新型コロナ、無症候性はどれくらい感染力あるのか

新型コロナウイルス感染症の特徴として、感染力のある無症候性患者が挙げられます。

感染が中々コントロールできない原因として、非常に重要です。

実際どれくらいの割合が無症候なのでしょうか?彼らはどれくらい感染力があるのでしょうか。

無症候性感染に関する重要な研究が最近発表されましたので、この記事で解説します。

 

 

新型コロナ、無症候性はどれくらいいるか、どれくらい感染力あるか?

新型コロナ、無症候性はどれくらいいるか、どれくらい感染力あるか?

新型コロナウイルス。何割が無症候性感染か。

この問いに答えられる方はどれだけいるでしょうか。

 

記憶に新しいのはダイアモンドプリンセス号での感染でしょう。

この状況を解析した論文は実はすでに発表されています(Euro Surveill. 2020;25(10):2000180.)。

これによると、無症候性感染は17.9% (95%CI: 15.5-20.2%)とのことです。

 

しかし。

本当にそれだけの割合が無症候なのでしょうか。

実は、後日症状出現しているのではないでしょうか。

無症候の人は、どれだけウイルスを排出しているのでしょうか。

 

 

4/24, New England Journal of Medicineに、高度看護施設(skilled nursing facility)でのアウトブレイクを追って調査した、重要な報告が発表されました(N Engl J Med. 2020;10.1056/NEJMoa2008457.)。

 

これを解説していきます。

 

*高度看護施設とは、専門的看護をする老人ホームのようなものです。

 

 

どんな施設・状況?

ワシントン州にある116ベッドの高度看護施設で、3/1に職員が感染判明、その方が担当だった部屋で感染が蔓延しました。

3/6にCDCが介入、全例検査を始めた、という状況です。

 

3/3時点で89名の入居者がいた施設です。

3/13、3/19-20に2回の検査が施行され、感染者の追跡が行われました。

さらに、症候者、無償後者がどれくらい感染力をもっていたか、検討されました。

 

さて、この閉じた空間で、何が起きていたのでしょうか。

 

*この研究では、次のように用語を定義しています(重要)

asymptomatic: 新しい症状が前14日間なし、PCR検査後もなし

presymptomatic: 新しい症状が前14日間ないが、PCR検査後7日以内に出現

symptomatic: 新しい症状が前14日間にあり

 

 

結果:検査時無症候だった感染者は多かった

結果:検査時無症候だった感染者は多かった

この図が全てを物語っています。

 

・3/13に76人が検査

・3/13で陽性だったのは23人、うち1人がasymptomaticで11人がpresymptomaticでした

・3/13で陰性だった52人のうち、3/19-20で24人が陽性

→その24人のうち2人がasymptomatic, 13人がpresymptomaticでした

 

まとめると、

76人中48人がPCR陽性。

検査時無症候だったのはそのうち27人 (56%)。

しかし完全に無症候だったのは3人のみで、24人はその後に症状が認められました。

 

検査時無症候だった感染者はかなり多い

症状ある人に限定した対策では不十分であることが示唆されました。

 

 

結果:無症候者も感染力が十分あった

結果:無症候者も感染力が十分あった

 

cycle thresholdというPCRの閾値(小さいほど排出するウイルス量が多い)を、症状の有り無しで比べました。超重要なポイントです。

 

presymptomaticの人は、symptomaticの人と同じくらい、cycle thresholdが低い=排出するウイルス量が多い人がいました。

→つまり、症状の有無と、排出するウイルス量はあまり関係が無いことが示唆されました。

 

・そしてウイルス培養で陽性となるか、という視点で検証されました。

上のFigureの赤い◯が陽性となった方です。

presymptomaticでcycle thresholdが低い方ではほぼ検出されたことになります。

 

具体的にはこんな感じでした。

典型的な症状ありの患者:10/16

非典型的な症状ありの患者:3/4

presymptomaticの患者:17/24

asymptomaticの患者:1/3

 

*ウイルス培養の詳細は省きますが、(PCRより)しっかりウイルスが同定される方法、との認識でOKだと思います。

 

 

解釈は?

この論文は、

実は感染している症状がない人は、(その後に症状が出てくる人は)十分にウイルスを排出する。

だから、症状のスクリーニングで感染を判断するのは十分でない。

高度看護施設においては、検査をベースにしたスクリーニングが行われるべきかもしれない。

というメッセージです。

 

高度看護施設にいる対象は高齢で併存疾患が多く、免疫力の低い人たちです。

実際、症例数が2倍になる期間は3.4日だったそうで、これは施設外の5.5日と比較しかなり短いです。

彼らはある程度特別に注意して管理されるべきかもしれません。

 

★limitationを認識しておきましょう。

・この結果・解釈が他の集団に当てはまるかは不明です。

・無症候のスタッフは検査されておらず、彼らによる感染の程度は不明です。

 

*この論文から、「全員検査したほうが良い!」という解釈には至りません。あくまで高度看護施設での話。この点注意しましょう。

 

 

結論

無症候患者もしっかりウイルスを排出しうる。

高度看護施設においては、症状のスクリーニングでは感染予防に不十分かもしれない。

ではまた。

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