大豆のもつ健康効果を網羅的に解説【科学的根拠】

大豆は健康食品として名高いですが、実際にはどう健康に良いのでしょうか?

イソフラボンが活性酸素を抑えるのがいいんだよ、と言う人がいますが、それは「イソフラボンの動物での効果」であり、「大豆の人間に対する効果」とは言えません。また、活性酸素を抑えたら本当に健康に良いと言えるのでしょうか?

この記事では、科学的根拠を基に、大豆の健康効果をわかりやすく概説します。大豆の効能を正しく把握して、ルーチンの食事に取り入れましょう。

 

豆は健康と誰が言っている

豆は健康と誰が言っている

 

豆は健康に良いと聞いたことがあるかと思います。が、誰が言っているのでしょう。

Googleで「豆 健康」と調べてみると、面白いことに、上位半分以上が企業のページです。

豆を売る企業が、「豆は健康に良い」と言っているのです。

当然バイアスは避けられません。

 

健康に良いとする根拠にも注意する必要があります。

例えば、「イソフラボンが活性酸素を抑えるから大豆は健康に良い」というのは、信頼性に乏しい記述です。

もしそうなら、イソフラボンをサプリとして飲むことで健康効果が認められるはずです。

しかし、イソフラボン摂取による脂質のマーカーに対する効果はないだろうとされています(J Clin Lipidol. 2018;12(1):16–24., Br J Nutr. 2015;114(6):831–843.)。効くとされるものもありますが(後述)。

イソフラボンの効果=豆の効果、ではありません。

 

信頼できる情報とは、ヒトを対象とした研究論文を正しく解釈した情報です。

これを紹介していきます。

 

 

豆の種類をおさらい

豆、といっても色々あります。疫学研究では、豆を大まかに分類して健康効果を検証することが多いです。

具体的には、次のような分類です。

・Soy:大豆

・Legume:マメ科の植物

・Nuts:ナッツ

 

ナッツは別カテゴリーとして検証されます(詳細はこちら)。

LegumeとSoyはまとめられることも多いです。

この記事では、Soy(大豆)の健康効果について紹介します。

 

 

大豆の栄養

Soy(大豆)の栄養

 

大豆はタンパク質源として重要な食べ物です。

ビタミン、ミネラル、イソフラボンなど色々他にも含んでいますが、おそらく最も重要なのは「植物由来の良いタンパク質」を含んでいる事です。

 

・実は先進国において、タンパク質は量でなく質が重要だと言われています(詳細はこちら)。

・炭水化物制限・脂質制限ダイエットにおいても、かわりに摂取するタンパク質を植物由来とすることで、死亡率低下に寄与することが言われています(詳細こちら)。

 

大豆が栄養素的に優れていることは間違いありません。

では、大豆の健康効果の詳細をみていきましょう。

 

 

大豆の健康効果

非常に多くの研究が行われてきました。

これをまとめた、最近のUmbrella review(Mol Nutr Food Res. 2020;64(4):e1900751.)を紹介します。

 

<癌>

予防効果あり:卵巣がん、前立腺がん、胃がん、大腸癌、肺がん、乳がん

*大豆でなくイソフラボン摂取によっては、胃がんと乳がんの予防効果は無いようです

 

<死亡率・心血管疾患>

予防効果あり:心血管疾患発症、脳卒中発症、心筋梗塞発症

予防効果なし:死亡率、心血管疾患による死亡率、癌による死亡率

*大豆でなくイソフラボン摂取によっては、心血管疾患と脳卒中の予防効果は無いようです

 

<その他>

改善効果あり:血圧、コレステロール、体重

*イソフラボンにより閉経後のホットフラッシュ予防、骨密度低下予防、認知機能低下予防に効果があるとされます。

 

このUmbrella reviewでカバーしていないものについて、こんな報告もあります。

SoyやLegumeが糖尿病リスクを減らすかは微妙です(Am J Clin Nutr. 2020;nqz338.)。豆腐はその効果があるかもしれません。

・閉経後の性機能不全には効果がないようです(Climacteric. 2018;21(5):437–445.)。

・大豆のタンパク質が、その他のタンパク質(乳製品や肉)と比較して、筋トレ後の筋肉量/強度の増加に有利に寄与する、ということはなさそうです(Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2018;28(6):674–685.)。

 

こんな感じです。

色々な点で健康には良さそうですが、死亡率は減らさないだろうという点がポイントですね。

 

 

味噌汁は避けたほうが良いか?

味噌汁は避けたほうが良いか?

 

Soyと胃癌のメタ解析の中で、特に男性は味噌汁摂取が多いと胃がんリスクが高いという報告がなされています(Sci Rep. 2017;7(1):4048.)。これは、その他の大豆製品が胃癌に対して予防的であることを考えると、驚くべき結果です。

本文のDiscussionでは、味噌汁の塩分が胃癌発症に寄与しているかも、と書かれています。が、おそらくこの関連性は因果関係ではなく、交絡が取り切れていない(residual confoundingがある)と考えられます。

→つまり、味噌汁をたくさん飲むと胃癌のリスクが高まる、というわけではないと思います。

 

細かい話になりますが、2つ理由を考えました。

①日本人という交絡因子

・まず、日本人は胃癌が多く、味噌汁をよく飲みます。よって、日本人の研究はこの関連が強く、他の人種の研究は弱い事が考えられます。

→メタ解析では研究間のHeterogeneityを考慮しますが、日本人という因子で調整することはできません(それをするには、各研究のオリジナルデータを集める必要があります)。つまり、「日本人である」という強い交絡因子が調整されていません。

②トラディショナルな日本人という交絡因子

・胃癌はほとんどがピロリ菌感染で発症することが分かっています。つまり、胃癌の原因はピロリ菌感染です。そして、ピロリ菌感染の原因が味噌汁摂取であるとは、論理的に考えて変です。

→よく味噌汁を飲む人は、トラディショナルな日本人が多い印象です(農業に従事する比較的高齢男性など)。彼らはピロリ菌感染に関して比較的無頓着と考えられるので、味噌汁とピロリ菌感染の関連性が裏に隠れていると考えられます。

 

これが正しいかは検証しようがないですが、メタ解析=絶対に信頼できる情報というわけではない、という視点は重要です(ここに詳細)。

 

おそらく、味噌汁を飲んでも大丈夫だと思っています。

気になる方は、減塩味噌を使えばOKでしょう。

 

 

発酵性大豆食品が熱い

Soyの中でも発酵性大豆食品=味噌と納豆は、特別に強い健康効果があるかもしれません。

2020年、非常に権威高い医学誌に掲載された日本の研究があります(こちら)。

 

この論文では、

・Soyとしては死亡率に関連なかった

・発酵性大豆食品は死亡率低下と関連した

 

と結論しています。詳細な解説はこちらです。

 

大豆の中でも、納豆と味噌が熱い。味噌は減塩味噌。

 

 

結論

総じて、大豆はまあまあ健康に良い、ということが言えそうです。

味噌汁を飲む人は胃癌の発生率が高いですが、おそらく因果関係ではありません。

ではまた。

-食事と健康

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