エビデンスレベルとは?誰でも分かる解説

エビデンスレベルとは、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。これは情報の信頼度を表す階層で、とても重要な概念です。「コーヒーが心血管病を予防する」のはどのくらいのエビデンスレベルか?みたいに利用します。

この記事では、エビデンスレベルとは何か、その注意点は何か、についてわかりやすく解説します。この記事を読むことで、「エビデンス」という言葉への嫌悪感が減り、私達の実生活に活かせる有用な情報をどのように収集できるか、知ることができます。難しくありません。是非一読下さい。

エビデンスレベルとは?

エビデンスレベルとは

「エビデンス」とは、その事項(コーヒーが心血管病を予防する、など)がどれくらい信頼できるか、という指標です。つまり「エビデンスレベル」とは、その事項がどれくらい信頼できるか、半定量化したもの、ということになります。

エビデンスは研究を基に定められるので、研究の信頼性=エビデンス、ということになります。

国や学会毎にエビデンスレベルの定義が異なりますが、大抵こんな感じです。

メタ解析>ランダム化研究>コホート研究>症例対照研究>ケースシリーズ>エキスパートオピニオン

より詳細には(Plast Reconstr Surg. 2011; 128(1): 305–310.)、大体次のような感じです(参考までに具体例もつけてみました)。

<予後への影響を調べた研究>

Level 1: 高品質かつ大規模な前向きコホート研究、またはそれらのメタ解析
👉例えば、コーヒーと心血管病の関係を調べた、日本とアメリカとスペインと、、の大規模コホート研究を総合して解析した研究。もしくは、数十万人規模のアメリカのコホート研究。

Level 2: やや質の劣る前向きコホート、後ろ向きコホート、ランダム化研究の非治療群、それらのメタ解析
👉例えば、十万人程度の日本のコホート研究。

Level 3: 症例対照研究、そのメタ解析
👉例えば、その日本のコホート研究の中で行った2000人規模の症例対照研究。

Level 4: ケースシリーズ
👉コーヒーと心血管病の関連が強く疑われた5人の報告。

Level 5: エキスパートオピニオン
👉「コーヒーは抗酸化作用があるから健康に良い」という教授の意見。

<治療の効果について調べた研究>

Level 1A: ランダム化研究のメタ解析(で研究間の均質性が保たれている場合)
👉例えば、心血管病に対するビタミンCとプラセボの大規模二重盲検試験(ランダム化研究)20研究を総合して解析した研究。

Level 1B: 質の良いランダム化研究
👉20万人規模で20年間全員をフォローアップした、心血管病に対するビタミンCとプラセボの大規模二重盲検試験。

Level 1C: All or none study
👉ビタミンCという治療法が開発され、その後劇的に心血管病が減ったという報告。

Level 2A: コホート研究のメタ解析(で研究間の均質性が保たれている場合)
👉ビタミンCと心血管病の関係を調べた、日本とアメリカとスペインと、、の大規模コホート研究を総合して解析した研究。

Level 2B: ランダム化研究
👉2万人規模で5年間フォローアップした、心血管病に対するビタミンCとプラセボの大規模二重盲検試験。

Level 2C: アウトカム研究、エコロジカル研究
👉ビタミンCサプリをたくさん使用するマサチューセッツ州の方が、ほとんど使用しないミネソタ州よりも、心血管病発生率が少ない、という研究。

