脂肪酸(saturated fatty acids, SFA)です。

いわゆる動物性油です。肉や乳製品。

・植物性油でもココナッツ油やパーム油はこの分類です。

(シス)不飽和脂肪酸は摂ったほうが良いです。特に、オメガ3脂肪酸は最高に良いとされます。

わかりにくくない?

とてもわかりにくいと思うので、一覧表にまとめてみました。情報を一部簡略化しています。

 

正確な名前

呼び名

種類

代表例

いわゆる

健康に

不飽和脂肪酸(UFA)

シス・・

不飽和脂肪酸

一価(MUFA)

オリーブオイル

植物性油

良い

多価(PUFA)

魚油

最高

トランス・・

トランス脂肪酸

 

マーガリン

最悪

飽和脂肪酸(SFA)

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸

 

動物性油

動物性油

悪そう

ポイントは以下の通りです。

・いわゆる不飽和脂肪酸(シス不飽和脂肪酸)は良いが、実は不飽和脂肪酸には2種類あり(シスとトランス)、トランス脂肪酸は最悪

・シス不飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸と略すのに、トランス不飽和脂肪酸はトランス脂肪酸と略す

・飽和脂肪酸は、シス不飽和脂肪酸よりは悪いですが、トランス不飽和脂肪酸よりはまし

・植物性油は良いのも悪いのも含む言い方。植物性油の中で、トランス脂肪酸は最悪、(シス)不飽和脂肪酸は良い

・だから、一概に植物性油は動物性油より良いとは言えない。が、トランス脂肪酸が禁止されている国では、植物性油=良い油(不飽和脂肪酸を意味するから)

油と健康に関する研究について

油と健康に関する研究について

疫学研究でめちゃくちゃ重要なことなのですが、単純な不飽和脂肪酸の摂取量と健康との関連性をみることは、理にかなっていません。なぜなら、不飽和脂肪酸の摂取量が低い人は、飽和脂肪酸の摂取量が高いだろうからです。つまり、不飽和脂肪酸が多い影響なのか、飽和脂肪酸が少ない影響なのかがわからないのです。この特徴は、他の食べ物でも当てはまりますが(例えば肉の替わりに魚を食べるなど)、脂肪酸についてはかなり明確です。よって、「飽和脂肪酸の替わりに不飽和脂肪酸を摂っていたら〇〇だった」「エネルギーのうち○%を飽和脂肪酸で摂ったら〇〇だった」という、少し複雑な解析をしなければ、事実はわかりません。

これは栄養学の研究者間では常識なのですが、専門でないと分かりづらい内容のようです。実際、これを分かっていない人が研究をして大変なことになった事例があります。別記事で紹介します。

(シス)不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸を比較しよう

ここから、科学的根拠です。(シス)不飽和脂肪酸が健康に良いことは、明確です。

・飽和脂肪酸を(シス)不飽和脂肪酸に置換することで、脂質に良い影響を及ぼします(Am J Clin Nutr. 2003;77(5):1146–1155.)。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を上げます。

・エネルギー摂取の5%を、飽和脂肪酸の替わりにリノレン酸(PUFAの一つ)で取ることで、9%の心筋梗塞リスク低下につながります(Circulation. 2014;130(18):1568–1578.)。

・MUFA(オリーブオイルなど)よりPUFA(魚の油など)の方が良いかもしれません。SFAをUFAの中でもPUFAに置換すると、心血管疾患のリスクが13%下がったが、MUFAと置換しても明らかなリスク軽減効果は認められませんでした(Am J Clin Nutr. 2009;89(5):1425–1432.)。コホート研究のindividual-level meta-analysisで、信頼性は高いです。

・PUFAの中でも、オメガ3脂肪酸は非常に健康に良いです。栄養素の観点で語る食事と健康の関係はほとんど信頼ならないですが、魚摂取による健康への良い効果は、かなりの部分オメガ3脂肪酸のおかげだと考えられています。詳細はこちら。

・シス不飽和脂肪酸と比較すると飽和脂肪酸は悪いですが、飽和脂肪酸自体が心血管疾患のリスクを上げるわけではなさそうです(Am J Clin Nutr. 2010;91(3):535–546.)。

トランス(不飽和)脂肪酸は止めといたほうが良い=禁止すべき

・全エネルギーのうち2%をトランス脂肪酸で取るごとに、16%心血管疾患のリスクが上昇します(Lipids Health Dis. 2019;18(1):91.)。

・善玉コレステロール(HDL)を減らし、悪玉コレステロール(LDL)を増やします(Food Chem Toxicol. 2016;98(Pt B):269–281.)。

・トランス脂肪酸は、全身の炎症反応を増悪させます(Am J Clin Nutr. 2004;79(4):606–612.)。炎症反応が高い=動脈硬化が進行することを意味するため、炎症反応は心血管疾患のサロゲートマーカーです。

・インスリン抵抗性を増悪します(Prog Lipid Res. 2009;48(1):44–51.)。そして、糖尿病発症に寄与します(PLoS Med. 2018;15(10):e1002670.)。

こういうはっきりした根拠が明らかになり、しかも代替する油があるので、世界中でトランス不飽和脂肪酸は禁止する流れになっています。

日本でトランス脂肪酸は禁止されていない・・

日本でトランス脂肪酸は禁止されていない・・

これ深刻な問題だと思うのですが。日本とアメリカでスナック菓子につかう油が違うことは知っていますか?アメリカはトランス脂肪酸が全廃される方向に強く動いているため使われなくなってきています。全面的にはまだ禁止されていませんが、近い将来全廃されます。が、日本ではそういう強い動きはなく、普通に市販のスナックにマーガリンが使われています。トランス脂肪酸を使う理由は、安いということだけです。

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なぜ日本では禁止されていないか?別記事で詳細を説明しますが、それは、日本人の「総エネルギーに対するトランス脂肪酸摂取量が海外に比較してかなり低い」からだそうです(厚生労働省HP)。エネルギーの1%未満の摂取がWHOで推奨されていますが、日本人の平均は0.3%台だそうです。ちなみに、トランス脂肪酸1%とはだいたい1日2g程度に相当します。ショートニングは13.6g/100g、コーン系スナックでは1.7g/100g、トランス脂肪酸を含むそうです。

ポリシーとしてはそれで良いかもしれませんが、個人個人はそういう状況を知って自分で気をつけないといけません。平均して0.7%だとしても、2%や3%摂っている人もいるわけです。特に、習慣的にファーストフードやスナック菓子を食べる人は、まず間違いなくとりすぎです。

この記事を読んで日本に住んでいる方は、ご自身で気をつける必要があります。日本は2019年時点でトランス脂肪酸の含有量の明示も義務化しておらず、ちょっと不親切です。まあ、時々食べるくらいなら、どんな食事だって健康に影響することはほとんどないから、心配いりません。繰り返しますが、習慣的にトランス脂肪酸を摂取している方は、それを自覚して積極的に避けましょう。

結論

ちょっとわかりにくい油と健康の話でした。植物油のマーガリンに代表されるトランス(不飽和)脂肪酸は健康に悪いので避けたほうが良い、ということが一番重要なメッセージです。

動物性油に代表される飽和脂肪酸より、トランス脂肪酸でない不飽和脂肪酸(オリーブオイルや魚油)が健康によいのです。

ではまた。

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