軽症〜中等症の新型コロナ感染症:今までのエビデンスまとめ

新型コロナウイルス感染症は大多数が軽症〜中等症です。

彼らはどのように対応されるべきなのか。感染はどう広がっていくのか。

2月から急速に研究が進み、不完全ながらも色々とわかってきました。

今までの知見をまとめた記事がNEJMに発表されたので、これを解説していきます。

 

 

軽症〜中等症の新型コロナ感染症:今までのエビデンスまとめ

軽症〜中等症の新型コロナ感染症:今までのエビデンスまとめ

73歳の男性。既往は高血圧とCOPD。2日前から38度台の発熱と咳あり。呼吸苦がだんだん悪くなってきているという。

彼はCOVID-19だろうか?

そうだとしたら、どう対応すべきか?

 

こういう状況に頻繁に遭遇します。

このような患者への対応法に関する、今までのエビデンスがまとめられたのが4/24にNEJMに発表されました(NEJM 2020 10.1056/NEJMcp2009249)。

 

 

ウイルスはどう感染するか?

<感染様式>

・咳やくしゃみを原因とする飛沫感染がメインです。

→飛沫は数メートルで落下するので、2mくらい離れれば感染リスクは減ります

・一般的に、ウイルスがエアロゾル化し、空気中にプカプカ浮くというのは考えづらいです。

・しかしエアロゾル化する状況もあり、その場合はエアロゾルが3時間以上浮くかもしれず、注意が必要

→具体的には:歌う、気管挿管する、(BiPAPで)ネブライザーを使うなど

 

<症状の有無>

・無症候(症状発症の前)の方から感染するリスクがあります

発症1-3日前から感染リスクあり

40-50%の感染が無症候患者(発症前患者)からと考えられています

 

<回復>

発症後7日程度かけて、鼻腔内のウイルス濃度が下がってきます

・重傷者は改善まで長引きますが、いつまでリスクが高いか不明です

 

 

患者の特徴は?

<典型的な症状の経過>

・感染から症状出現までは4-5日

・上気道症状がメインだが、消化器症状もありうる

・呼吸困難感は症状発生から5-8日で出現

 

<重症のリスク>

・高齢

・心血管疾患、COPD、高血圧、糖尿病、肥満の既往

・他の疾患(腎臓病、免疫抑制状態、癌、HIV)などが重症化のリスクになることはまだ示されていない

→しかし当然リスクであろうから、注意した管理が必要

 

 

検査・診断は?

<検査の特徴>

リンパ球減少

・D-dimer、LDH、CRP、フェリチンの上昇

・来院時は普通プロカルシトニンは正常

・重症化のリスクは:白血球上昇+リンパ球減少、PT延長、肝酵素・LDH・D-dimer・IL-6・CRP・プロカルシトニン上昇

・画像検査の特徴はground-glass opacifications か consolidation

 

<診断>

・PCRがスタンダード

偽陰性に注意する。(病歴が)怪しければ、再度検査する

・普通鼻咽頭(鼻の奥)からサンプルを摂取する

痰を使う方法も考案され、そちらのほうが感度が高いかもしれない

→でも吸引で痰を採取してはいけない:エアロゾル感染リスクのため

中咽頭(口の奥)からのサンプルは感度が下がる可能性が示唆されている

→CDCは鼻咽頭からのサンプルが取れない場合に中咽頭からのサンプルを推奨している

 

 

患者の経過は?

81%が軽症〜中等症、14%が重症、5%が最重症

軽症〜中等症は普通自然に治るので、特に加療は必要ない

→しかしまれに重篤化する場合がある。通常発症後1週間が目安

→特に重症化のリスクがある患者は要注意

 

・中等症以上の場合は基本入院。中等症とは、SpO2がルームで94%を保たれている場合

・軽症〜中等症でも、呼吸困難感が発現した場合、再評価が必要

 

・CTでスクリーニングすることは、アメリカ放射線学会は非推奨としている

→入院患者かつCTをする妥当な理由があるときのみ推奨としている

※日本とは状況が異なります。日本での推奨状況は論文では触れられていません

 

 

治療は?

基本補助治療

・細菌感染が疑われたら抗菌薬

・インフルエンザのリスクが高ければ抗インフルエンザ薬

・新型コロナウイルスに対して有効と証明された治療法はないので、患者は何らかのランダム化試験に参加することが推奨される

・ACE2阻害薬やステロイドの投与は議論が分かれる所だが、今の所投与するに足るエビデンスはない

→普段から飲んでいる人は、休薬はすべきでない。

 

 

感染防御法は?

・医療従事者はガウン、グローブ、マスク、アイプロテクション(ゴーグルがフェイスシールド)をつけるべき

・CDCは普通のマスクでなくN95の着用を推奨しているが、供給が少ないため、使用できない場合はマスク着用を推奨している

・エアロゾルの危険がある手技は、陰圧室+N95で行われるべき(可能なら)

・常に病院はクリーニングされるべき

 

 

論文の感想

論文の感想は?

当たり前、と思うことでも、科学的根拠に基づく事が非常に重要です。

そうすることで、スタンダードな最も良い医療が追求されます。

同時に、国や地域によって状況が違うので、ある程度自由度をもたせることも重要です。

 

peer reviewされた論文は誰しも参照になります。

まだまだわからないことはあるが、全世界規模で研究されているので、進捗が凄まじいです。

すぐに色々と分かってくるでしょう。

ではまた。

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