心房細動をみつける(のは大変)

心房細動こそ、一般時にとって一番重要な不整脈と言っても過言でないでしょう。

一番有病率が多いし、多くの場合脳梗塞予防のため抗凝固薬を飲む必要があります。

そして無症候性のものも多い。これをどう見つけるかが最近の課題です。

これに関する最新の論文を紹介します。

 

 

心房細動をみつける(のは大変)

心房細動をみつける(のは大変)

心房細動、すぐに命には関係ないけど、脳梗塞の大きなリスク。

これを早期発見、介入することはとても大事です。

Apple含む大企業がこの目的で動いていますね。Apple Heart Study(Apple watchを用いた心房細動のスクリーニング)とか、有名です。

 

*実は、絶対的にバラバラの脈であれば、ほぼ心房細動です。

なので自分の手首で脈をとって確認すれば、こんな大掛かりな事は必要ありません。

でもそれができる人は本当に限られているから、ニーズがあるのです。

 

今後この領域はどのように発展していくのか。

最近の心房細動スクリーニングについてまとめた論文(Circulation. 2020;141:1523–1526.)と最新の研究(Circulation. 2020;141:1510–1522)を紹介します。

 

 

色んな研究が行われてきた。今の状況は?

今まで何がわかって、何がわかっていないか。

これを把握するのが一番大事ですね。

最近の研究結果を簡単にまとめてみます。

 

埋込式の脈モニタリングは使える:CRYSTAL AF研究

Insertable cardiac monitoring, ICMと言います。

これは胸に埋め込んで、遠隔で脈のモニタリングを行う機械です。局所麻酔で比較的簡単に埋め込めます。

ICMの良い点は、24時間365日、ずっと脈をモニターできるということ。そして皮下に埋め込むので、正確な診断ができます。

 

対象は「原因のわからない」脳梗塞患者。心房細動が原因かもしれないが、そうでないかもしれない。

こういう方に3年ほどICMを使うと、一定の割合で心房細動を検出、抗凝固療法に繋げられた、という話でした。

 

 

高齢者に心電図をとってみる:STROKESTOP研究

特に症状がない75歳以上の方に2週間ごとに心電図をとってみました。

すると、なんと12.3%もの人に心房細動が認められた、という報告です。

スウェーデンより。

 

患者、医療機関的には負担になる話ですが、もし本当にそれほどたくさん患者がいるなら、積極的に考えるべき方法かもしれません。

 

*ASSERT-II研究、REVEAL AF研究にて、高齢者・心血管リスクの高い方には、

心房細動は実は無症候性でよく隠れているが、あまり持続しない

ということがわかっています。

 

 

無症候性心房細動に対する抗凝固療法の意味は?

高齢者の隠れた心房細動、しかもあまり持続しないものに対し抗凝固療法が有効なのか。

これはまだわかっていないことです。

今走っている、ARTESIA試験、NOAH試験、LOOP試験でこれが検討されています。

 

 

心房細動を発見する、一番良い方法

さて、最新の研究の紹介です(Circulation. 2020;141:1510–1522)。

LOOP試験のサブ解析です。LOOP試験とは・・・とか説明すると長くなるので、主要な結果のみ。

 

無症候性の心房細動を検知するため、以下それぞれがどれくらい有効か、検証しました。

・10秒の心電図1回

・1日2回、30秒の心電図を14日間

・24時間連続心電図モニタリング1回

・48時間連続心電図モニタリング1回

・72時間連続心電図モニタリング1回

・7日間連続心電図モニタリング1回

・30日間連続心電図モニタリング1回

 

実際はずっと埋込み型ループレコーダーでモニタリングされており、心房細動があるかないかは循環器内科医が診断しています。

つまりこれはシミュレーション研究です。

対象者は高齢、脳梗塞リスクの高い人(平均76歳)。

 

3年くらいフォローアップして、35%の人に心房細動がありました。

全員、全体の脈の中で、心房細動だった時間は2.7%でした。

 

 

結果、感度(陰性適中率)はこんな感じでした。

・10秒の心電図1回:1.5% (66%)

・1日2回、30秒の心電図を14日間:8.3% (67%)

・24時間連続心電図モニタリング1回:11% (68%)

・48時間連続心電図モニタリング1回:13% (68%)

・72時間連続心電図モニタリング1回:15% (69%)

・7日間連続心電図モニタリング1回:21% (70%)

・30日間連続心電図モニタリング1回:34% (74%)

 

*当然ですが、心房細動の期間が長い人では、検出率は高かったです。

 

 

解釈は?

埋込み型ループレコーダーをやれば理論上完全に検出可能なわけです。

そう考えると、30日間連続心電図モニタリングをやっても全然検出できていない(30日間で心房細動がなかった人のうち、実は26%も心房細動が隠れている)。

 

*30日間連続心電図モニタリングを行う臨床医は「これで検出できないなら、さすがに無いだろう」という気持ちでやります。

なので、これは直感に反した結果です。

 

*当然ですが、心電図1回とった所で全く意味ありません。感度1.5%です。

 

つまり、心房細動のリスクが高い人には、24時間365日モニターしたほうが良さそう、というメッセージです。

ただ当然、全員に埋め込み型ループレコーダーをやるのは現実的ではありませんよね。

そのためにたくさんの臨床研究が行われており、「誰にやるべきか」具体的なガイドラインがそのうちできてくると思います。

 

さらに言うと、埋込み型以外の方法(Apple watchやfitbitなど)も実際期待されています

まだ正確性が怪しいですが、これが改善すれば、埋め込まなくて良くなります。

これは患者にとってみれば大きいですよね。

 

*ループレコーダーでも、かなりの偽陽性(心房細動と思われた波形がそうでなかった)があります。

46%ほどが偽陽性だという報告もあります。

この研究では2人の循環器内科医で心房細動の診断を行っていますが、これは臨床研究だからできることですよね。

埋め込んでもこの程度なので、腕時計でやるにはもっと技術革新が必要ですね。

 

 

結論

心房細動を見つけるのは大変。

30日モニターしても十分でない。技術革新が必要。

ではまた。

-心臓病, 論文解説

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