紅茶の健康効果:様々な噂を科学的に検証した

「夏は紅茶が最強の健康ドリンクだ!」とか、「紅茶とコーヒーは、紅茶の方が健康に良い!」とか、「紅茶は1日3杯までならOK!」とか、「紅茶は実は健康に悪い!」とか聞きます。

真実は何なのでしょうか。

この記事では、科学的根拠に基づいた紅茶の正しい健康情報を解説します。

 

 

紅茶の健康効果:様々な噂を科学的に検証した

紅茶の健康効果:様々な噂を科学的に検証した

 

紅茶っておいしいですよね。健康にも良いと聞きます。

でも科学的根拠を調べた事があるでしょうか。

ほとんどは(ネット上の)噂ではないでしょうか。

 

この記事では疫学研究に基づいたエビデンスを紹介していきます。

これらが正しい情報です。

*エビデンスは日々蓄積されていくので、今後変わるかもしれません。そのため、本ブログでは記事を定期的に更新しています。

 

 

紅茶の健康効果

疫学研究の結果を紹介します。「紅茶(black tea)」として解析されたものより、「茶(tea)」として解析されたものが多いです。Teaには緑茶(green tea)も含んでいますが、欧米の研究はほぼtea=black teaを意図していると思われます。

この記事ではteaまたはblack teaに関する一次情報を紹介します。

*Green teaに関する情報はこちらで紹介しています。

 

<死亡率、心血管病>

✔2020年のメタ解析によると、紅茶を1日1杯飲むごとに4%の心血管疾患による死亡率、4%の脳卒中発症率、1.5%の全死亡率の低リスクと関連しました(Adv Nutr. 2020;nmaa010.)。

 →飲めば飲むほど脳卒中リスクが低かったですが、全死亡率に関してどのくらい良い効果があるかは不明です。

✔2019年のRCTのメタ解析では、紅茶によるコレステロールの低下は認められませんでした(Diabetes Metab Syndr. 2019;13(3):2250–2258.)。

✔紅茶は血圧を低下させる機能があるかもしれません(Cochrane Database Syst Rev. 2013;(6):CD009934., Clin Nutr. 2015;34(4):612–619.

*コレステロールや血圧はRCT(ランダム化研究)が可能なので因果関係がはっきりしますが、死亡や心血管病については観察研究しか行えず、なかなか因果関係が言えないのでした。

 

<癌>

✔2020年にumbrella review(Adv Nutr. 2020;11(6):1437-1452.)とメタ解析(Adv Nutr. 2020;nmaa117.)が発表されており、大体同じような結果となっています。

・Umbrella reviewでは「tea全体」の摂取量と口腔がんのリスク低下との関連性が示されました。メタ解析では示しておりませんが、そもそも口腔がんが評価されておらず、謎です。

・胆管がん、乳がん、肝がん、子宮内膜癌のリスク低下との関連性もありましたが、信頼性は低いです。

✔大腸癌の予防効果は無さそうですが、もしかしたら女性にはあるかもしれません(Eur J Nutr. 2020;10.1007/s00394-020-02195-3.)。

 

<その他>

・Teaは糖尿病発生抑制効果がありそうです(Br J Nutr. 2014;111(8):1329–1339.)。1日2杯で5%、4杯以上で15%のリスク低下です。

・Teaは炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)のリスクを減らすかもしれませんが、メタ解析の質は低いです(Medicine (Baltimore). 2019;98(21):e15795., Medicine (Baltimore). 2017;96(49):e9070.)。

・Teaはうつ病のリスクを減らすかもしれません(Eur J Clin Nutr. 2018;72(11):1506–1516.

・Teaは骨粗鬆症のリスクを減らすかもしれませんが、メタ解析の質は低いです(Medicine (Baltimore). 2017;96(49):e9034.

