ビタミンB9(葉酸)の効果と摂取の注意点【科学的根拠まとめ】

ビタミン・ミネラルシリーズ第9段、ビタミンB9です。葉酸です。妊娠には必須のサプリですが、他にも良い影響がありそうです。

この記事では、ビタミンB9の効果と摂取の注意点について、科学的見地から解説します。

ビタミンB9(葉酸)の効果

ビタミンB9の効果

摂取不足による害、過剰摂取による害、推奨範囲内で多めに摂る健康効果を分けて考えましょう。

ちなみに、単位はμgです。1日の推奨摂取量は、成人で400μgです。妊婦は600μgです。

摂取不足による害

アルコール依存症の方に生じます。ビタミンB12欠乏と同様、巨赤芽球性貧血です。貧血症状(めまい、息切れ、疲労など)、神経症状等を生じます。また、口内炎、舌炎も合併します。

妊婦で葉酸欠乏を来すと、神経管閉鎖障害(二分脊椎症・無脳症)、低出生体重児、発育遅延などを来します。

摂取不足のリスクは、以下のとおりです。

アルコール依存症:アルコールが葉酸吸収阻害、分解を促進します。また、偏食により摂取量自体も低下します

妊娠:胎児の核酸合成に必須のためです

小腸病変:炎症性腸疾患、セリアック病、小腸切除後など、葉酸の吸収力が低下します

過剰摂取による害

食事や市販されているビタミンサプリを原因として、葉酸中毒にはまず起こりません。心配いりません。

一方、摂取上限は、成人で1000μgとされていますが、これはビタミンB12欠乏をマスクする可能性があるからです。

ビタミンB12欠乏は巨赤芽球性貧血、神経障害を起こしますが、高濃度の葉酸を摂取するとビタミンB12欠乏による貧血症状を軽減します(どちらも赤血球形成に関わるため)。そして不顕性のビタミンB12欠乏が持続し、それによる不可逆的な神経障害を起こしてしまうかもしれません。そのため、低めに葉酸摂取の上限が定められています。

推奨範囲内で多めに摂る健康効果

葉酸は、サプリとして摂取する価値のある、数少ないビタミンです。効果を紹介します。

妊娠

常識のレベルですが、胎児の神経管閉鎖障害を防ぐため、1日400μgは最低限摂取する必要があります。実は、葉酸欠乏がこの原因だと証明された1990年あたりから(Lancet. 1991;338(8760):131–137.)、色々な他のビタミンの健康への効果が注目・研究されてきました。そしてアメリカでは、たくさんの炭水化物に葉酸添加が義務付けられ、神経管閉鎖障害がかなり減ったのでした(Am J Clin Nutr. 2007;85(1):285S–288S.)。

・妊娠高血圧症候群という妊娠の合併症に対しても、葉酸サプリは予防効果がありそうです(Paediatr Perinat Epidemiol. 2018;32(4):346–357.)。

・生まれてくる子供の自閉症リスクも、葉酸サプリで減らすことができそうです(Mol Autism. 2017;8:51.)。

実は、葉酸は受精後2-3週間には十分な量がなくてはいけません(器官形成期)。食事からの葉酸が十分でない方で妊活中の方は、妊娠前からサプリを飲んだほうが良いです。

心血管病・死亡率

結論から言うと、葉酸のサプリを飲むことで、ある程度脳卒中の発症を抑制できそうです。

なぜか?葉酸が足りないと、ホモシステインという物質が蓄積し、それが脳梗塞の原因になるからです。1968年、低葉酸・高ホモシステイン血症の小児が重症脳卒中で死亡し、その病理解剖で脳血管にホモシステインがプラークのように蓄積していた報告(Am J Pathol. 1969;56(1):111–128.)がきっかけとなっています。

・2016年のランダム化試験30個のメタ解析では、葉酸サプリ(数mg/day程度)によって10%の脳卒中リスク低下が認められました(J Am Heart Assoc. 2016;5(8):e003768.)。そしてその効果は、「葉酸血中濃度が低い人」「心血管疾患の既往歴のない人」に特に有効でした。

・2018年のUmbrella reviewでは、low certainty of evidenceで脳卒中予防に効果あり、とされています(Ann Intern Med. 2019;171:190-198.)。この論文によると、心血管疾患予防効果があるだろうサプリは葉酸とオメガ3脂肪酸だけです。

controversialな領域ですが、癌を予防するエビデンスはないと考えておいて良いです。

・大腸癌に関する2018年のメタ解析では、葉酸サプリは予防効果なく、食事からの葉酸摂取は予防効果ありとされました(Clin Nutr. 2018;37(6 Pt A):1926–1934.)。前者はおそらく真実で、後者は交絡因子が取り切れていないと考えられます(葉酸を含む食べ物が健康に良いということ)。

このメタ解析には、少ないですが、葉酸サプリが大腸癌のリスクを増やすという研究も含まれています。癌も細胞分裂する際に葉酸が必要です。だからといって葉酸が癌の病勢を高める理由になりませんが、少なくとも癌予防効果はないため、癌の既往歴のある方や前癌病変のある方は、特段サプリによる葉酸摂取をする必要ありません(食事から十分摂取するようにします)。

認知症

認知症進行を予防する可能性がありますが(コホート研究で示唆されていますが)、はっきりとしたエビデンスは出ていません(Drugs Aging. 2019;36(5):419–434.)。長期間フォローした大規模ランダム化試験がありません。つまりなんとも言えませんが、全世界の専門家によるコンセンサスでは、安いし副作用がないから葉酸サプリを飲まない理由もない、ということです(J Alzheimers Dis. 2018;62(2):561–570.)。

葉酸、どうやって摂取する?

肉、のり類、緑茶、酵母、緑黄色野菜、卵と乳製品などに多く含まれます。

特に、のり(10gあたり190μg)、レバー(50gあたり500μg)、ほうれん草(100gあたり210μg)、アスパラガス(3本で120μg程度)がよい摂取源となります。

日本人はのりをよく食べますが、平成29年で平均294μgしか摂取していません。

サプリは、だいたい400μgくらいの含有量で、それで十分です。妊娠以外ガイドラインではっきり推奨はされていませんが、妊娠を考えている方、妊婦、心血管リスクの高い方、高齢者は葉酸サプリ摂取すると恩恵があるかもしれません。

結論

ビタミンB9、葉酸は胎児への良い影響、心血管疾患予防効果、認知症予防効果がありそうです。特段副作用ありません。

必要と思う方は自分でサプリをとりましょう。

ではまた。

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