コロナ感染症は重症になると致死率が高いと言われています。
今回は症例報告。コロナ感染症で肺性心となった4例の報告です。
どんな経過をたどったか、臨床医は知っておくべきですね。
臨床研究でないので何か因果関係を言っているわけではありませんが、参考になります。
コロナ感染による肺性心・・症例報告
New England Journal of Medicineからの症例報告です(NEJM 2020 10.1056/NEJMc2010459)。
BMI34の42歳男性。COVID-19による呼吸不全でICUに入院しました。
入院したときはBNP、トロポニン、D-dimerが高値でした。
DVT予防にヘパリン投与されました。以前の心エコーは正常でした。
ICU病日8日目、急に低血圧となり、心肺停止(PEA)となりました。
CPRが開始され、心拍再開しました。心エコーにて、右心系の拡大があり、収縮能が著明に低下していました。
そしてCTにて、右肺動脈に巨大な血栓が閉塞していることが確認されました。
このような経過の患者が4例認められました。
そのうち3名は死亡、1人は抗凝固薬にて改善しました。
COVID-19の重症化のキーは血栓症か
最近様々な報告がされていますが、臨床上COVID-19の重症化に関しては血栓症が重要化と考えられてきています。
若年で脳梗塞が起きたり、死亡リスクにD-dimerが関係したり。
重症感染症でDICが起こるのは当然ですが、それを考慮しても血栓症がかなり重要かと思われます。
この症例は肺性心とありますが、肺血栓塞栓症が原因でした。
急性の肺血栓塞栓症であれば、心停止しても不思議ではありません。
予防に抗凝固はreasonableですが、防ぎきれるかは不明です。重症血栓症がどのくらいの頻度で起こるかも不明。
まだ研究段階ですが、臨床医として知っておいても良い話でしょう。
結論
巨大な肺血栓塞栓症による肺性心。致死率は当然高い。
ではまた。