・骨折の予防にも関連するかもしれません(Osteoporos Int. 2019;30(10):1941–1951.)。

・Teaは認知機能低下を予防する効果がありそうというメタ解析がありますが、heterogeneityが高いです(PLoS One. 2016;11(11):e0165861.)。

→その後発表されたMendelian randomizationにて、因果関係は示唆されていません(J Nutr. 2020;150(8):2164-2174. 

 

紅茶は色々な疾患予防効果が示唆されていますが、総死亡率低下効果や癌予防効果はそこまではっきりしていない、とまとめられそうです。

 

 

巷の紅茶説を検証する

巷の適当な紅茶説を論破してみる

色々な噂を検証してみました。

 

「夏は紅茶が最強の健康ドリンクだ!」

.....夏の食欲低下、夏バテ、効果的な水分補給ができるという理由のようです。

✔食欲低下に関して。

 紅茶に含まれるファイトケミカルによる食欲への効果はinconclusive(はっきりしない)です(Nutrients. 2019;11(9):2238.)。

✔夏バテと水分補給について、小規模ですが日本のランダム化試験を紹介します(J Occup Health. 2010;52(4):209–215.)。

 30℃の暑さの中外で働く153人を対象に、水分補給をORS(経口補水液:OS-1など)でする日と自分の好きな飲料(TeaとCoffeeがほとんどであった)する日をランダムに設定し、労働終了後の疲労度(VASというスケール)を比較する、という研究です。

→結果、明らかにORSの方が疲労度が少なかったのです。

→夏バテ防止・効果的な水分補給に有効なのは、紅茶でなく経口補水液です。

 

「紅茶とコーヒーは、紅茶の方が健康に良い!」

......根拠は不明。

✔この比較をすることは困難です。

「紅茶の健康効果」なら、’他の条件(コーヒーも含む)が同じ集団’ で、紅茶をほぼ飲まない人 vs 1日2-3杯紅茶を飲む人、と比較可能です。ですが、紅茶を飲む人 vs コーヒーを飲む人、とはどう定義するか難しいです(できないことはないですが)。

もし比較したとしても差は出ないと思います(どちらも健康に良いから)。

✔2型糖尿病患者はどっちも飲んだほうがより良い、とする日本の研究があります(BMJ Open Diabetes Res Care. 2020;8(1):e001252.

*最近の研究で、紅茶好きとコーヒー好きで多く発現するmetaboliteの種類が異なる、という話があります(Mol Nutr Food Res. 2020;e2000527.)。これがどう健康に結びつくか等は、これからの研究に期待です。

 

「紅茶は1日3杯までならOK!」

.....根拠は不明

4-5杯飲まないと十分な効果が認められないという研究がいくつかあります。

カフェインに感受性が高い方は多量には飲めないですが、その場合は無理して飲む必要ないです。カフェインによる短期的な副作用は、ふつう長期的な健康には影響しません(カフェイン中毒となれば死亡の危険がありますが、非常に稀ですし、ほとんどがエナジードリンクを原因としています)。

 

「紅茶は実は健康に悪い!」

.....腎結石、歯や骨をもろくする等

✔2020年のメタ解析では、Teaやコーヒーは腎結石予防効果があるかも、という結論です(World J Urol. 2020;10.1007/s00345-020-03466-8.)。

→カフェインは尿中へカルシウムやマグネシウムの排泄を増やすので、それだけ知っている人の意見かもしれません。当然、tea=カフェインではありませんね(この記事参照

骨粗鬆症のリスクを減らすかもしれません(Medicine (Baltimore). 2017;96(49):e9034.

※おそらくこの説は、これらのメタ解析の中に含まれる、逆の結果を示した一つのコホート研究結果を根拠としているのだともいます(腎結石: Beijing Da Xue Xue Bao 2013; 45:971–974., 骨粗鬆症:Pract Prev Med 2012;19:671–3.)。

そういう研究を含めて全ての研究を同時に評価し、真実を推察する方法がメタ解析なのです。

 

 

結論

紅茶は健康に良いです。

コーヒーでも紅茶でもお好きな方を。

ではまた。

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