ヒドロキシクロロキン、トランプが予防内服したことが話題になりました。
今の所効果は証明されていないのですが、そんな事気にしない人も大勢います。
実際どれくらい売れたのか。
インターネットを分析した報告を紹介します。
COVID-19に効果のない薬:どれだけ売れたか
ヒドロキシクロロキン、もしくはクロロキンが脚光を浴びています。
そもそもなぜこの薬が注目されたのかというと、in vitroの実験で効果が証明されたから。
トランプも、それを信じて予防内服したのでした。
でも、in vitroの実験で有効だとされているものも、ほとんどが人間では効果が見られないのです。
だからClinical trialというものがある。
そしていくつかのClinical trialによると、ヒドロキシクロロキンはCOVID-19にすごい効果はなさそう。
しかしそんな事気にしない人が、世界にはごまんといます。
彼らは、有名人の発言やメディアに大きく影響されます。
今回紹介する研究は、そんなエビデンスのないヒドロキシクロロキンの売ゆきがどう変化していったのか、というインターネット調査です(JAMA Intern Med. 2020;180(8):1116-1118.)。
どういう研究?
buy, order, Amazon, eBay, Walmart のどれか
と
chloroquine, hydroxychloroquine のどちらか
を含む検索キーワードを対象としました
→このキーワードを含む検索の、1000万検索あたりの割合を調べました(query fraction)。
キーとなった日付は:
・イーロン・マスクがクロロキンを内服したとツイートした3/16(トランプがツイートしたのは3/19)
・クロロキン内服による副作用が報告された3/22
結果
Query fractionは:
2/1: 4.78(クロロキン)、4.35(ヒドロキシクロロキン)
3/16: 26.9(クロロキン)、7.68(ヒドロキシクロロキン)
3/22: 66.16(クロロキン)、79.37(ヒドロキシクロロキン)
3/29: 19.19(クロロキン)、31.95(ヒドロキシクロロキン)
でした。
3/16と3/19にスパイク状の増加がみられました。
解釈は?
有名人がツイートすると、半端なく売れ行きが増える。15倍以上。
でもヒドロキシクロロキンやクロロキンを、個人の判断で使用するのは危険です。QT延長から心停止となるリスクが少なからずあります。
そもそも予防効果や治療効果は証明されてません。
飲む必要は全くなし。
如何に皆さんに医学、特に疫学を知ってもらうか。これが課題です。
in vitroの実験で効く、メカニズム的に効くからといって、人で効くとは限らないし、たいてい効かない。
有名人は医者や専門家ではない。
結論
有名人がやっている事を何も考えずに模倣する人が大勢いる。
ではまた。