Attributable fractionを適切に使おう

前回の記事で、いわゆるattributable fractionとはexcess fractionを表すに過ぎない、ということを解説しました。

etiologic fraction, incidence-density fractionという他の指標もあります。

何が良いのか?どんな問題があるのか?

この記事ではattributable fractionについて、より具体的に、突っ込んで解説していきます。

 

 

Attributable fractionを適切に使おう

Attributable fractionを適切に使おう

簡単に復習しましょう。

・一番簡単に計算できるattributable fractionとはexcess fraction

→これは時間の概念を無視しており、単純に発症率の比較である

etiologic fractionとは、発症時間が早まった(遅くなった)ものも、その暴露因子の「影響」と考えて計算したもの。

→計算は難しい。

incidence-density fractionとは、rateを(excess fractionを表す)attributable fractionに当てはめたもの。

→特定のまれな条件下でetiologic fractionを表す。

 

個別のシナリオを考えて、それぞれの違いを明確にしましょう。

 

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✔ある薬Xの使用が、妊娠中の胎児死亡についてどれくらいの原因となるか?

この場合、「Xにより胎児死亡の時間が早まる」というのは、そんなに重要な意味を持ちません。

知りたいのは、(妊娠期間において)胎児死亡の確率がどの程度増えるか。

適切な指標は、excess fractionです。

 

 

✔運動により心筋梗塞がどの程度予防されるか?

運動による予防の効果は、心筋梗塞の発症年齢を遅らせることにあります。

遅らせた結果、フォロー期間内に発症する人もいるし、予防されて発症しない人もいます。

適切な指標はetiologic fractionということです。

 

 

✔Tay-Sacks病とハンチントン舞踏病の原因遺伝子の違いは?

どちらも発症したら、寿命が100%縮まります。

違いは、Tay-Sacks病は若年のうちにほとんど亡くなってしまうが、ハンチントン舞踏病の患者さんは長年生きるということ。

どちらも遺伝子変異を原因とする疾患で、ここではその遺伝子変異を暴露因子と考えます。

 

etiologic fractionは、どちらの遺伝子変異も1です。寿命が短くなるので。

適切な指標は?

一つは、20歳でのexcess fractionです。

Tay-Sacks病はほぼ1となり、ハンチントン舞踏病はほぼ0となります。

もしくは、小児期でのincidence-density fractionも良いです。

 

 

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ということで、「一番良いattributable fractionの指標」というものは無いのです。

コンテクストによります。

 

 

Attributable fractionの問題

attributable fractionを使おうと考えた時、問題は種類だけではありません。

いくつか見ていきましょう。

 

✔Interactionが加味されない

例えば、喫煙とアスベスト暴露にinteractionがあるとします。

つまり、アスベスト暴露による肺がん発症リスクは、非喫煙者より喫煙者の方が高い、と。

この場合、「アスベストのattributable fraction」と「喫煙のattributable fraction」を足せば「アスベスト+喫煙のattributable fraction」とならないですよね。

 

✔アウトカムの重症度が加味されない

attributable fractionで言えるのは、「それによる発症又は発症までの時間の短縮」です。

アウトカムの重症度は加味されません。

これは多くの疫学研究の指標で共通する問題ですが、なぜここに取り上げるかというと、attributable fractionは裁判で多用されるからです(アメリカでは)。

attributable fractionに応じて補償額を決める。

でも重症度が加味されてないので不完全な指標、ということです。

 

✔交絡因子が加味されない

attributable fractionは簡単に計算できますが、前提は「2群が暴露因子の他が同じ属性である」ということです。

これは言い換えるとランダム化されている場合、ということ。

交絡因子が加味されないのです。

これは因果関係を言及する上で非常にまずいです。

*実はattributable fractionの交絡因子を調整する方法は、あります(あまり知られていないだけです)。

 

 

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etiologic fractionの計算は、紹介した昔の論文では「できない」と結論されていますが、一番近い概念はRestricted mean survival timeなんだと思います。

*詳細はこちらの記事にて

IPWを用いたPseudopopulationでのRMSTは「Years of life lost」(イベントが死亡の場合)を意味し、これはetiologic fractionの概念と似ています。

 

少なくとも、自分がattributable fractionのうち何を計算しているのか、はっきり認識することが重要です。

 

 

結論

Attributable fractionを考える上で注意する事項をまとめました。

論文に出てきたら、これらのことを念頭に置きましょう。

ではまた。

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