ビタミンDの効果と摂取の注意点【科学的根拠まとめ】

ビタミン・ミネラルシリーズ第2段、ビタミンDです。あまりメジャーなビタミンではないかもしれませんが、実はカルシウムと同じくらい骨の健康に大事です。他にも様々な健康効果をもっています。

この記事では、ビタミンD摂取と健康の関連性、摂取における注意点を、科学的根拠を基に解説します。この記事を読むことで、ビタミンDについて正しい理解ができ、サプリを飲むべきタイミング(あります!)を判断できるようになります。

ビタミンDの効果

ビタミンDの効果

摂取不足による害、推奨範囲内で多めに摂る健康効果、過剰摂取による害、と3つに分けて考えましょう。

ちなみに、単位はIUかμg。1IU=0.025μgです。

摂取不足による害

ビタミンDはカルシウムと共に骨の代謝に関わるので、摂取不足となると骨の健康に関わります。

・ビタミンDが足りないと、カルシウムも足りなくなってしまいます(吸収できないため)。そのため骨からカルシウムが血中にリリースされてしまい、長期的に骨粗鬆症のリスクが高まります(二次性副甲状腺機能亢進症)。

・更にビタミンDの不足が顕著となると、もっと骨が悪くなります。小児ではくる病、成人では骨軟化症と言われます。骨粗鬆症による骨折リスク増加だけでなく、骨痛や筋肉痛も認められます。

過剰摂取による害

そこまで心配いらなそうです。

・ビタミンD中毒は高カルシウム血症に準じた症状がでます(食思不振、倦怠感、多尿、重症だと心室性不整脈)。

※カルシウムとビタミンDのサプリを一緒に飲むと、脳梗塞の(Ann Intern Med. 2019;171(3):190–198.)や腎結石(N Engl J Med. 2006;354(7):669–683.)のリスクを上げることが示唆されています。ビタミンDサプリ単独では、あまり報告されていません。

推奨範囲内で多めに摂る健康効果

様々な健康効果がたくさんの研究で検証されています。まず、2014年のUmbrella review(エビデンスの総まとめ)を紹介します(BMJ. 2014;348:g2035.)。

Umbrella reviewでは、「あるメタ解析で〇〇と結論された」情報がどれくらい信頼できるか、評価するものです。つまり、現時点で最も信頼できる情報となります。

この論文では信頼度合いを「Convincing – Probable – Suggestive – No conclusion – Substantial effect unlikely」と格付けしています。No conclusion以下のものはたくさんあるので、上3つだけ紹介します。血中ビタミンDが高い or ビタミンDのサプリを飲んでいることによる、健康への効果についてのまとめです。

<良い影響>

Convincing:なし

Probable:子供の虫歯(減る)、新生児の出生体重(増える)

Suggestive:大腸癌、脊椎骨以外の骨折、心血管疾患、高血圧、脳梗塞、脳卒中(=脳梗塞と脳出血)、認知機能、うつ病、BMI、メタボリック症候群、2型糖尿病、低出生体重児、妊娠糖尿病、骨密度、筋肉量

<悪い影響>

Convincing:なし

Probable:なし

Suggestive:転倒、慢性腎臓病患者の高カルシウム血症

わかりやすいですね。ビタミンDを摂ることで良い健康効果が色々期待されます(後述しますが、最新のエビデンスでは心血管疾患は予防できなそうです)。

この中で、特に重要な骨と筋肉、癌、心血管疾患、あとインフルエンザを取り上げてみます。

ビタミンD摂取と骨・筋肉

これが問題になるのは高齢者、特に閉経後の女性です。なぜなら骨粗鬆症の頻度が多いから。

彼らはビタミンDを欠乏している可能性がとても高く、ビタミンDのサプリによる骨折予防効果がある程度立証されています(Arch Intern Med. 2009;169(6):551–561.)。800IUのサプリ摂取により、骨折のリスクが20%減りました。ただし、400IUのサプリでは効果がありませんでした。ある程度高濃度のビタミンDでないと効果が期待されないのです。

ビタミンDのサプリによる転倒予防効果もあります。健康な高齢者にとって転倒の主要な原因は筋肉量低下が原因と考えるので、ビタミンDは筋肉にも作用するということです。700-1000IUのサプリにより20%程度転倒リスクが減りました。この効果も、低用量では認められませんでした。

上記のUmbrella reviewではSuggestiveのカテゴリーですが、専門家にはビタミンDサプリの効果は間違いなくあるだろうと思われています。そのため、骨折リスクの高い人にビタミンDサプリを処方することは、様々なガイドラインで定められています。

ちなみに、「1年1回高濃度のビタミンDのサプリを摂る」方法だと、逆に骨折と転倒リスクが増えると報告されています(JAMA. 2010;303(18):1815–1822.)。急に血中濃度を上げると、逆に悪いようです。

ビタミンD摂取と癌

日照時間の少ない場所=ビタミンDが合成されにくい場所では、くる病と同様大腸癌も多いという発見から(Ann N Y Acad Sci. 1999;889:107–119.)、様々な疫学研究が行われてきました。

