DISCOURAGE Trialかと思った【DISCHARGE Trialの解説】

世界的に、特にアメリカでは、安定狭心症なんて(LMTが絡んでない限り)薬入れとけばいいやろ!という疾患になりつつあります。

ですが、PCIやった方がよいと頑なに信じる人もいる。安定狭心症の一部には効果的な患者もいるかもしれないので、その国のガイドラインに反さない限りはreasonableなpracticeです。

今回のDISCHARGE Trialは、その前段階。

Epicardial stenosisがあるかもしれない患者に対し、いきなりカテ(CAG)やるか、CTを挟むか、というRCTです。

そりゃCT挟んだ方がよいやろ?!

と思いますか??

 

 

DISCOURAGE Trialかと思った【DISCHARGE Trialの解説】

DISCOURAGE Trialかと思った【DISCHARGE Trialの解説】

この領域では、とても有名な「COURAGE Trial」というものがあります。

遡ること15年、PCI vs. medical therapyで予後に有意差がないことを示した論文。

血管が狭いからPCIしたくなるけど、「勇気」をもってmedicalでいく、というCOURAGEになぞらえました。

*というか15年前にびっくり!

 

さて、今回はPCIをDiscourageする、というDISCOURAGE Trialかと思ったら、

DISCHARGE Trial

でした(NEJM 2022 DOI: 10.1056/NEJMoa2200963)。

(こう思った方、意外に多いのでは!?)

 

カテ入院させないで退院させよう、みたいなニュアンスなのか?!

 

 

どういうTrial?

Epicardial stenosis(PCIのターゲットとなりうる病変)がある安定狭心症を、obstructive coronary artery disease (CAD)といいますが、
その検査前確率が10-60%の患者が対象です。

その確率は、なんと、年齢・性別・狭心痛の特徴で予想したとのこと!負荷試験などは行われていません。

 

そして対象となった患者は、

・いきなりカテにいく
・まずCoronary CTをやる

にランダム化されました。

 

結果、PCIやるかCABGやるかmedicalにするかは、それぞれの施設で決定されました。

 

Outcomeはcardiovascular death, MI, strokeのcompositeです。

*重要な点として、無症候性のstrokeやMIは除外されたということがあります。これを除外しないと、明らかにカテ群でMIが多くなってしまいますね

 

 

結果は?

3667人がenroll。

adherenceは97-99%と悪くない。

obstructive CADは25.7%(少ない!!)

 

CT群で結果的にカテとなったのは22.3%。

なお、CT群ではより多く事前にfunctional testが行われました(18.6% vs. 12.9%)。

 

CT群では13%がPCI or CABG行われたのに対し、カテ群では18%でした。

これは当然ですね。カテやればCTで拾われなかった病変もPCI対象となってしまうリスクが少なからずあるから。

 

✅primary outcomeは
・CT群で2.1%
・カテ群で3.0%
ハザード比は0.70 (95%CI: 0.46, 1.07)
でした。

✅procedure-related complicationは
・CT群で0.5%
・カテ群で1.9%
でした。

 

 

解釈は?

カテの前に、まずはCTを挟みましょう。

というメッセージです。

 

いやいきなりカテはないやろ!!

と思いますが、2013年あたりから始まったTrialだそうなので、そういうのも有りだったのかと。

 

でも今やこのメッセージ性は弱いですよね。

PROMISEとSCOT-HEARTで「functional test vs. coronary CT」が調査されたわけですから(同等という結果)。

なぜ今更この論文がNEJMに??と個人的に思っています。

 

Discussionしたいポイントは、他に3つくらいあります。

 

*********

 

✔︎outcomeの差は「procedure-related event」で説明できる?

はい、できそうです。

MACEの差はN=14

procedure-related eventでMACEに該当する項目の差はN=8

残りN=6分だけ、CT群に優位性がありました。

有意でなくとも、HR=0.70と聞いてハッとするかもしれませんが、そんな大した差ではないんですよ、ということのようです。

 

✔︎検査前確率が10-60%とは?

年齢・性別・胸痛の特徴だけで予測できるはずなし!

このinclusionは、どうgeneralizabilityがあるのか謎です。

obstructive CAD率は、そしてちょっと残念ながら低かったですね。

 

✔︎「カテやっちゃうことで必要以上にPCI (or CABG)しちゃうことの悪影響」は折り込み済みである

これは当然その循環器内科医の判断次第ですよね。

例えば日本とアメリカは全然違うだろうし、同じ国でも今と10年前は全然違う。

だから「pragmatic trial」と言っていますが、その「pragmaticさ」にはgeneralizabilityがありません。

 

 

結論

10年前ならインパクトはあっただろうtrialでした。

NEJMのaccept基準(clinical practiceに影響を与える研究ということなのですが)がわからなくなってきました。

ではまた。

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