何が原因で突然心臓が止まるの?

突然死、なんとしても避けたいですね。

突然死を引き起こす色んなリスクや病気が発見されてきましたが、未だに起きてしまいます。

何を原因として心臓が突然止まってしまうのか。

この件について最新の報告を紹介します。

 

 

何が原因で突然心臓が止まるの?

何が原因で突然心臓が止まるの?

心臓が止まって何もされなければ、死んでしまいます。

胸骨圧迫や電気ショックなどを用いれば、一定数は心拍再開が得られます。

でもそれはほんの一握り。

90%の方は、心臓が突然止まると死んでしまうとされています。

 

そもそも心臓が止まるリスクが高ければ、植込み型除細動器といって「心臓が止まったときに自動で電気ショックしてくれる機械」が埋め込まれます。

今や遺伝子スクリーニングで、色々なリスクの高い疾患がわかります。

しかしながら、このように医学が進展しているにも関わらず、未だに一定数が突然死してしまうのです。

 

一つには、今の所国民全員の遺伝子検査が行われていない事がポイントです。

突然死のリスクとなる心臓病があることに気づかれていない方が、実際突然心臓が止まってしまうということです。

 

今回紹介する報告は、

ニュージーランドにて突然心停止し幸運にも心拍再開した人が、何が原因でそもそも心停止したのか

を調べたものです(J Am Coll Cardiol 2020;75:2698–707)。

 

 

どうやって調べた?

突然心臓が止まり、幸運にも心拍再開された方、その中でも

・遺伝的な心臓病の可能性がある

・原因がわからない

方が対象です。基本的に若い方の原因を調べようとしています。

*つまり、明らかな心筋梗塞などは除外されています

 

ニュージーランドはこういう方のデータベースを国レベルで構築、その原因精査を行っています。

(遺伝子検査が全員に行われているわけではありません)

そういった方の、それぞれ原因疾患の頻度をまとめました(2018年11月まで、15年のデータ)。

 

*遺伝的な心疾患は、その家族全体に影響しうるので、一つの家系で複数人が対象となることがあります

→その場合は、一人だけ抽出されました。

 

 

結果・・・

計225人の心停止→心拍再開した方が解析対象となりました

→そのうち、115人(51%)が「おそらく遺伝的な心疾患だろう」と結論されました。

→115人というのは1年に5.7人の頻度でした(人口は430万人)

 

内訳は以下の通りでした:

・QT延長症候群(心電図上QT間隔が長い、という特徴):42%

・肥大型心筋症(高血圧などなく心臓の筋肉が肥大する):24%

・ブルガダ症候群(Dr. ブルガダが発見した、特徴的な心電図所見):14%

・カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(カテコラミンが原因でVTが起こる):8%

・不整脈原性右室心筋症(右心室の筋肉が変異して不整脈の原因となる):8%

・拡張型心筋症(左心室の筋肉が変異してペラペラになる):4%

 

年齢で分けると、

・0-14歳:QT延長症候群が多い

・15-24歳:QT延長症候群が多く、ついで肥大型心筋症

・25-39歳:QT延長症候群が多く、ついで肥大型心筋症と不整脈原性右室心筋症とブルガダ症候群

・40歳以上:肥大型心筋症が多く、ついでQT延長症候群、ブルガダ症候群

 

111人については、心臓が止まったときに何していたかのデータがありました。

→軽い運動が40%、普通の運動が30%、病気中が12%でした。

 

 

*心停止した中でも運良く心臓再開した方、その中でも原因が遺伝的な心臓病だろう、とされた人に限った話であることに注意しましょう。

*遺伝的な心臓病が疑われるが、トリガーは過量服薬だったり、どの遺伝疾患かはっきりしない患者も少数含まれてます。

 

 

解釈は?

ニュージーランドでは、突然の心停止が起きて心拍再開した方の中で、115人程度が遺伝的な心臓病が疑われた。

原因は多岐に及び、年齢ごとに異なった。

・・・くらいの解釈かと思われます。

 

この研究の実践的な解釈が難しいのは、次のような理由によります:

心拍再開した方の特徴だということ

→心臓が突然止まる人の特徴ではありません。その内のかなり一部の特殊なpopulationです

→例えば、突然死は運動していないときに生じやすいと言われています

 

・それぞれの遺伝的心疾患の患者がどれくらいいるかわからないこと

母数はかなり多いことが予想されます

→例えば、QT延長症候群は重要なリスクだが、QT延長症候群患者の中で実際心停止する人はかなり限られている、ということ

 

・実際は、複合的な要因で心停止となっている例があること

→例えばQT延長症候群に典型的な遺伝子変異があるが、それに加えて過量服薬したことで心停止となった、など

 

・国単位のレジストリー研究なので、医者がしっかり全例報告している訳がないこと

→例えば拡張型心筋症が少なすぎ

きちんと報告されていない可能性あり

 

・当然ニュージーランドにおいての状況で、他の国に当てはまるわけでないこと

 

国レベルのデータという点で重要ですが、

「何が原因で突然心臓が止まるの?」

という疑問に答えることは大変難しいことがわかりました。

 

結局モヤモヤして終わる報告となってしまいましたが・・・

Take Home Messageとしては

・すごい稀だが、若くても心臓が突然止まる

・その内心拍再開した方は、約半分が遺伝的な心疾患

・遺伝的な心疾患はたくさんある

・より詳細に調べるのは非常に難しい

ということにしておきます。

 

*出てきた心臓疾患は、循環器内科医以外だとあまり聞き慣れないかもしれませんが、心臓疾患突然死のリスクとしてとても重要です。覚えておきましょう。

 

 

結論

遺伝的な心疾患は心臓が突然止まるリスクとして重要そうだが、何がどれくらい重要なのか言うことはとても難しい。

ではまた。

-心臓病, 論文解説

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