マスクじゃなくフェイスシールド派の方、時々みかけますよね。
なんとなくですが、マスクより飛沫感染予防になってる気がしませんか。
その予防効果を検証した研究はあまりなかったのですが、今週のJAMAにResearch letterが発表されました。
これを解説します。
Contents
フェイスシールドって意味あるの?
新型コロナのメインの感染経路は飛沫感染です(まとめ記事参照)。
空気感染するかも、という報告はありますが、するとしてもその寄与率は低い。
如何に飛沫感染を予防するか、がコロナを落ち着ける最も重要な課題と言えます。
マスクは効果があると認識され、いくつかの国では着用が義務化されています。
この記事にマスクのエビデンスをまとめています。エビデンスは強くありませんが、感染予防効果は期待されます。
ではフェイスシールドは?
マスクでエビデンスがあまりないのだから、フェイスシールドはなおさらありません。
そこで、今週のJAMAにResearch letterが発表されました(JAMA 2020 10.1001/jama.2020.15586)。これを解説していきます。
どういう研究?
インドのhealthcare workerを対象とした研究です。
「家族がコロナにかかった無症候の人達」のカウンセルを担当した人達です。
彼らは
・バンで家をまわり
・両者マスク着用+2m距離確保した状態で、隔離方法などを説明
・1人1室のホテルに宿泊+食事提供される
・仕事以外では人と関わらない
という仕事、待遇でした。
*つまり仕事を通じてしかコロナ感染する可能性はないということです
さて、62人のworkerの内、5/16日に2人がCOVID-19を発症しました。
そして仕事は一旦中断。他の職員にも全員PCR検査が施行されました。
5/20に再開、以降フェイスシールドが導入されました。
フェイスシールドはそれぞれのhome visit終了時にアルコール消毒され、1日の仕事終わりには石鹸で洗浄されました。
この研究では、
・フェイスシールド導入前の5/15まで
・フェイスシールド導入後の5/20~6/30
それぞれの期間での新型コロナ感染率を比較しました。
結果
フェイスシールド導入前は、累計5880宅を訪問。
カウンセリングした人のうち222人がPCR陽性となりました。
職員は結局62人中12人が感染していました。8人が症状を発症。
フェイスシールド導入後は、感染しなかった50人が累計18228宅を訪問。
カウンセリングした人のうち2682人がPCR陽性となりました。
職員は一人も感染しませんでした。
解釈は?
フェイスシールド、結構期待できる結果でした。
ただこのデザインでは因果関係(フェイスシールドによって・・・)はなかなか言えません。
いちばん重要な交絡因子は、「フェイスシールド導入後の職員は、フェイスシールド導入前に感染していなかった人達」だということです。
彼らは何らかの要因で(こまめに手を洗う、顔を触らない、遺伝要因etc)、フェイスシールド導入前にコロナ感染しませんでした。
よってフェイスシールド導入後も、フェイスシールドの有無に関わらず感染しない可能性が高いと言えます。
また、職員がコロナ感染したことで、フェイスシールド以外にも感染予防が見直され、徹底されるようになったかと思われます。
つまりフェイスシールド以外にも色んな要因があったのでは、と推察されます。
疫学的にはこのように批判されますが、フェイスシールドが期待できないわけではありません。
飛沫が直接口に入るのは、マスクより予防できそうです。
※ただ、「フェイス」シールドですからね!!口だけのシールドではありません!!!
*思いつきですが、マスク vs. フェイスシールドでcluster RCTやってみたら面白いかもしれません。
今の状況では「マスクなし」という群は作れないので、フェイスシールドがマスクに対しnon-inferiorだと言えたら、政策決定に使えそうです。
→でも、「マスク+フェイスシールド」というのが、明らかにベターかも。。
結論
フェイスシールド、期待できるが、どれくらい感染予防効果があるかわからない。
ではまた。