コーヒーの健康効果を科学的に説明【最新疫学】

コーヒーは健康に良い、と聞いたことがある人がほとんどだと思います。「カフェインが良い!」とか色々理由を聞きますが、何がどう正しいのでしょうか。

この記事では、疫学研究に裏打ちされたコーヒーの健康効果を網羅的に解説します。

「具体的にどういう疾患予防につながるか」「コーヒーを控えるべき状況はどういうものか」「デカフェは効果があるか」こういった疑問に科学的に答えを出します。

 

 

コーヒーの健康効果について誤解されてがちなこと

コーヒーの健康効果をほとんどの人は知らない

 

コーヒーはカフェインが含まれているから健康に良いんだ!」と主張する方へ。

それは正しい説明ではありません。

 

次のように論破されてみてください。

・コーヒーが含んでいる栄養素は他にもたくさんあります。コーヒー=カフェインではありません。

・焙煎されたコーヒーには、「発ガン性物質」とWHOに指摘されている物質(アクリルアミド)が含まれています(詳細こちら)。これは考えなくて良いのでしょうか?

・カフェインが本当に体に良いなら、カフェインのサプリメント摂取が推奨されていると思いませんか?むしろ体に悪いイメージがあります。

・明らかに、カフェインにより体調不良を来す方がいます。

 

このブログで繰り返し言っていますが、栄養素の観点で食事を語るほとんどの説明は妥当と言えません(説明こちら)。

めちゃくちゃ体に良い栄養素があれば、それはサプリメントとして全員に摂取が推奨されるはずです。現実は、健康効果が立証されているサプリメントはほとんどないのです(詳細こちら)。

栄養素というものは、その食事の健康効果を理解し説明する材料なのです。

 

コーヒーの健康効果は、コーヒーを飲む人と飲まない人を比較した研究でしか立証できません!

 

 

科学研究で証明されているコーヒーの健康効果

実際にどんな効果が証明されているか、みていきましょう。

*ちなみに全部、ブラックコーヒーの効果です。砂糖や乳脂を加えると健康への悪影響が想定されえます。

 

死亡率

2019年の死亡率に関するメタ解析です(Eur J Epidemiol. 2019;34(8):731–752.

・コーヒーを飲まない状態と比較し、1日3.5杯飲むことで15%の死亡率低下、2.5杯飲むことで17%の心血管疾患による死亡率の低下、2杯飲むことで4%の癌死亡率低下が認められました。

・これ以上飲んでも、それぞれの死亡率低下には寄与しませんでした。

・特にアジア人とヨーロッパ人にて、コーヒーによる良い効果が顕著に認められました。

→以上より、1日2-4杯のコーヒーを飲むことが、死亡率低下という最強の健康効果が期待される事がわかりました。

 

 

心臓病

・2014年のメタ解析では、心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患の抑制効果があるとされました(Circulation. 2014;129(6):643–659.)。

・Mendelian Randomizationという疫学手法で、コーヒーと脳卒中の関連性は因果関係でないことが示唆されました(Ann Neurol. 2020;10.1002/ana.25693.)。コーヒーを飲んでいる人に脳卒中リスクが低いが、それはコーヒーのせいでないということです。

→決定的な結論でなく、因果関係かどうかに関しては、まだはっきりしていません。

 

 

癌発症

非常に多くの研究が行われてきたため、2020年にUmbrella reviewが出版されました(BMC Cancer. 2020;20(1):101.)。これは今までのメタ解析のまとめ+質の評価なので、非常に参考になります。

*Strong - highly suggestive - suggestive - weak - no association の順に、信頼性が評価されています

 

✔発症リスク低下と関連

Strong: なし

Highly suggestive: 子宮体がん、肝臓がん、メラノーマ、口腔がん

Suggestive: なし

Weak: 乳がん、大腸癌、直腸がん、食道がん、メラノーマでない皮膚がん

✔発症リスク上昇と関連

Strong: 急性リンパ球性白血病

Highly suggestive: 膀胱がん

Suggestive: 肺がん

Weak: 白血病

 

