心筋梗塞と狭心症の違い

心筋梗塞と狭心症、似ていて非なるものです。この違いを知ることは、誰にとっても重要です。

実は分類がちょっと込み入っている部分があり、医師でもはっきり認識していない人が多くいます。

この記事では、心筋梗塞と狭心症の違いをはっきり、わかりやすく解説します。

 

心筋梗塞と狭心症の違い

狭心症と心筋梗塞の違い

心筋梗塞は命に関わり、狭心症は命に関わらない。どっちも心臓の血管(冠動脈)の動脈硬化を原因とする。

だいたいOKです。

でもそれくらい誰でも知ってますね。

 

厳密にしっかり分けましょう。

共通点:

冠動脈の狭窄又は閉塞で、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液(酸素)が送られない状態

違い:

心筋梗塞:心臓の筋肉(心筋)が死ぬ(血液検査でトロポニンが上昇する)

狭心症:心筋が死なない(血液検査でトロポニンが上昇しない)

 

心筋が死ぬから、命に関わるんです。

これが超重要な違いです。

 

これでOK、と思いきや、さらに少し細かいことを知る必要があります。

ちょっと細かく分類してみましょう。

 

 

心筋梗塞を分類する

特に医療従事者の方、よーく知っておきましょう。

 

まず時間軸:心筋梗塞は大きく急性か陳旧性かに分けられる。

→急性は今(48時間以内)起きたもの、陳旧性は昔起きたもの。

大事なのは急性心筋梗塞なので、一般的に「心筋梗塞」と言われるものは急性心筋梗塞を指す。

 

*ちょっと前に起きたもの(数日前とか)はrecent MIとか言われる。MIはmyocardial infarctionで心筋梗塞の略。

 

 

次に急性心筋梗塞を分類します。大きく2通り。

 

1: 来院時の心電図で分ける:ST上昇型と非ST上昇型に分けられる。

→ST上昇型はすぐにでも治療したほうが良い(1分1秒急ぐ)

→非ST上昇型は48時間以内くらいに治療したほうが良い(厳密にはいろんな治療基準があります)

 

2: メカニズムで分ける:

→Type1:冠動脈の中のプラーク(動脈硬化)を原因として冠動脈内に血栓が形成、冠動脈が閉塞 or 高度狭窄して生じる

Type2:酸素需要と供給のミスマッチによる。つまり、もともと狭心症でぎりぎり血流量を保っていた人が、感染症とかで普段より沢山酸素が必要となり、十分に供給できない状態

Type3:心筋梗塞が原因と考えられる突然死

Type4a:経皮的冠動脈形成術(PCI)という狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療に伴って生じたもの

Type4b:昔PCIで冠動脈に入れたステントが、新しく血栓で詰まってしまう

Type5:冠動脈バイパス手術(CABG)という狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療に伴って生じたもの

 

*ちょっと細かい話になるが、Type1 MIはさらに3種類くらいに分けられるとされる。

・plaque rupture:動脈硬化で形成された冠動脈内のプラークが破綻、その場所に血栓が形成されるもの。一番典型的とされるやつで、だいたい6-7割。

・erosion:冠動脈の内皮が削れてしまい、そこに血栓が形成されるもの。プラーク破綻でない殆どのものの原因で、だいたい3割。

・calcified nodule:冠動脈内の微小な石灰化(これも動脈硬化で形成される)を原因とし、その上に血栓が形成されるもの。大体5%。

 

*ここにはないが、冠動脈攣縮といって、冠動脈自体がキュッと締まってしまう病気があり、これも重症度によっては心筋にダメージが生じる=心筋梗塞となり得ます。

 

 

狭心症を分類する

狭心症もなめたもんじゃないですよ。

 

・安定か不安定か

これが一番大事。

安定狭心症とは、運動すると胸が痛くなるが、休むと戻るやつ。これは冠動脈が動脈硬化で狭くなっているため、運動して血流量が必要になると(需要が増えると)血流が足りなくなる(虚血となる)。

不安定狭心症とは、そうでないやつ。これは安静にして入院、早めの治療が必要。でないと急性心筋梗塞になるから。つまり急性心筋梗塞の前触れ。

 

*数年前まで、不安定狭心症は今の非ST上昇型心筋梗塞に分類されていました

→どういうことかというと、心筋ダメージを判定するトロポニンというバイオマーカーの感度が上がったため、ちょっとの心筋ダメージもひろえるようになったのです。なので、今は不安定狭心症がかなり減っています(非ST上昇型心筋梗塞が増えています)。

 

*臨床的には、不安定狭心症をどうdetectするかが一番大事です。間違えて帰宅させたら急性心筋梗塞になって命に関わってしまうから。

→その基準で一番有名なのがBraunwaldの基準です。知らない方・忘れた方は日本循環器学会ガイドラインでチェックしましょう。

 

 

・労作性か非労作性か

→労作性とは運動すると胸が痛くなるという症状を示します。非労作性という語はあまり使いません。労作性なら安定狭心症です。

 

 

・異型かどうか

→異型狭心症というのは、冠動脈攣縮(血管がびっくりしてギュッとしまってしまう)のを原因とする狭心症です。労作性狭心症は動脈硬化で冠動脈が細くなってしまうのが原因なので、違います。

→なんで攣縮してしまうかというと、アセチルコリンへの感受性が高いことなどいくつか考えられています。

→典型的には、お酒を飲んだ次の日の朝に胸痛で目が冷めた、いつも夜寝る前になると胸が痛くなる、などです。

冠動脈攣縮性狭心症=異型狭心症です。

 

 

まとめ

心筋梗塞は心臓にダメージが生じて命に関わるもの。狭心症は命に関わらないもの。

でも不安定狭心症は心筋梗塞の前兆なので、安静と早めの治療が必要。

ではまた。

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