連続血糖測定って知っていますか?
ずっと血糖をモニターする装置です。インスリンを打つ患者さんのオプションです。
トラディショナルには、指から少し血を取って血糖測定していました。
最新CGM装置 vs 通常の血糖測定、どちらが良いのか。
もう指から血を取らなくてよいのかも!?
連続血糖測定 (CGM) vs. 通常の血糖測定
CGMという装置は、実はそこまで新しくありません。
1型糖尿病に保険適応されています。
でもトラディショナルには指にちょっと傷をつけて、その血から血糖測定してますね。
CGMがあればそんなことする必要無いんじゃないの?
もっともな疑問です。
実はCGMの方が血糖コントロールに有利だ、というエビデンスは今までなかったのです。
大きな要因は、CGM装置による血糖値が正確でなかったこと。
しかし最近のテクノロジーの進歩により、CGMはかなり良くなってきました。
ということで、「最新CGM vs.トラディショナルな血糖測定」というランダム化試験が行われたのでした(JAMA. 2020;323(23):2388-2396)。
*同時にJAMAにもう一つ報告されましたがそれは後で触れます(JAMA. 2020;323(23):2397)
どういう研究?
・14-24歳の1型糖尿病患者でインスリン使用者
・1年以上の糖尿病病歴
・HbA1cが7.5~11%
というのが大まかな対象。
CGM(+1日2回血糖測定)か、CGMを使わない血糖測定の2群にランダム化されました。
*医療従事者や患者は、自分がどちらかは分かっています(二重盲検化になってないどころか、盲検化されていないのがポイント)
同様のプロトコルで診療され、26週後のHbA1cを比較したということです。
結果・・・CGMちょっと良し。
153人がランダム化されました。
lost follow-upは少ない。
ただ、CGMは結局68%しか推奨どおりに(5日/週間以上)使っていませんでした。
✔26週後のHbA1cは、
・CGM群:8.9%→8.5%
・CGM使わない群:8.9%→8.9%
差は-0.37%, p=0.01ということでした。
ちなみに安全性に関しては、
・重度の低血糖:CGM群で3/74、コントロール群で2/79
・ケトアシドーシス:CGM群で3/74、コントロール群で1/74
でした。
差の検定をするにはpowerが足りません。
解釈は?
若い1型糖尿病患者については、CGMは血糖値を下げることが示唆されました。
limitationはこんな感じ:
✔結果が0.4%と大した差でないこと
→これが平均の結果なので、実はbaselineの血糖が悪い人(HbA1c 10%以上とか)しか効いていない可能性があります
✔30%以上が推奨どおりに使っていないことを考えると、やや使い勝手が悪いことが予想されること
→研究参加者という「意欲のある人」でこれくらいのアドヒアランスだと、実際はもっと低い。
*この研究で用いたのは1日2回血糖測定してadjustmentする必要があるCGMのデバイスでした。これは面倒ですよね。
→今やそれが必要ないものがあるとのこと。その新しいデバイスを使って、アドヒアランスを調査してほしかったところ。
ちなみに同月号のJAMAで、CGMの低血糖への影響を調べた論文も発表されています(JAMA. 2020;323(23):2388-2396)。
→高齢の1型糖尿病患者で、CGMはちょっとだけ低血糖の頻度を下げるという報告です。
→どちらの報告も大した差は認められていません。
こういった論文の狙いは、有名雑誌にRCTを載せることでガイドラインの推奨を変えることにあると思います。
当然企業の意図やバックアップはあります。
しかし、CGMのデバイスがよくなってきているのでより広めたい、という気持ちを研究者達がもっていることは間違いないでしょう。
一方、CGMというのは「血糖を測定する機械」なので、具体的にどういう治療に結びつけるかは、医者によります。
実際CGMで計測した血糖をどの程度しっかりみてインスリン量を変えるかなど、医者によります。
CGMなら血糖コントロールがよくなる、というのはこれをすっ飛ばした考えです。
また、患者の金銭的負担が大きくなるのは間違い有りません。
単に金持ちのための医療としないためには、より具体的なCGMを使った治療戦略を確立し、それにより血糖コントロールがかなり良くなることを示す必要がありそうです。
道のりは長い。
結論
CGMは進化してきている。
Traditionalな血糖測定と比較してちょっと良いかもしれない。
しかしもっと広めるにはエビデンスが足りない。
ではまた。