大豆のもつ健康効果を網羅的に解説【科学的根拠】

大豆は健康食品として名高いですが、実際にはどう健康に良いのでしょうか?

イソフラボンが活性酸素を抑えるのがいいんだよ、と言う人がいますが、それは「どう健康に良いのか」という答えにはなっていません。

この記事では、科学的根拠を基に、大豆の健康効果をわかりやすく概説します。

大豆の効能を正しく把握して、ルーチンの食事に取り入れましょう。

 

 

豆は健康と誰が言っている

豆は健康と誰が言っている

 

豆は健康に良いと聞いたことがあるかと思います。が、誰が言っているのでしょう。

Googleで「豆 健康」と調べてみると、上位半分以上が企業のページです。

豆を売る企業が、「豆は健康に良い」と言っているのです。

当然バイアスは避けられませんね。

 

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健康に良いとする根拠にも注意する必要があります。

例えば、「イソフラボンが活性酸素を抑えるから大豆は健康に良い」というのは、信頼性に乏しい記述です。

しかし、、

✔イソフラボンの効果=豆の効果、ではない。

✔活性酸素を抑えるとは具体的にどういう変化を言っているか?(バイオマーカーがどう変化するか、など)

✔活性酸素を抑えることで健康になる「ヒトを対象にした研究」に基づく根拠はあるか?

と、ツッコミどころ満載です。

 

健康・医療情報において、信頼できる情報とは、ヒトを対象とした研究論文を正しく解釈した情報です。

本ブログではこういうものを噛み砕いて説明しています。

この記事では、大豆、イソフラボンについて紹介していきます。

 

 

豆の種類をおさらい

豆、といっても色々あります。疫学研究では、豆を大まかに分類して健康効果を検証することが多いです。

具体的には、次のような分類です。

・Soy:大豆

・Legume:マメ科の植物

・Nuts:ナッツ

 

ナッツは別カテゴリーとして検証されます。

ちなみにピーナッツは正確にはLegumeですが、ナッツの記事で解説しています。

 

LegumeとSoyはまとめられることも多いです。

この記事では、Soy(大豆)の健康効果について紹介します。

 

 

大豆の栄養

Soy(大豆)の栄養

 

大豆はタンパク質源として重要な食べ物です。

植物由来の良いタンパク質」は、健康に良いことが示されています。

*動物性タンパク質と比較して、というcontextであることが多いです

 

・実は先進国において、タンパク質は量でなく質が重要だと言われています(詳細はこちら)。

・炭水化物制限・脂質制限ダイエットにおいても、かわりに摂取するタンパク質を植物由来とすることで、死亡率低下に寄与することが言われています(詳細こちら)。

 

更に大豆はイソフラボンを含んでおり、実はイソフラボンが健康に寄与することが「サプリを用いたランダム化研究」で示されています。

*大豆という食をランダム化することは少し難しいですが、サプリなら可能です。

 

大豆が栄養素的に優れていることは間違いありません。

では、大豆の健康効果の詳細をみていきましょう。

 

 

大豆の健康効果

非常に多くの研究が行われてきました。

これをまとめた、最近のUmbrella review(Mol Nutr Food Res. 2020;64(4):e1900751.)を紹介します。

*Umbrella reviewとは、あらゆるアウトカムに対するメタ解析をまとめた、包括的な報告です。

 

<癌>

大豆により低リスクと関連:卵巣がん、前立腺がん、胃がん、大腸癌、肺がん、乳がん

*大豆でなくイソフラボン摂取によっては、胃がんと乳がんの予防効果は無いようです

*しかし一定の癌の高リスクとも関連するかもしれません

・イソフラボンによりER陰性乳がんの高リスクと関連する、という研究があります(Am J Clin Nutr. 2019 Mar 1;109(3):597-605.)。ERとはエストロゲンレセプターの事です。

・日本人では、イソフラボン&大豆摂取量が多いと前立腺がんによる死亡のハイリスクと関連する、という報告があります( Int J Epidemiol. 2020 Oct 1;49(5):1553-1561.)。

 

<死亡率・心血管疾患>

大豆により低リスクと関連:心血管疾患発症、脳卒中発症、心筋梗塞発症

予防効果なし:死亡率、心血管疾患による死亡率、癌による死亡率

*大豆でなくイソフラボン摂取によっては、心血管疾患と脳卒中の予防効果は無いようです

 

<その他>

大豆による改善効果あり:血圧、コレステロール、体重

イソフラボンによる改善効果あり:血圧、閉経後のホットフラッシュ予防、骨密度低下予防、認知機能低下予防

*これはランダム化研究を基にする「因果関係」であり、予防効果として信頼性が大きいです。

 

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このUmbrella reviewでカバーしていないものについて、こんな報告もあります。

 

SoyやLegumeが糖尿病リスクを減らすかは微妙です(Am J Clin Nutr. 2020;nqz338.)。

 →ただ、豆腐、イソフラボン(のサプリ)は糖尿病予防効果があるかもしれません。

 

・Soyよりもナッツの方が、信頼性の高い血圧低下効果があります(Am J Clin Nutr. 2015 May;101(5):966-82.

