PCRはウイルスのRNAを感知するものなので、感染症が治ったらPCR陰性になるはずですよね。
しかしJAMAに気になる報告がのりました。治っても陽性が続いた症例。
この記事ではこの報告を解説します。
新型コロナ:治ったらPCRは陰性になるのか
4/21に出版されたJournal of American Medical Association (JAMA)のResearch Letterです(JAMA. 2020;323(15):1502–1503.)。
*Research letterとは完結した研究でなく、何か仮説を提示するような小さな単位の研究が報告されます。
これは(これも)中国の武漢からの報告です。
コロナに感染した医療従事者4名の経過を説明しています。
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30-36歳で、2人男性2人女性です。
症状、PCR、典型的なCT像でCOVID-19と診断されました。
一人は入院、3人は自宅隔離となりました。
診断後、オセルタミビル(経口の抗ウイルス薬)を処方され皆軽快。
3人はCT所見も戻りました。
そしてPCRで2回連続陰性であることが確認され、退院 or 隔離解除となりました(2回連続陰性がその条件でした)。
症状発生から隔離解除まで12-32日でした。
さてその後。
5-13日後、PCRが再度行われ、4人とも陽性でした。
その後4-5日後再度PCR、4人とも陽性。
さらに4-5日後、再度全員陽性でした。
そこで違う種類のPCRを行いましたが、全員陽性。
この間彼らは症状なく、CT所見も変わりませんでした。
彼らの家族は感染しませんでした。
何が起きていたのか?
彼らに何が起きていたんでしょうか。
論文中では、この4人の患者は治った後もウイルスのキャリアになったのではないか、と言及しています。
何回も検査して陽性なので、ウイルスが体内にいる(=キャリアである)ことは間違いないでしょう。
*しかしその前に2回連続で陰性だったことと、相合性が乏しい気もします。
そして家族には感染しなかった。
感染性は無い事が示唆されます。
PCR陽性=ウイルスを保有していることと、ウイルスを排出していることは異なるのでしょうか。
少なくとも、彼らを生涯隔離することはできないし、やってはいけない。
たった4人の医療従事者の報告なので、何か一概に言うことはできません。
どれくらいの頻度で認められるかも不明。
しかしこういうパターンもある、と知っておく事は参考になります。
*今後は抗体検査が主流になってくるかもしれません。
そしたら、こういう症例の詳細がよりはっきりするでしょう。
結論
COVID-19が治ってもPCRが陽性になりうる。
こういう方がどれくらいいるか、どう対応したら良いかは不明。
ではまた。