ChatGPTでの英文校正というチート:使い方・注意点まとめ

論文は多くの場合英語で書くわけですが、残念ながら論文の質は一部英語の文章力で判断されてしまいます。

文章が読みにくければ、査読者の読む気がうせます。そうなると良いスコアを得ることは非常に難しいものです。

ChatGPTをご存知でしょうか?無料でAIになんでも聞けるツールなのですが、なんとその英文校正能力が素晴らしいのです。

これを上手く使えば、英語のハンデをうまく解消できます。

この記事では、ChatGPTで英文校正をする際、どういう点に気をつければよいか、自分の経験をもとにまとめました。

 

 

論文の英文校正はChatGPTがピカイチ

論文の英文校正はChatGPTがピカイチ

ChatGPTとはAI(自然言語処理)により、まさに「AIとチャットする」無料のサービスです。

OpenAIというプロジェクトで歴史があるようですが(詳しくは調べていません)、特に去年にtrainingが完了した現在のバージョンは、本当に素晴らしい出来です。

このChatGPTを、科学論文の英文校正に応用したら、思った以上のクオリティだった、というわけです。

 

科学論文は当然中身が一番ですが、残念ながら(特に疫学・臨床研究については)、英文の質は極めて重要です。

査読者は基本ボランティアです。ボランティアとして、忙しい中論文を査読してあげるわけですが、その英文が読みにくかったら、一瞬で査読をする気が失せます。自分ですらそうなので、欧米の研究者はもっと顕著かと思われます。

査読「してもらう」スタート地点に立つため、良い英文を書くのは必須な要素なわけです。

 

 

私は筆頭著者として30本近く論文を書いてきて、かつ大学院でwritingの指導をかなり受けてきました。文法は高校生のとき「平岡塾」というスパルタ塾で徹底的に叩き込まれたこともあり、論文の英文ライティングに関しては割と自信がある方です。

ただ、やはり欧米研究者が書くような文章を自力で捻出するのは難しいと思う場面も多く、共同研究者に赤を入れてもらうと、やはり英文の質は向上するので、ありがたいなあ、と常日頃思っていたわけです。

ある日、ふと思い立ってChatGPTを使ってみました。

感動。

これは本当に革新的です。

 

何回か使ってみて、いくつかポイント・注意点が思い当たったので、この記事でまとめていきます。

ぜひChatGPTを上手く使いこなし、英語のハンデをなくし、よい科学論文を発信していきましょう!

 

*英文校正の業者

数回、英文校正の業者を利用した事がありますが、散々の出来だったので、自分は一切使いません。

後述しますが、業者の担当者が「その領域の基本となる言い回し」をわかっていないせいで、それを誤って修正され、むしろ労力がかかる+質が落ちる、という経験でした。

サービスとして成り立ってないな、と数年思い続けていましたが、ChatGPTの台頭により立ち位置がいよいよ厳しくなってきそうです。

もしかしたら基礎研究者の方には良いのかもしれません(わかりません)

 

 

ChatGPT英文校正の使い方

非常に簡単です。

まず以下のURLで無料の会員登録をします

https://chat.openai.com

 

そしてチャットのページに行きます

https://chat.openai.com/chat

 

こんな文章で校正を依頼します:

Please be an English spelling corrector and improver. I ask you to make my sentences more scientific, elegant, and academic, with use of upper-level English words, keeping the meaning same. Please keep the structure of my sentences and correct grammatical errors. Please only reply the revised sentences. My sentences are “ここに文章を入れる”.

 

以上です。すぐにやってくれます。

 

上記は非常に簡単な依頼文ですので(それでもかなり上手くいくと思います)、適宜調整ください。

語数削減なども指示できます。

 

すごいですね!!

