NSAIDs vs. 認知行動療法【変形性膝関節炎の鎮痛法】

変形性膝関節炎は痛いです。NSAIDsを使わない人はほとんどいないでしょう。

でもNSAIDs、特に長期間内服すると、色々良くない副作用があります。

なんとかして止めさせたい。

認知行動療法の出番かもしれません。

「NSAIDs vs. 認知行動療法」という最新のランダム化試験を紹介します。

 

 

NSAIDs vs. 認知行動療法【変形性膝関節炎の鎮痛】

NSAIDs vs. 認知行動療法【変形性膝関節炎の鎮痛】

変形性膝関節炎(OA)、高齢者によくみる病気です。

痛くて動けなくなる。ADL低下の大きな要因です。

この除痛法として当然NSAIDsがあり、頻用されています。

しかしNSAIDs、胃潰瘍を始め色んな副作用があり、なるべく使いたくない。

「漫然とNSAIDs」は止めたい

 

実はNSAIDs、プラセボやアセトアミノフェンよりは除痛効果があるのですが、その差はあまり大きくない事が示されています。

実際、「痛い」と思い込んでしまうのは、痛いと感じる大きな要因です。

そこで、

認知行動療法。

思い込みや考え方を変える・痛みの対処方法を変えることで、感じる痛みを減らす手段です。

認知行動療法が除痛に有効であることは、多くの研究で示されてきています。

 

今回紹介する論文は、

「OAに対するNSAIDs vs. 認知行動療法」のランダム化試験(JAMA Intern Med.2020 10.1001/jamainternmed.2020.2821)。

 

 

どういう研究?

・対象は、過去3ヶ月間ほとんど毎日NSAIDsを服用しているOA患者です。

…トラマドール併用はOKとされ、他のオピオイドを服用している方は除外となりました

 

こういう流れです:

✔今のNSAIDsを中止、メロキシカムという他のNSAIDsが開始され2週間様子を見ました(run-in period)

→その後メロキシカム vs プラセボにランダム化され、4週間フォローされました(Phase-1)

→その後プラセボ群はプラセボを中止、電話での認知行動療法が開始され10週間フォローされました。メロキシカム群は継続してメロキシカムを内服しました(Phase-2)

 

Phase-1では、プラセボのメロキシカムに対するnon-inferiority

Phase-2では、認知行動療法のメロキシカムに対するnon-inferiority

を検証しました。

 

アウトカムは、WOMAC pain scoreという指標です。

0-20のスコアで、臨床的に意味のある差は2.1点といわれています。

 

 

結果

490名がrun-inして、364名がランダム化されました。

 

<Phase-1>

4週間後のWOMAC pain scoreは

・全体のベースライン値は5.6だったのが、

・メロキシカム群(92%追跡):6.7

・プラセボ群(84%追跡):7.8

→Non-inferiority P=0.92(差があり)、となりました。

 

<Phase-2>

Adjusted mean differenceは0.8 [95% 0.2, 1.4]、Non-inferiority P=0.28で差がありでした。

 

*しかも、メロキシカム群よりプラセボ群の方が、他の鎮痛薬を内服している割合が多かったです(例えばアセトアミノフェン:プラセボ群46%、メロキシカム群26%)

 

 

解釈は?

OA患者において、NSAIDsは認知行動療法よりも有意な除痛効果あり(non-inferiorとは言えない)、ということでした。

でもその差はWOMACで1点以下だから、大したことない

これが主張です。

 

この解釈はちょっとおもしろいですね。

この研究はnon-inferiorityを示すデザインです。つまり「差がないか」を統計検定を使って(P値をみて)判断するということ。

実際差はあったわけで、non-inferiorityとは言えない、というのが最初の結論。

でも。。。

 

✔Power分析をみてみると、non-inferiority marginを「1スコア」として、90% powerを保つために434人が必要、と計算しています。

これを解釈すると:

・実際は364人しかランダム化されておらず、90%のpowerは保てていない。

(Discussionをみると、この数だとpower=80%らしい)

→この意味は、「本当はnon-inferiorityなのに、non-inferiorityでないと誤って判断してしまう確率が20%ある」ということ

今回「non-inferiorityでない」と判断したが、それが誤りの可能性は結構高い!!

 

*Non-inferiority testの帰無仮説は、通常の帰無仮説と反対です。

つまり、「認知行動療法がNSAIDsより除痛効果がWOMAC 1点以上悪い」というのが帰無仮説です。

→P>0.05だったので、これが棄却されなかった、つまり「認知行動療法は除痛効果が悪い」ということですが、

→その解釈が誤っている確率が20%あるということです

 

 

ただスコアの差は両群でほとんどなく、おそらく実際もそんなに変わらないんだと思います。

そんなに積極的にNSAIDs>認知行動療法とは言えない。

だから、NSAIDsからの離脱を目指してもいいですよ。

おそらくこういうことかと。

全くその通りかと思われます。

*実際NSAIDs切って痛みが出てきそうな場合、認知行動療法は良い選択肢かと思われます。今の所あまり広まっていません。

 

 

結論

OA患者にNSAIDs vs. 認知行動療法でnon-inferiorityは言えなかった。

が、積極的にNSAIDsを勧められる内容ともならなかった。

ではまた。

-論文解説

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