ビタミンDサプリで結核予防できるか

ビタミンDサプリは感染症の予防に注目されています。

特に日光をあまり浴びない、ビタミンDが欠乏気味の方。

彼らに実際にビタミンDサプリを投与することで、結核の感染予防ができるか、大規模なランダム化試験が行われました。

これを解説していきます。

 

 

ビタミンDサプリで結核予防できるか

ビタミンDサプリで結核予防できるか

WHOは、すごい野望を描いています。

2030年までに結核(TB)を80%減らす

発症した人を治療するだけではこれは達成できず、潜伏感染している人にどうアプローチするかが問題となっています。

潜伏感染している人の内、約10%が生涯までに発症すると考えられているからです。

そして結核の潜伏感染者は、世界に17億人いるとのことです・・・・・

 

結核の感染が起こるのは子供が多いです

(発症するのは大人が多いですね)

如何に子供への結核感染を予防するか

そこで注目されたのがビタミンDです。

 

この記事にまとめているように、ビタミンDサプリは感染予防効果を高めることが期待されています。

結核に限っても、ビタミンD不足の人は結核の感染リスクが高いことは示されています。

示されていないのは、本当にビタミンDを投与すれば結核感染が防げるか。

 

これを検証したランダム化試験が発表されました(N Engl J Med 2020; 383:359-368)。

 

 

どういう研究?

モンゴルの18の公立小学校で行われました。

6-13歳で結核の潜伏感染していない(=クオンティフェロン検査 [QFT]陰性)子供が対象

…ビタミンD欠乏症のくる病を発症していないのも条件です(その場合ビタミンD投与が必須のため)

・1:1でランダム化:ビタミンDを14000単位/週、もしくはプラセボ

3年間フォローアップ、QFTを再度行い、陽性率を比較しました

 

 

結果

8851人のQFT陰性の子供がランダム化されました。

平均年齢は9歳。

ビタミンDの血中濃度が低い人(<20ng/ml)が96%でした。

92%がフォローアップのQFTを受けました。

ビタミンD足りてない子が多い(モンゴルは日照時間多いはずなのに)。フォローアップはまずまず

 

3年後に潜伏感染となった率は、

・ビタミンD群:3.6%

・プラセボ群:3.3%

ハザード比1.1 [0.87-1.38]と、有意差なしでした。

 

もともとビタミンDの血中濃度がかなり低い人(<10ng/ml)に限定しても、

・ビタミンD群:5%

・プラセボ群:4.9%

→ハザード比1.01 [0.72-1.42]と、有意差なしでした。

 

*重篤な副作用はありませんでした。

高カルシウム血症がビタミンD群に一人みられましたが(補正Ca 10.8mg/dl)、ビタミンD投与を止めて改善しました。

 

 

解釈は?

モンゴルの小学生に対して、ビタミンD14000単位/週を投与しても結核感染は予防できませんでした

でも、本当かそれ????

きっと違う

 

✔重要なlimitation(post hoc analysis)があります

「QFT陽性」と判断するカットオフを0.35IUとしていたそうなんですが、これだとかなり偽陽性が出てしまうことがTrial中に発覚しました。

より信頼性の高いカットオフは4IU(10倍以上!)

これを基準として結果をみてみると:

✔全体で

・ビタミンD群:0.6%

・プラセボ群:0.9%

→ハザード比0.67 [0.39-1.12]

✔ベースラインのビタミンD濃度がかなり低い人の中では

・ビタミンD群:0.5%

・プラセボ群:1.3%

→ハザード比0.41 [0.17-0.99]

と、ビタミンD群の方が感染リスクが低い結果となったのでした。

*もともと予定されていた解析でない解析(post-hoc analysis)なので、十分な統計学的powerが担保されておらず、決定的とはいえませんが。

 

☆ポイント!

偽陽性が多く出た今回のような場合は、Non-differential misclassificationという問題が起きています。

→Non-differentialというのは、介入群もコントロール群も同じ確率でmisclassification(この場合は偽陽性)が出てしまう、ということです。

→すると、偽陽性の割合は両群で同じ=結果が希釈されることになるので、

ハザード比は1に近づきます

→よって、本当は差があっても、差がないと結論してしまう危険性が高まります

 

今回の場合は、より厳密なカットオフとした場合の感染率(両群とも1%未満)と比較し、misclassification errorの率(数%)がかなり多いので、結果の解釈ができなくなってしまったのでした。

*印象ですが、3年間で小学生の5%が結核感染するとは少し考えづらい気もします。

 

 

✔また、この記事で述べているように、1週に1回の多量投与より、連日の少量投与の方がビタミンDの効果がより得られることが示唆されています。

→この研究が始まったのがVITAL trial発表前だったので仕方ないかもしれませんが、連日1000~2000IUのビタミンDサプリで検討すると、また違った結果となったかもしれません。

 

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ということで、結局ビタミンDサプリはどの程度有効なのか、はっきりわからない結論となってしまったのでした。

しかし「めちゃくちゃ効く」という結果にならなかったのは確かなので、このTrial結果を基にビタミンD投与が結核予防として行われていくことはないでしょう。

 

勘ですが、毎日少量のビタミンDサプリは、日光を浴びない人で感染予防に効果はあるが、その効果はめちゃくちゃ強いわけでない、というのが真実な気がしています。

 

 

結論

ビタミンDサプリで結核予防は立証できなかったが、本当に効果が無いかはわからない。

ではまた。

-論文解説

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