ちょっとびっくりする論文がLancetに掲載されました。
なんとトランプ政権を批判する論文。
医学雑誌は政治や政権に口出しすることは普通ありません。
誰が、何を批判したのでしょうか。
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Lancetがトランプ政権を批判した件
今週のLancet誌のEditorialに発表された論文です(Lancet 2020 org/10.1016/S0140-6736(20)31140-5)。
著者は「The Lancet」、つまりLancetの編集者達ということ。
完全にトランプ政権を批判する、politicalなメッセージ性の強い論文です。
抜粋はこんな感じです:
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ワシントン・ポスト紙で、現COVID-19対策長、CDCの元HIV/AIDS局長のBirx氏が、CDCのCOVIDに関するデータについて
“There is nothing from the CDC that I can trust”.
と発言した事が話題になりました。
(トランプ政権により)CDCは弱体化し、形骸化したアドバイザー的立場となってしまった。
CDCとは世界トップの感染症疫学の組織で、今まで多くの疫学的政策を講じたり、ウイルスを同定したりして世界に貢献してきた。
しかしその経済母体は米国政府であり、資金がpoliticalに決まるため、実は段々と独立した公衆衛生的措置を取れなくなってきていた。
例えばレーガンとブッシュ政権の際、十分な資金が無いせいで必要なHIV対策が取れない局面もあった。
トランプ政権の何が問題だったか。
・CDCは弱体化され、中国にいるCDC職員は、2019年7月をもって全員引き上げられた。
・2/25にCDCの免疫/呼吸器疾患のヘッドであるMessonnier氏が「国民全員、日常生活が制限されることに準備すべき」と発表したら、以降ホワイトハウスの会議に参集されなくなった。
・トランプ政権はCDCのガイドラインに疑問を呈す姿勢をとっている。
こういう行動により、CDCのリーダーシップが削られ、COVID-19にうまく対応できなくなっている。
CDCが誤った対策をしたのは事実。
例えば、最初に開発したテストキットは、全然ダメだった。
しかし、だからといってCDCを弱体化するのは、問題の解決にならない。
政権はワクチンや特効薬といった魔法に期待しているが、一番大事なのは「検査、追跡、隔離」を地道に繰り返すことだ。
CDCはトランプ政権に屈しないリーダーを必要としている。
これ以上政権がCDCに介入すると科学・公衆衛生の国際的な強力が妨げられてしまう。
事実トランプはWHOへの資金支援を取りやめた。
アメリカ人は次の選挙で「公衆衛生は党利党略によって決定されるべきでない」と理解できる大統領を選ぶべきだ。
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最後の文を英語のまま引用すると、
Americans must put a president in the White House come January, 2021, who will understand that public health should not be guided by partisan politics.
すごい主張です。
異例中の異例
医学雑誌がこのような政治的発現をすることは、おそらく全例がありません。
「トランプに票を入れるな!」と主張しているんです。
しかもLancet。
異例中の異例です。
アメリカのニュースメディアはこれを大きく取り上げました。
The HILL: “The Lancet blasts Trump, says voters should not reelect him”
FOX News: “Medical journal slams Trump for ‘incoherent’ COVID-19 response, calls on Americans to vote him out”
私はCDCやCDCが行った政策に詳しくないのでなんとも言えないですが、この論文は大きな影響を呼びそうです。
ではまた。