何m離れたら良い?マスクや眼鏡の意味は?【コロナ予防】

「1m離れろ」「マスクしろ」「眼鏡したほうがいい」「ソーシャルディスタンス」

当たり前のように言われていますが、どこまで根拠があるんでしょうか。

新型コロナ感染が広まり、感染予防は新しい生活習慣の一つになってきています。

科学的根拠を基にしたい所ですね。

今回はそんな最新の論文を紹介します。

 

 

何m離れたら良い?マスクや眼鏡の意味は?

何m離れたら良い?マスクや眼鏡の意味は?

感染予防のため、人々の生活習慣が変わりつつあります。

日本ではマスクしていないと白い目で見られるようになりました。

アメリカでも、マスク着用が義務化されるようになりました。

レジでは1mの距離が保たれるよう、間をあけて並ぶようになりました。

これらを当たり前とする前に、その科学的根拠が知りたい所です。

 

今回紹介する論文は、

・SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)

・SARS-CoV-1(SARSの原因)

・MERS-CoV(MERSの原因)

の感染予防に関して、physical distancing、マスク、眼鏡の効果について調べた研究のメタ解析です(Lancet 2020 10.1016/ S0140-6736(20)31142-9)。

 

 

どういうレビュー?

2020年3月26日までに発表された論文で、

・COVID-19, SARS, MERSのいずれかの感染者か感染疑いが含まれている状況(病院、病院外含む)

・physical distance、マスクや眼鏡(eye protection)着用有無による感染リスクを評価したもの

を対象としました。

 

このメタ解析の凄い所は、MEDLINEやPubmed, Embase, 中国のデータベースだけでなく、preprint servers(査読前の論文、bioRxivなど)やCOVID-19 resource centers(NEJMやLancetにあります)を手作業で検索した点です。かなり網羅的です。

*WHO主導のプロジェクトのようです。

 

 

結果

結局44個の観察研究がメタ解析の対象となりました。

*観察研究のメタ解析です。ランダム化試験は含まれていません。よって、因果関係は言えません。

 

Physical distance, マスク, eye protectionそれぞれについて解析しています。

 

✔Physical distance

離れていたほうが、近いのと比べて、感染リスクが低い結果となりました。

調整なし(29研究): リスク比 0.30 [95%CI: 0.20, 0.44]

調整有り(9研究): オッズ比(リスク比でない)0.18 [95%CI: 0.09, 0.38];リスク差は-10.2%

 

ウイルスの種類、医療機関内外、マスクの種類などでinteractionはありませんでした(これらにより異なる結果ではなさそうということ)

 

一方、physical distancingの距離によってはinteractionがありました(p=0.041)

→離れれば離れるほどリスクが低いということ

→これを図表としたものがこれです(Meta-regressionという回帰です)。

physical distancingと感染リスク

 

1m近づくごとにリスクが2.02倍となる、という結果でした。

0~3mまでの、(調整なしの)Log リスク比との関連性をlinearとしています。

 

✔マスク

マスクをしていた方が感染リスクが低い結果となりました。

調整なし(29研究): リスク比0.34 [95%CI: 0.26, 0.45]

調整有り(10研究): オッズ比(リスク比でない)0.15 [95%CI: 0.07, 0.34];リスク差は-14.3%

 

医療機関内外でinteractionがありました(p=0.049)

→医療機関内でより強い効果がありました

 

N95マスク vs. 他のマスクではinteractionは有意ではありませんでしたが(p=0.09)、N95の方がオッズ比は低い傾向がありました(調整済オッズ比:0.04 vs. 0.33)。

 

また、エアロゾル発生を伴う現場かどうか、という因子でinteractionが有意でした(p=0.048)

→そういう現場ではマスクが有効ということ

 

*この研究の対象となった「普通のマスク」は、12-16層のマスクです。

ホームメイドのものは1層のものが多く、対象としていません。

 

✔Eye-protection

Eye-protectionをしていた方が感染リスクが低い結果となりました。

調整なし(13研究): リスク比0.34 [95%CI: 0.22, 0.52]; リスク差は-10.6%

調整有り(2研究): オッズ比(リスク比でない)0.22 [95%CI: 0.12, 0.39]

 

 

解釈は?

距離を取ること、マスク、眼鏡、どれも感染予防に有効そうです。

有効そうということは揺るがなそうですが、こんなに強く予防効果があるとは言えません。

→80%も感染リスクが減る、という解釈は誤りです。

 

観察研究に基づくメタ解析であることと、十分に交絡因子で調整されているわけでないことは念頭に置くべきです。

→例えば、マスクを着用する人は、よく手を洗ったりうがいをする可能性が高いですね。

→こういう交絡が取り切れないので、因果関係は言えていません。

=マスクの調整済みオッズ比0.15が、マスク単独の効果とは言えません。

 

・一応Meta-regressionで距離ごとの感染リスクを算出していますが、そこまで信頼性が高いとは言えません

→もととなった多くの研究は正確な距離を報告していないこと、”direct contact”を0mとして計算していることがlimitationです

(当然1mより2mの方が安全だとは言えそうです)

 

*マスクのランダム化試験って難しいんです。

この記事でも今までのエビデンスを紹介していますが、信頼性が高いとはいえません(しかもほとんどが季節性インフルエンザが対象です)。

→例えば、cluster randomized trialでcluster effectsを考慮していない(できていない)ので、かなり不正確な結果となってしまいます。

 

 

結論

距離をとる、マスクをつける、眼鏡をつける、どれも有効そうです。

が、ランダム化試験がなくては因果関係は直接言えません。

ではまた。

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