ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンが新型コロナウイルスに効くか

COVID-19の治療法、世界中で模索されていますね。

4/25時点で、エビデンスのある治療法は無いとされています。

しかし臨床上では、様々な薬が(効くものと信じられ)使用されています。

その中でも、ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンは効くかもしれないと言われています。

その根拠とされている論文を解説します。

 

 

ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンが新型コロナウイルスに効くか

ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンが新型コロナウイルスに効くか

ヒドロキシクロロキンとは、抗マラリア薬の一つで、SLEや関節リウマチにも使われています。

これはvitroの実験で、CoV-SARS-2を抑えることが示されています。

アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)とはかなり汎用されている抗菌薬で、非定型性肺炎によく用いされます。

ヒドロキシクロロキン、もしくはジスロマックとの併用が新型コロナウイルスを抑えることができるか確かめたのが、この報告です(Int J Antimicrob Agents. 2020;105949.)。

 

 

気になる試験デザインは?

フランスのMéditerranée Infection University Hospital Instituteで行われました。

この施設は、Q熱やWhipple病に対しヒドロキシクロロキンの扱いにかなり慣れているようです。

 

対象基準:

PCRで診断された12歳以上のCOVID-19患者が対象。

除外は薬のアレルギー、G6PD欠損症、QT延長症候群、妊婦、授乳婦です(ヒドロキシクロロキンの禁忌)

 

Méditerranée Infection University Hospital Instituteで診断されたCOVID患者は、上の基準に当てはまる場合、ヒドロキシクロロキン200mg✕3/日を10日間飲むよう指示されました。

患者が拒否した場合、もしくは異なる病院(Marseille centre)に来た患者は、コントロールとされました

 

つまりランダム化試験ではないということです。これ重要。

 

そして治療群のうち6人だけがアジスロマイシン投与されました

....細菌感染合併を防ぐため、と書いてありました。

 

彼らは毎日PCR検査をされました。

アウトカムは、6日後のPCR陽性率です。

 

 

患者背景は・・・かなり偏っている

26人が治療群、16人がコントロールとなりました。

そして、治療群の26人のうち、6人が除外されました。

*除外の理由は以下の通り:

・3人ICUへ入室

・1人死亡(day2)

・1人退院(day3)

・1人治療中止(day3, 吐き気のため)

 

患者背景はこんな感じになりました(治療群 vs コントロール)。

平均年齢(51歳 vs 37歳)

男性(45% vs 38%)

無症候性(10% vs 25%)

 

かなり偏っていますね。治療群の方が高齢で、無症候が少ない。

研究としては、バイアスの方向としてはよしです。

なぜなら、治療薬効果が過大評価される方向とは逆だから(治療群の方がリスクが高いから)。

 

 

結果は・・・差がありそう

ヒドロキシクロロキン vs コントロール

まずヒドロキシクロロキン vs コントロール

day3あたりから陽性率が開きました。

day6ではp=0.001と有意差有り。

 

ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン vs ヒドロキシクロロキンのみ vs コントロール

次にヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン vs ヒドロキシクロロキンのみ vs コントロール

day4あたりからヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンの6人の陽性率が下がり、day6ではp=0.0001と有意差有り。

*これは3群の検定なので、3群のうち何らかの組み合わせで有意差があることを意味しています。

 

 

解釈は?

少人数の非ランダム化試験で、dropoutも比較的多いので、エビデンスとしては不十分なのは言うまでもありません。

この報告から、ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンが効く、とは結論できません。

しかしいくつか示唆されることがあります。

 

対象は軽症なコロナ感染者。治療群の方が高齢=治りが遅いことが見込まれる。無症候性も治療群に多い。

それにも関わらず、ヒドロキシクロロキン vs コントロールのグラフをみると、ヒドロキシクロロキン投与により着実に陽性率は減少している。

以上より、軽症者に限ればヒドロキシクロロキン投与によりウイルス量は下がることは示唆されます

 

一方、アジスロマイシンによりウイルス感染症の治りが早まることは、メカニズム的にやや考えにくい。

グラフははっきり差がありそうだが、アジスロマイシン投与の基準が不明。

よって、ウイルス量を下げるという目的でアジスロマイシンを投与するべきとは考えにくいです。

*まあそもそも(最近を対象とする)抗菌薬なので、細菌感染の合併予防に使うというのが合理的な使用理由ですが。

 

この結果は、ヒドロキシクロロキンの大規模ランダム化試験を行う理由になります。

COVID-19の治療薬として認知されるためには、大規模ランダム化試験の結果が必要です。

 

*エビデンスは出ていませんが、現場では使われているようです。

 

 

結論

軽症者に限ればヒドロキシクロロキン投与によりウイルス量は下がることを示唆する論文でした。

エビデンスとするためにはランダム化研究が必要です。

ではまた。

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