ビタミン・ミネラルシリーズ第6段、ビタミンB2です。リボフラビンともいいます。あまり聞きませんが、エナジードリンクにはよく含まれていますね。元気が出そうなビタミンですが、実際はどうでしょうか。
この記事では、ビタミンB2の効果と摂取の注意点について、科学的見地から解説します。
ビタミンB2の効果

摂取不足による害と推奨範囲内で多めに摂る健康効果を分けて考えましょう。水溶性ビタミンなので摂取過剰による副作用はありません(尿中に排泄されます。尿の色が変わることはあります)。
ちなみに、単位はmgです。1日の推奨摂取量は、成人でだいたい1~1.5mg(米国だと男性1.3mg、女性1.1mg)です。
摂取不足による害
普通起こりません。甲状腺機能低下症などで起こることはありますが、ふつう気にしなくて良いです。リスクの高い人は、完全なベジタリアンで乳製品をほとんど摂らないアスリートや妊産婦(ビタミンB2必要量が多い)です(J Nutr 2003;133:3932S-5S.等)。この場合、他のビタミンB群も不足するので、サプリ服用したほうがよいです。
加えて、後述するようにビタミンB2は本当に様々な食品に含まれるので、ビタミンB2単独で不足することはほぼ無いです。
・おそらくビタミンB2不足が原因だろうと思われる症状は、皮膚症状、浮腫、口内炎・口角炎、脱毛、生殖機能異常、咽頭痛、眼のかゆみや白内障、貧血などです。
・子供がビタミンB2不足すると成長障害を来します。
推奨範囲内で多めに摂る健康効果
偏頭痛と癌の予防に関して、色々と研究されてきました。
ビタミンB2と偏頭痛
典型的には前兆を伴う、片側の拍動性の頭痛で、家族歴を有することが多いものです。ミトコンドリアの機能が一部病態の原因と考えられており、ビタミンB2はそれに関わるので、予防や治療につながることが期待されています。
・2018年にsystematic reviewが出版されています(J Clin Pharm Ther. 2017;42(4):394–403.)。11個の小規模ランダム化試験が解析されており、そのうち7つは偏頭痛予防効果ありと結論しています。だいたい1日400mgの投与です。小児と青少年に関してはinconclusiveです。
・アメリカ(Neurology 2012;78:1346-53.)とカナダ(Can J Neurol Sci 2012;39:S1-59.)のガイドラインでは、偏頭痛予防に400mgのビタミンB2を内服することを推奨しています。非常にはっきりとしたエビデンスというわけではありませんが、内服による副作用がないため推奨されています。
ビタミンB2と癌
ビタミンB2はDNAダメージを減らすことで癌を予防すると考えられいくつか研究が行われてきましたが、現在の所はっきりと予防効果があるとは考えられていません。
・大規模なランダム化試験は今まで行われていません。
・2017年のコホート研究のメタ解析では乳癌の予防効果があると結論されましたが、メタ解析の質は低いです(Arch Gynecol Obstet. 2017;295(3):721–729.)。
・大規模コホート研究で、ビタミンB2摂取による大腸癌予防効果はあるという報告(Am J Clin Nutr 2013;97:332-43.)と無いという報告(J Nutr 2008;138:2372-8.)があります。
ビタミンB2、どれくらいどうやって摂取する?
肉、魚、卵、乳製品、豆など、様々なものが含んでいます。
タンパク質を普通に摂っていれば、基本的に不足することはありません。
ちなみに平成29年の日本人平均摂取量は1.19mgと推奨レベルくらいです。気にすることありません。
結論
普通にタンパク質を摂っていれば、特段ビタミンB2について意識する必要なし。
片頭痛予防には使えるかもしれません。
ではまた。