レミデシビルは新型コロナウイルス感染症患者を救うか

レミデシビルがアメリカで治療薬として認可され、日本でも保険承認されました。

直接この根拠なったものでないと思いますが、4/29、ある中国のランダム化試験が発表されました。

治療薬の選択肢が増えることは素晴らしいですが、本当に効くのでしょうか。

論文の中身をみてみましょう。

 

※この後、より質の高いランダム化がアメリカから発表されています(この記事にて説明)。

科学は日々進展しています。こちらも必ず参照ください。

 

レミデシビルは新型コロナウイルス感染症患者を救うか

レミデシビルは新型コロナウイルス感染症患者を救うか

レミデシビルはエボラ出血熱に対する治療薬として開発されたものです。

アデノシンアナログという種類で、ウイルスのRNAポリメラーゼに作用し、RNA産生の減少、つまりウイルス増殖を阻害する作用があります。

in vitroではコロナウイルスに有効であることが示されていましたが、ヒトでの効果は不明でした。

これを確かめたのが、この記事で紹介するランダム化試験です(Lancet 2020)。

 

*なおエボラ出血熱に対しては使えなくもないですが、モノクローナル抗体による治療よりは効果が小さいそうです。

なおこの根拠となった論文は撤回されております。撤回の理由は知りません(N Engl J Med 2019; 381: 2293–303.)。

 

 

どういう研究?

重症の新型コロナ感染症に対してレミデシビルが効くか検証した、二重盲検化ランダム化試験です。

18歳以上でPCRで確定診断されたCOVID-19患者、かつ酸素投与が必要(SpO2≤94%かPaO2/FIO2<300)で発症後12日以内の方が対象です。

妊娠・授乳中や肝硬変、重症腎不全の方は除外されています。

 

参考)

ランダム化は治療群2:プラセボ群1の割合で行われました。

これは、治療薬が有効そうな場合に用いられる方法です(治療を受けられる人を増やす)。

治療群は1日目200mg、2-10日目100mgのレミデシビルが投与されました。

 

アウトカムは28日以内の状況を1-6で点数化したのものです。

6:死亡

5:挿管かECMO

4:NPPVかnasal high-flow(という酸素投与の方法。挿管の手前)

3:その他の酸素投与状態

2:酸素投与していないが入院中

1:退院

 

 

結果は・・・有意差なし

237人がリクルートされ、158人が治療群、79人がプラセボ群となりました

プラセボ群の一人が参加を拒否したので、158人 vs 78人の試験となりました。

 

*本当は453人必要でした。これは、この研究で有意差なしの場合、実際に効果がないことを80%担保するために(power=80%)必要な人数でした。

実際は236人では、power=58%となってしまいました

この研究で有意差なしの場合、実際に効果があるかないか五分五分だ、ということです。

 

さて、アウトカムはこの通りです(左が治療群、右がプラセボ群)。

結果

ほとんど差がなさそうに見えますね。

実際有意差なしです。

細かくは、ordinal logistic regressionで検定しており、OR 1.15 (95%CI 0.67-1.96)です。

死亡率も1%しか変わらず有意差なし。

 

これがメインの結果です。

 

その他のsecondary outcome(7日後、14日後の点数、28日後の死亡率等)も差がありませんでした。

 

 

改善するまで短くなった・・・?

secondary outcomeには定義されていませんが、

改善するまでの時間

治療群で中央値21日、プラセボ群で中央値23日でした(有意差なし)

 

これを発症後10日以内に治療開始された患者に絞ると

治療群で18日、プラセボ群で23日でした(有意差なし)

 

ちなみに副作用は、レミデシビル群で66%、プラセボ群で64%出ています。

重篤な副作用はレミデシビル群で18%、プラセボ群で26%だったそうです。

副作用といいながら、コロナによる多様な症状が含まれているので、評価不能です。

 

 

解釈は?

この研究は途中でリクルートが止まって十分な患者数でないので、有意でない結果だから「差がない」とは言い切れない状態になっています。

そして全ての結果が有意差なしです。

つまり科学的には、この研究から何か言えることはありません

 

発症後10日以内に治療された患者では、レミデシビルにて改善までの日数が減る可能性があるかもしれません。中央値で5日ほど。

でもこれはそもそも有意差でないし、secondary outcomeにも入れられておらず、単純な予想です。

 

同じような予想として、レミデシビルはそれほど劇的な効果が見込まれないだろうと言えます。

参加人数が少ないにせよ、primary outcomeに差がなさすぎです。

副作用も目立ったものがなさそうなので使うのは良いかもしれませんが、この研究結果を基にすると、お守り程度の効果かもしれません。

 

 

結論

この研究結果からは、ほとんど何も得られませんでした。

他の研究を見たい所です。

ではまた。

-COVID, 論文解説

Copyright© Riklog , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.