 →ナッツの記事で解説しています。

 

・閉経後の性機能不全には効果がないようです(Climacteric. 2018;21(5):437–445.)。

 

・大豆のタンパク質が、その他のタンパク質(乳製品や肉)と比較して、筋トレ後の筋肉量/強度の増加に有利に寄与する、ということはなさそうです(Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2018;28(6):674–685.)。

 

こんな感じです。

色々な点で健康には良さそうですが、死亡率を減らすまでには至らないだろうという点がポイントです。

 

*例えば「癌の予防効果があるか」という疑問に対しては、はっきりと答えられるわけではありません。

というのも、食事と長期フォローを要するアウトカムとの関連性はランダム化研究では検証できないからです(数年もランダム化し続けることができません)。

なのでエビデンスとしては、「交絡因子を調整した複数の研究で、大豆消費量と癌の低リスクとの関連が認められているが、因果関係はわからない」という事になってしまいます(わかることが今後もありません。そのようなランダム化試験が組めないので)。

でも、沢山の観察研究で大豆の良い効果が示されているから、おそらく良いだろうと思われるわけです。

 

 

味噌汁は避けたほうが良いか?

味噌汁は避けたほうが良いか?

 

「交絡」の例です

Soyと胃癌のメタ解析の中で、特に男性は味噌汁摂取が多いと胃がんリスクが高いという報告がなされています(Sci Rep. 2017;7(1):4048.)。

これは、その他の大豆製品が胃癌に対して予防的であることを考えると、驚くべき結果です。

 

本文のDiscussionでは、味噌汁の塩分が胃癌発症に寄与しているかも、と書かれています。

しかし、おそらくこの関連性は因果関係ではなく、交絡が取り切れていない(residual confoundingがある)と考えられます。

→つまり、味噌汁をたくさん飲むと胃癌のリスクが高まる、というわけではないと思います。

 

細かい話になりますが、2つ理由を考えました。

①日本人という交絡因子

・まず、日本人は胃癌が多く、味噌汁をよく飲みます。よって、日本人の研究はこの関連が強く、他の人種の研究は弱い事が考えられます。

→メタ解析では研究間のHeterogeneityを考慮しますが、日本人という因子で調整することはできません(それをするには、各研究のオリジナルデータを集める必要があります)。つまり、「日本人である」という強い交絡因子が調整されていません。

②味噌汁を毎日飲む人の生活習慣

・胃癌はほとんどがピロリ菌感染で発症することが分かっています。つまり、胃癌の原因はピロリ菌感染です。そして、ピロリ菌感染の原因が味噌汁摂取であるとは、論理的に考えて変です。

→よく味噌汁を飲む人は、トラディショナルな日本人が多い印象です(農業に従事する比較的高齢男性など)。彼らはピロリ菌感染に関して比較的無頓着(スクリーニングや除菌しない等)と考えられるので、味噌汁とピロリ菌感染の関連性が裏に隠れていると考えられます。

 

じつは味噌汁が本当に胃がんに寄与しているのかもしれないし、これが正しいかは検証しようがないです。

が、観察研究のメタ解析=絶対に信頼できる情報というわけではない、という視点は重要です(ここに詳細)。

 

ただきっとおそらく、味噌汁を飲んでも大丈夫だと思います。

でも塩分が悪いことはエビデンスがあるこの記事参照)ので、味噌汁の飲みすぎには注意しましょう。

 

 

発酵性大豆食品が熱い

Soyの中でも発酵性大豆食品=味噌と納豆は、特別に強い健康効果があるかもしれません。

いくつか日本人に対する根拠を紹介します。

 

✔2020年、非常に権威高い医学誌BMJに掲載された日本の研究(BMJ 2020;368:m34 )では:

Soyとしては死亡率に関連なかった(上の通りですね)

発酵性大豆食品は死亡率低下と関連した

という驚きの結果。

 

✔納豆と心血管病による死亡の低リスクとの関連も示されました(Am J Clin Nutr. 2017 Feb;105(2):426-431.

→25%~低い。納豆は習慣性があるので、非常に良い食べ物です。

 

 

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結果まとめると、こんな感じになりそうです。

 

・大豆は色々健康に良いが、死亡率を減らすほどの効果は示されていない。

・でも植物性タンパク質の方が動物性タンパク質よりは絶対良い。

・血圧や脂質の改善効果は、ある程度立証されていると言って良い。大豆でもイソフラボンでも。

・しかし癌との関連についてははっきりしない

・そういう意味では、大豆性発酵食品(納豆や味噌)はより健康に良いかもしれない。

 

納豆、豆腐入りの味噌汁、飲みましょう。

 

 

結論

総じて、大豆はまあまあ健康に良い。

納豆はもっと良い。

ではまた。

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