が、質の高いランダム化試験は2019年にはじめて出版されました(N Engl J Med 2019;380:33-44.)。これは25000人に2000IUのビタミンDかプラセボを投与する試験(VITAL試験)で、5.3年フォローされています。癌による死亡のハザード比は0.83 (95%CI: 0.67-1.02)でした。有意ではありませんが、この試験を含めた最新のメタ解析では、ビタミンDのサプリによりがん死亡率が16%低下すると報告しています(BMJ. 2019;366:l4673.)。

このトピックではcontroversialですが、ビタミンDが不足しがちなpopulationでは、サプリにより癌予防効果があるだろうと言えるでしょう。

ビタミンD摂取と心血管疾患

上述のVITAL試験(N Engl J Med 2019;380:33-44.)では、明らかな心血管疾患予防効果はみとめられませんでした。VITAL試験を含めたメタ解析でも結果は同様でした(BMJ. 2019;366:l4673.)。上述のUmbrella reviewは2014年のものなので、最新の科学的根拠では、おそらくビタミンDの摂取により心血管疾患の予防はできないと言えそうです。

ビタミンD摂取とインフルエンザ

日本で興味深い研究が行われました(Am J Clin Nutr. 2010;91(5):1255–1260.)。350人くらいの子供に1200IUのビタミンDかプラセボを投与し、冬の4ヶ月でのインフルエンザ発症を比較するというものです。結果、ビタミンD投与群ではインフルエンザ罹患リスクが60%以上減りました。この研究は小規模ですが、参考になる部分もあります。

というのは、冬にインフルエンザが流行する一つの理由に、日照時間が少ないからビタミンDを血中濃度が下がることが言われてきたからです(Epidemiol Infect. 2006;134(6):1129–1140.)。

まだ確定的ではないし、インフルエンザ予防にはインフルエンザワクチンが最も有効ですが、冬にビタミンDを摂取することで感染症を予防する効果があるかもしれません。

ビタミンD、どれくらいどうやって摂取する?

ビタミンDは、1歳以上は600IU以上、70歳以上は800IU以上の摂取が推奨されています。

日光(に含まれる紫外線)による自分の皮膚での合成、もしくはサプリからの補給がメインです。

食事からの摂取は、なかなか難しいです。

逆に言うと、普通に外出して日の光を浴びれば、それだけで十分なビタミンDが合成されます。なので、日の光を浴びないデスクワークの人、皮膚でのビタミンD合成力が低下している高齢者や黒人、日照時間の短い場所(北緯40度より北など)に住む人は、ビタミンD欠乏の大きなリスクです。

<日光>

・日光でどれくらいのビタミンDが合成されるのでしょうか?日の光が強い場所で15分くらい全身に日光を浴びると、1000IUのビタミンD摂取くらいの意味合いがあるかもしれません(J Am Acad Dermatol. 2010;62(6):929.e1–929.e9299.)。

日光をいくら浴びても、ビタミンD過剰症となることはありません。浴びすぎるとビタミンD合成を抑制する物質が合成されます(J Am Acad Dermatol. 2006;54(2):301–317.)。

・ただ、ビタミンDとは全く別の観点ですが、紫外線を浴びすぎると皮膚がんの原因となります(J Am Acad Dermatol. 2006;54(2):301–317.)。

・ちなみにSPF10の日焼け止めを塗ると、90%くらいビタミンD合成が低下するといいます(Pediatrics. 2011;127(3):e791–e817.)。

<食事>

きのこ、魚介(かつお、いわし、さば、さけ、あんこうなど)、ビタミンD添加食品に含まれます。一概には言えませんが、一食50-150IU程度のビタミンDを含有していると思われます。

なかなか1日600IU摂取することは困難です。

最初に言ったとおり、摂取源は日光とサプリがメインなのです。

例えば国民健康栄養調査にて、日本人成人の平均摂取量は7.3μg = 292IUと低めです。が、これは食事からの摂取量。よく日光を浴びていれば問題ありません。実際、日本でくる病や骨軟化症をみることはほとんどありません。

実際どうする?

食事による摂取は難しいので、あまり考える必要ないです。

まずは定期的な日光浴、それができない人はサプリによる摂取をおすすめします。

ビタミンDは脂溶性ビタミンだから副作用が心配で。。」という方は多いと思います。が、そもそも不足している人が多く、過剰摂取による問題はほとんど起きません。しかも、サプリの効果は、高用量(800IU以上)のビタミンDサプリを使わないと認められなかったとする報告が多いのです。

晴れが少ない場所や季節、ずっと屋内で作業している方、高齢者は、ビタミンDのサプリにより健康効果が期待できます。

日本では1000IUのサプリがたくさん販売されています。上記のような方は、これを定期的に摂取することで、上記様々な健康効果が期待できます。

結論

ビタミンDは日光かサプリから。

現代、不足している人が多いので、リスクが高いと自己判断したらサプリを飲みましょう。

ではまた。

-食事と健康

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