【論破】Intention-to-treat analysisは微妙だよ、という話

ランダム化試験で必ず報告されるIntention-to-treat (ITT) effect

ただ相関を取るだけ。何も考えずに計算できる代物です。

が、微妙な点がいくつも。

この記事では、ITT信奉者を様々な角度から論破してみました。

 

 

Intention-to-treat analysisは微妙だよ、という話

Intention-to-treat analysisは微妙だよ、という話

ITTって何でしたっけ。

ランダム化比較試験における、「介入の割り振り」と「アウトカム」の相関関係でした。

 

ここでの問題は、

・介入の割り振りはランダムだが

実際の介入はランダムとは限らない(アドヒアランスの問題)

という点。

 

でもランダムだからこそConfoundingがないのです。

だから、ConfoundingのないITTが報告されるのでした。

それは「割り振り」の効果であって、「治療」の効果でないにもかかわらず。

 

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ITTの代わりとなるのが、per-protocol effect.

これはIV analysisという手法で求められるもので、治療の効果を推定できます。

ただし

・Assumptionがある(RCTで必要なものはMonotonicity

Complierにのみ言及できる効果である

ことに注意が必要なのでした。

 

手法の詳細はMendelian Randomizationの記事を参照ください(同じ手法、IV analysisです)

 

***

さて。

ITT effectでいいんだ!!!!!

と主張する方々がいます。

特に臨床医。

 

その論拠は、

ITT effectは実際の治療効果よりNullに近いもの(conservative)だから

というもの。

 

つまり

✅一定数割り振られた治療を受けない人がいるので、「割り振り」の効果というのは、実際の効果より過小評価される。

 *リスク比、ハザード比が1に近くなる、という意味です

✅過小評価された結果で良し悪しを判断するのだから、研究としてはOKだ。

という主張です。

 

なかなか合理的な気がしませんか?

これを論破しようというのがこの記事の目的です。

ではいってみましょう!

 

 

 

ITTがconservativeとは限らない

ITTがconservativeというためには、monotonicityを前提としています。

テクニカルにはdefierがいない、ということですが、よりわかりやすく言うと「介入による治療効果の方向性が同じ」ということ。

→治療が、ある人には有効だが、ある人には害となる、というシナリオが全くないという意味です

 

monotonicityでない場合、実際の効果(per-protocol effect)の方がITTよりconservativeとなりえます!!

(リスク比が1に近くなる)

 

極端な例ですが、

・本当は治療の効果がある人は、ちゃんと割り振られた通りに内服した

本当は治療により害となる人が、割り振られても薬を飲まなかった

→そしたら、ITT effectは治療効果を過大評価していることになりますよね!!!

 

*なお、Monotonicityが成り立つなら、一般的にper-protocol effectの推定が、RCTでは可能ですね

 

 

Monotonicityが成り立つとしてもITTがconservativeとは限らない

Double-blind, placebo-controlled RCTなら、Monotonicityが成り立てば、ITTがconservativeと言えます。

では薬A vs. 薬Bのhead-to-head comparisonだったらどうでしょう?

 

例えば、痛み止めのhead-to-head comparison。

真実は薬Aの効果=薬Bの効果、だったとしましょう。

つまりper-protocol effectはリスク比=1

でも薬Aは、ちょっとした副作用があった。

そしたら··?

 

薬Aに割り振られた人で「薬Aが効かない人」は、痛みに効かない上に副作用まで出るので、飲むのをやめてしまう。

つまり薬A群は効かない人だけがdrop outしてしまう。

すると、

ITTでの薬Aの効果は、ほとんど薬Aが効く人の中での推定となってしまう

ITTは「薬Aの方が効く」、と結論してしまう!!!

 

あれ?!

ほんとは効果なしのはずなのに!!

ということでした。

 

 

ITTがconservativeだと困る場合がある

実際にITTがconservativeだったとしましょう。

そしたら、

✅薬の安全性をみる試験

✅既存の薬とのnon-inferiorityをみる試験

では適した方法とは言えないのです!!

 

当たり前ですね。

だってITTだと「差がなし」と誤って結論してしまう可能性が高まるわけだから。

 

誤って

薬の重大な副作用なし

誤って

既存の薬との差なし

と結論してしまうリスクが上がるわけです。

 

 

でもITTこそが「本来の効果」なのでは?

どう説明しても、こう主張する方が絶対います。

というのは、治療ではadherenceが100%になり得ないから。

 

per-protocol effectというのはadherenceが100%とした時の効果であり、それは実臨床を反映しない。

ITTこそが、「adherenceが100%でないことを含めた効果の指標」であり、実臨床の効果を反映する。

と。

 

アメリカだと臨床医が

Clinically,…. Clinically,….

と繰り返しますが、clinically peopleが本当に好きなargumentです。

でもこれも論破できます。

 

 

1) RCTでのadherenceは実臨床のadherenceと異なる!

まず根本的にこうですね。

そしてRCTではdouble-blind, placebo controlledでないと、「おそらく今飲んでる薬が効くから」という理由で(医者も参加者も)、その群のadherenceがよくなります。

逆も然り。

 

2) もしRCTのper-protocol effectが実臨床を反映しないなら、そもそもdouble-blind RCTを行うべきでないと主張していることになる

だって実臨床ではdouble-blindでないから。

つまり「治療されている」とわかっていること (awareness)が治療の範疇に含まれるなら、そういうことですよね。

あれ??

 

なんでdouble blindとしているかといったら、awarenessよるアウトカムへの影響をなくすためでした。

それが「実際の効果」のconfoundingとなるから。

double blindにしない方がいいの?

はい論破ー

 

3) もし自分が患者だったらITTとper-protocol effectどっちが知りたい?

ITTと答える人は皆無でしょう。

 

 

まとめ

ITTがconservativeというのは、monotonicity+double-blind placebo-controlled RCTを仮定している

conservativeだとsafetyやnon-inferiorityをみるTrialでは危険

ITTがadherenceを含めた効果だから、という議論は簡単に論破できる

ではまた。

-疫学・臨床研究

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