コロナは空気感染するのか。
前から議論されている内容で、今まで直接的なエビデンスはありませんでした。
しかし最近WHOが「空気感染の可能性がある」とコメントし話題になりました。
実際、現時点でどの程度のエビデンスがあるのでしょうか。はっきりさせておきましょう。
Contents
コロナって空気感染するの?
この記事で紹介した論文では、実験系においてコロナウイルスは飛沫核感染のポテンシャルがあることが示唆されました。
最近WHOが「空気感染の可能性がある」とコメントし話題になりましたが、これは今回紹介するコメンタリー(アメリカ感染症学会の雑誌に掲載されたもの)に基づきます(Clinical Infectious Diseases 2020: 10.1093/cid/ciaa939)。
筆頭著者はWHOの方です。
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「新型コロナウイルスは、数メートルの範囲で飛沫核を吸い込むことで感染する可能性が十分ある」ということを医学界に認識させ、必要な予防策を取ることを推奨するための論文です。
「息を吐く、話す、咳するということで飛沫核が排出され、空気中に浮遊する。感染者の飛沫核を吸い込むことで、1-2m程度の範囲でウイルス暴露する可能性がある」
ということが以下のような研究で示されてきています:
・SARS-CoV1(いわゆるSARSの原因)は空気感染が示唆されてきた(NEJM 2004; 350, 1731-1739.)
・中国のレストランのビデオを分析した研究では、直接接触していない集団での感染が認められた→空気感染が示唆された(medRxiv, 2020【プレプリントです】)
・RSウイルス、MARS、インフルエンザウイルスについても、空気中の飛沫核を介した感染が示唆されている(そうなんだ!!)。よって、SARS-CoV2(COVID-19の原因)もこの感染形態をとらない理由がない。
・SARS-CoV2が5µmより小さい飛沫核内でも感染性を維持することが示されている(Nature, 2020; in press.)
✔今の感染予防は、手洗いとsocial distancingがメインで、それは適切だが、十分とは言えない
→密集していたり密閉した(換気の悪い)場所は感染リスクが高いと考えられる
(三密を避けるというのはとても良いガイドラインですね!!)
具体的にはこんなのが重要:
・換気を良くする。特にビル、仕事場、学校、病院、介護施設
・局所排気、空気清浄、殺菌灯も有効かもしれない
・密集を避ける。特に公共交通機関やビル
著者らは、「空気感染がない」という認識は危険だと思っています。
手洗いとsocial distancingをすれば感染しない、という(おそらく誤った)認識となってしまうから。
→実際は空気感染予防策を講じることで、さらなるリスク低下が見込める、と。
日本はすごい!
空気感染の可能性がないとは言えない、ということをみんな認識しよう!
という趣旨でした。
いろんな研究が現在進行中ですが、ちょっと考えればSARS-CoV1でそういうエビデンスがあるなら、当然Cov2でも同様だと考えるのが自然ですね。
ただ、麻疹ほどの空気感染能力があるわけではありません。それはR0で現れてくるので。
*麻疹はR0が12~18くらい。コロナは2~3くらいでした
空気感染があるという強いエビデンスが今後出たとしても、R0が変わるわけではありません。
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このメッセージは、「空気感染するからもっと厳格にコントロールせよ!」というものではなく、「今の政策に加えて、密集を避け+換気を良くしよう!」というものです。
まさに三密を避ける!
三密を避けるということがここまで周知されている日本という国は凄いですね。
「三密」という2文字に感染予防策を詰め込んだ事が凄い。
空気感染するからといって、日本で大きな方針転換をする必要はないと感じます。
結論
三密を避ける、にすべて凝縮される。
ではまた。