 

 

ChatGPTの注意点

やってみるとわかる通り、めちゃくちゃ優秀です。

これは非欧米圏の科学者にとって必須ツールとなるはず。

ただ、いくつか使用してみて注意点が思い当たったので、これをまとめていきます。

 

*なおこのAIは(trainingデータが増えるにつれ)どんどん進化していくため、そのうち問題でなくなるかもしれません。

2023年1月時点での感想です。

 

  1. あくまで単独の補助ツールとして使うべき

当然ですが、出力の文章は必ずチェックして取捨選択ください

かなりnaitiveな言い回しをしてくれますが、当然完璧ではないです。自分のinputが未熟(英語がわかりにくい)せいで、その部分をカットされたり(してくれたり)します。

出力をそのままコピペ、というのは愚かな所業です。

最終的な判断を人間がしなければいけない、と言う点で、著者の英語リテラシーはやはり重要です。

 

また、翻訳AIとの組み合わせについては、自分はお勧めしません

自分が使わないというのもありますが、単純に考えてAIを2回使ったら、誤るリスクが増えます(90% * 90% = 81%)。

DeepLがかなり有能なのは知っていますが、やはり自分の英文をinputとして使うのが現時点では良い気がします。

 

  1. 特定の言い回しが多用される傾向にある

論文を英語で書く際、同じ意味のことを違う言い回しで言うことが良いとされます。

例えば、疫学・臨床研究の論文では「Association between A and B… 」を非常に多く言う必要があったりします。その時にlinkingだったりrelationshipだったり、言い回しを変えるわけですね。

一方、ChatGPTは特定の言い回しを頻用する傾向がある気がします。

大きな問題ではないですが、少し気になりました。

 

繰り返しですが、出力の文章を自分で確かめて、ある程度取捨選択するのが良いと思います。

 

*Use abundant synonyms. などを加えれば解決するかもしれませんが、それが必ずしもよいとは限りません(次参照)

 

  1. 科学的な用語が100%正しく使われるわけではない

一般英語ではsynonymだけど、科学的には異なる言い方、みたいのがありますよね。

例えばincident dementia / cognitive impairment / cognitive decline はそれぞれ異なる意味を持ちます。

元のinputの文章で区別していれば問題ないですが、こういう所を完全に機械に任せるのは、現時点ではやめた方がよいです(上述のDeepL -> ChatGPT、など)。

 

そして、用語を適切に使うことこそが論文の質を上げる重要なポイントだったりします。

臨床研究の場合、その基本は実は疫学にあります(臨床研究は疫学研究の一部です)。

ただ、臨床研究を行う研究者の中で、系統だった疫学のトレーニングを受けた人はどれほどいるでしょうか。最近でこそMPHが流行ってきていますが、MPHレベルの基礎知識をつけることは、疫学・臨床研究の共通言語を習得するという意味で、実はめちゃくちゃ重要です。

共通の基本言語の使い方を誤ってしまうと、その研究グループの基礎知識のなさを露呈してしまうことになり、rejectのリスクが高まります。

現在ではChatGPTで克服できないので、基礎のトレーニングは是非受けましょう。

 

  1. 論文盗用とならないよう気をつける

英語では「Plagiarism」と言います。

最近は論文盗用について非常に厳しいです。一発アウトになりかねないので、ChatGPTの使用有無に関わらず、慎重になった方がよいです。

なお、だいたい文章自体でなくreferenceの付け方なども一緒に判断されるので、普通に一回自分で書く場合は問題にならないと思いますが。

ChatGPTを使用したからといってそのリスクが上がることはないかと思っていますが、わかりません。

 

最近では無料のチェッカーがあるので、気になる方は使うのをroutineにするとよいかもです。

例えば:https://www.duplichecker.com/

*「plagiarism checker」でググってみてください

 

  1. inputした内容がsecureではない

「Open」AIというくらいなので、当然secureではありません。

漏出して困る情報は使わないのが無難です。

ただ、多くの場合「introduction」と「discussion」に使うと思うので、その場合は概して問題ないかと思います。

 

*これはかなり分野によります。

統計やcomputer scienceだったら、どうせ論文はpreprintに投稿するわけなので、最後の英文校正に使う分には問題ないです。

疫学・臨床研究の場合、プレミアムは使用するデータにあることが多いので、文章が仮に流出してもそこまで困るリスクは低いです。

基礎研究ですさまじい発見をして、学会発表も控えるレベルの場合、使用を慎重になる気持ちはわかります。

 

 

まとめ

ChatGPTによる英文校正はものすごい威力がある。

無料だし一瞬でやってくれる。絶対使うべし。

ただし、あくまで「補助ツール」として、いくつかの欠点を知った上で使うとよい。

その分野の基本知識、共通言語はChatGPTでは克服できなそうなので、そこは系統だった勉強が必要。

ではまた。

-疫学・臨床研究

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