Level 3A: 症例対照研究のメタ解析
👉上述した2万人規模のコホートの一部で行った2000人規模の研究、のような研究をまとめた解析。

Level 3B: 症例対照研究
👉2万人規模のコホートの一部で行った2000人規模の研究。

Level 4: ケースシリーズ、質の低いコホート研究や症例対照研究
👉明らかにビタミンCサプリによる心血管病抑制効果が認められた5人の報告。

Level 5: エキスパートオピニオン
👉「ビタミンCは抗酸化作用があるから健康に良い」という医者の意見。

上に行くほど、信頼できる情報ということです。

お気付きの通り、ネットにあり簡単に入手できる情報は、ほぼ全てがエキスパート以下なのです。つまり信頼性がめちゃめちゃ低い。

次に、念の為それぞれの研究について説明します。

メタ解析:今まで全ての研究結果をまとめて解析する手法
ランダム化研究:ランダムにある治療法を使う人と使わない人を決め、その効果を比較する研究
コホート研究:治療法の使用はランダムに決まっていないが、その他の因子(年齢、性別など)を調整することで、同じような集団でのその治療法の比較をする手法
症例対照研究:コホート研究の一部を使い行う研究(詳細略)
All or none study:それまで致死的だった疾患が、ある治療薬により劇的に生存率が向上した事象を示す研究。知らなくて良いです。
エコロジカル研究:人でなく’地域’などをサンプルとした研究。知らなくて良いです。
ケースシリーズ:特徴的な症例のまとめ
エキスパートオピニオン:権威の高い人の意見

研究手法についてもっと気になる方は、この記事を御覧ください。

エビデンスヒエラルキー

エビデンスヒエラルキー
Wikipediaより

このように階層をビジュアル化したものを「エビデンスヒエラルキー」といいます。
繰り返しになりますが、「メタ解析>ランダム化研究>コホート研究>症例対照研究>ケースシリーズ>症例研究」、という階層を示すことが多いです。

単純に、その順にエビデンスレベルが高い、ということを図示しているのですが、、これがそうとは言えない、ということは研究者の中では常識になっています(次に説明します)。

エビデンスレベルへの批判

エビデンス=情報の信頼度というものはそんなに単純でなく、エビデンスレベルのように単純化して「研究手法=情報の質」とまとめてしまっては、色々なものが失われます。当たり前ですが、悪いメタ解析もあるし、良いコホート研究もあります。

特にメタ解析=最強のエビデンス、と短絡的に考えるのは良くないと考える専門家が多いです。論文にて批判をする人も多く、例えば次のようなものがあります。

・エビデンスヒエラルキーでなく、研究手法のヒエラルキーだ。メタ解析は、大規模な研究にウェイトを置き、個々の人に適用できる結果でなくなってしまう(Perspect Biol Med. 2005;48(4):535–547.)。
質の高いコホート研究が十分に評価されない(Eval Health Prof. 2013;36(1):3–43.)。
・メタ解析は手法によって結論が変わりうるから、メタ解析=信頼できる、というのは短絡的過ぎる(Stud Hist Philos Biol Biomed Sci. 2011;42(4):497–507.)。

他にも色々ありますが、「メタ解析だから信頼できる」と言っちゃうのは危ないよ、ということです。

私達はどのように情報収集すべきか

最低でもメタ解析、可能ならそれぞれのコホート研究やランダム化研究を参照して、事の真偽を確かめる能力が重要なのは言うまでもありません。でもそもそもの問題は、私達の多くはエビデンスを知らないため、人から聞いたことやネット上の情報を信じてしまうことにあります。しかしそういうものは、エビデンスレベルとしてはエキスパートオピニオン以下です。全く信頼できません

エビデンスレベルが如何に単純化されていようとも、メタ解析の論文とその結果を知っていれば、現状ヘルスリテラシーが高いと評価されえます(ヘルスリテラシーについてはこちら)。つまり、メタ解析に狙い撃ちして情報収集することは、間違った方法とは言えません(むしろ専門外の方には推奨します)。

また一方、事の真偽を実際の論文まで調べて解釈することは、多くの方にとって容易でありません。そういう場合はどうすべきか?信頼できる情報源、専門家を頼りにする他はないのかもしれません

Googleもこの問題を重要視しており、健康に関するトピックについてはE-A-T (Expertise-Authoritativeness-Trustworthiness)が重視されています。このブログは、一次情報(論文)をベースとした信頼できる医療情報を紹介しています。この問題解決のためにブログをやっていると言っても過言でありません(私のモチベーションはこちら)。参考にして頂ければ嬉しいです。

結論

エビデンスレベルには様々な批判があるものの、情報の信頼度として参考にはなります。エキスパートオピニオンに騙されないように、「その情報はエビデンスがあるのか」批判的になれるようになりましょう。

ではまた。

-ヘルスリテラシー

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