昔の人はどうやって健康を追求していたか

エビデンス、科学的根拠により健康を考えるようになったのは、つい最近のことです。

疫学という学問が発展したのは19世紀から。

それより昔の人はどうしていたのか?

誰しも「健康であること」には多大な関心があるものです。

この記事では、そんな歴史を少し振り返り、今の医学や疫学との関連性を考えてみます。

 

 

昔の人はどうやって健康を追求していたか

昔の人はどうやって健康を追求していたか

想像してみて下さい。

もし西洋医学がなかったら。

急に家族が苦しみだして亡くなってしまった。

原因がわからない・・・・・恐ろしいですよね。

今でこそ「急性心筋梗塞」という診断がつきます。

昔から人間は、どうにかしてこういう恐ろしい事象を説明しようと努力してきたのでした。

 

「病気と向き合う」ということは何千年〜何万年の歴史がある行為です。

疫学が発展したのは、ここ100~200年と言っても過言でありません。

今のエビデンスや科学的根拠は、先人たちが積み上げてきた知見を「現代の方法で」科学しているに過ぎません。

そう考えると、歴史を知ることはとても重要です。

 

この記事は、「Epidemiology and The People’s Health: Theory and Context」という教科書の第2章を参考にしています。

 

 

始まりは四体液説(古代ギリシャ)

思い出してみると医学部の授業でも習いました。

自分含め、今どき医者を志す若者なんてほとんど西洋医学しか眼中にないので、「今」役に立たない歴史のことなんて興味があるはずもありません。右から左に流れていきました。

でもある程度わかってくると、やっぱり歴史に興味が向いてくるものです。

 

体系的な医学(っぽい学問)の始まりは古代ギリシャ、四体液説。

より具体的には「なぜ病気が起きるか」という因果関係の推論が始まったのが、この説と言われています。

 

この説の根本は「体液のバランスが崩れると病気になる」というものです。

詳細は省きますが、重要なのは、このバランスとは「環境、患者個人の因子、症状、治療」により定まる、というもの。

今でこそ(今考えられている)客観性をもって研究されていますが、その概念は紀元前すでにあったのです。

 

 

東洋医学

中国で発展してきました。

今でこそ東洋医学と一括にされていますが、昔は様々な学説があったようです。

大事な概念は「陰と陽」「五行説」。

ここで詳細を説明することは不可能ですが、四体液説と同様、重要な点は「環境」とのインタラクションを背景としたコンセプトであることです。

 

 

カリャワヤ

カリャワヤというのはアンデス地方のヒーラーです。

「アイル」という山の3階層で、それぞれの健康・病気を理解する、というのが重要なコンセプトです。

山と人間は生→死→生→・・・というエンドレスサイクルを構成するものとされ、健康を維持するには山を大切にする事(儀式など)が必須、という考えに基づいています。

山を害すれば人間も壊れる。

口頭で伝承されてきました。

 

 

オゴリ

ナイジェリアで口頭で伝承されてきた説です。

よくある病気(風邪、マラリア、高齢者の死など)は自然のものとして。

まれなもの(若者の死など)は呪いとして解釈されました。

 

 

これら昔の学説が示唆する所

これら昔の説に共通している大事なポイントが2つあります。

 

・バランス、生態学、政治に関するメタファーとメカニズムにより、体の中で起きていることと体の外のできごとを結びつけている

・大勢の人が同時に発症する病気と、それ以外の病気(発症頻度が人による病気)を区別している

 

つまり、「患者個人」でなく、環境というコンテクストで考えるということ。

今のように共通の医学用語がなく、メカニズムも不明だった中、説明する方法の一つがメタファーであった。

やろうとしていることは、病気の原因を突き止めるということ。

根本は今の医学、疫学に共通しています。

*これらの説が根本にあるのだから当然です。

 

そもそも科学とは人間が考えうる範囲内でしか発展しない詳細こちら)、ということを合わせて考えると、非常に興味深いです。

例えば、今でこそ「循環器疾患の社会的要因」というのが大きなテーマで色んな研究が行われていますが、それはかなり昔からある概念なのです。

19-20世紀の医学は「体内での疾病メカニズム」が解明され進歩してきた歴史がありますが、21世紀に入り「社会的要因」が注目されてきた流れは、ある種built-inされていたものと考えられるわけです。

歴史を知る事は、「人間が考えられる(=科学の対象となる)事は何か」を知る事にも繋がるわけですね。

 

ではまた。

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