ビタミンDサプリ、色んな状況で有効性が期待されています。
今回紹介する研究は、ビタミンDとうつ病発生の因果関係。
ビタミンD血中濃度が少ないとうつ病発生が多い事が言われていますが、サプリによって発症予防できるか?
最大規模のランダム化試験です。
Contents
ビタミンDはうつ病予防に効くか
ビタミンDサプリ、使ってますか。
〇〇に効く効かないでなく、足りてなかったら使ったほうが良いですよ。
使う目安は、どれだけ太陽浴びてるか。
*詳細はこちらで確認下さい。
さて、ビタミンDサプリがどんな疾患予防に効果があるか、ホットな分野です。
今回紹介するのは「うつ病」。
観察研究では、血中のビタミンD濃度が低いこととうつ病発症との関連性が示唆されてきました。
そしてビタミンDサプリには今まで13のRCTが行われ、1つ以外「関連性なし」の結論でした。
しかし、どの研究も参加人数が十分でなく、「関連性なしという結論だったときに、本当に関連性がない」という事を担保できていませんでした(十分なpowerがありませんでした)。
そこでVITAL試験。
これは今まで最大規模のビタミンDとオメガ3脂肪酸サプリを使ったランダム化試験です。
そのsubstudyであるVITAL-DEPの結果が発表されました(JAMA. 2020;324(5):471-480)。
どんな研究?
ビタミンD サプリ2000 IU/dayとオメガ3脂肪酸サプリを2X2 factorial randomizationした研究です。
→ビタミンDの効果のみ注目しています。
VITAL-DEPは:
・うつ病病歴のない18353人が対象
・フォローアップの中央値は5.3年
・アウトカムはうつ病発症とPHQ-8というmood score(0-24点)
・powerはうつ病発症については85%、PHD-8変化については99%以上です
結果・・
<うつ病発症>
ビタミンD群:609人 (12.9/1000 person-years)
プラセボ群:625 人 (13.3/1000 person-years)
→調整済みハザード比: 0.97 (95% CI, 0.87 to 1.09; P = .62).
<PHQ-8>
差は0.01 点(95% CI, −0.04 〜 0.05 点)
差、なし。
解釈
50歳以上の白人中心、11.6%が血中ビタミンD濃度20 mg/ml未満、という集団において、ビタミンDのサプリはうつ病発症を予防しませんでした。
✔この論文はかなりconservativeな結論をしています。
実際様々なsecondary analysisをしているのですが(ビタミンD濃度が低い人での解析、再発というアウトカムなど)、それらの結果はhypothesis-generatingだと。
なぜなら、アウトカムを複数解析することによるmultiple testingの問題があり、かつそれぞれのpower分析をしていないからです。
→つまり、「この研究では結論できない」となってしまいます。。。。
*ちなみに、それぞれ結果は「関連性なし」です。
こんな大規模なtrialをやっても、科学的に厳密に言えないことは言えない、という姿勢が伺えます。
もちろん日本人ではどうかも不明。
科学的には、確かにそうなのですが、、、
きっと、効かないです。
結論
ビタミンDのサプリメントはうつ病発症予防効果は無さそう。
ではまた。