補足ですが、

・肝臓がんは日本人に限定した研究でも、抑制効果が認められました(Nagoya J Med Sci. 2019;81(1):143–150.)。

・食道癌抑制する効果は微妙ですが、アジア人には強いかもしれません(Medicine (Baltimore). 2018;97(17):e0514.)。

 

 

その他

糖尿病発症、悪化を抑制します(Diabetes Care. 2014;37(2):569-86., Eur J Nutr. 2014;53(1):25-38.)。

 →繰り返しになりますが、砂糖いれちゃダメですよ(詳細こちら)。

関節リウマチ発症抑制効果があります(Clin Rheumatol. 2014;33(11):1575–1583.)。

うつ病、自殺のリスクを低下させる可能性があります(Aust N Z J Psychiatry. 2016;50(3):228-42., World J Biol Psychiatry. 2014;15(5):377-86.)。

 →この効果はデカフェでは認められず、カフェイン摂取と関連する可能性が示唆されています。

・パーキンソン病のリスクが減りそうです(Annu Rev Nutr. 2017;37:131–156.)。

・膵炎のリスクが減るかもしれませんが、メタ解析の質は低いです(Dig Dis Sci. 2018;63(11):3134–3140.)。

・認知症との関連はなさそうです(Nutrients. 2018;10(10):1501.)。

 

 

まとめ

まとめると、コーヒーは、死亡率、心血管病、いくつかの癌、他(糖尿病やうつ病など)のリスクを低下させることが示唆されています。

いくつかの癌のリスクは上げるかもしれませんが、明らかに利益の方が強く、それは飲まない理由にはなりません。

大体1日2-4杯から、明らかな効果が認められるようです。

 

 

科学的に証明された(コーヒーでなく)カフェインの効果

科学的に証明された(コーヒーでなく)カフェインの効果

 

一方、コーヒーでなくカフェインのサプリメントの効果を検証した研究も、たくさんあります。

これらはランダム化研究なので、因果関係が言えます。

 

こんな研究があります。

・最もはっきりしている効果は、運動のパフォーマンス向上です(Br J Sports Med. 2019;bjsports-2018-100278.)。

 →実際、ウェイトリフティングをやっている友達に聞くと、選手はほぼ皆試合前にカフェインを服用するそうです。

・ボート漕ぎのパフォーマンスも向上するようです。試合前に2000mgの服用です(Nutrients. 2020;12(2):E434.)。

睡眠不足による集中力低下をリバースする効果も証明されています(Neurosci Biobehav Rev. 2020;108:877–888.)。みんな知っていますね。

 

ちなみに、カフェインを飲むと一過性に血圧が上がりまが、脳卒中などとの関連は内容です(J Cardiovasc Electrophysiol 26:1–6., Pharmacotherapy 34:555–560.)。

 

※カフェインサプリを長期間投与した大規模ランダム化試験は、私の知る限りありません。長期摂取の健康効果は不明です。

→コホート研究でカフェインの摂取量を計算して、それと疾患罹患の関係を調査したものは多数あります。概ね健康に良さそうです。

 

 

デカフェは効果あるの?

「コーヒー」として調査されている研究が多く、特別にデカフェにフォーカスしている研究は少ないですが、健康効果はありそうです。

こんな研究があります。

・死亡率抑制効果がありそうですが、メタ解析の質は低いです(Br J Nutr. 2014;111(7):1162–1173.)。

・大腸癌発症抑制効果はありそうです(Nutrients. 2019;11(3):694.)。

・肝臓がん発症抑制効果もありそうです(BMJ Open. 2017;7(5):e013739.)。

・子宮体がん発症抑制効果もありそうです(Sci Rep. 2015;5:13410.)。

・糖尿病発症の抑制効果はありそうです(Diabetes Care. 2014;37(2):569-86.)。

・関節リウマチ発症抑制効果がおそらくあります(Clin Rheumatol. 2014;33(11):1575–1583.)。

 

デカフェはカフェイン入りコーヒーと比較し、エフェクトサイズ(何%疾患罹患率を下げるか)が概して低いです。

よって、カフェイン自体に健康効果があると推察されます。

 

 

コーヒーを飲むことを控えるべき状況

✔有名ですが、妊娠中は控えたほうが良さそうです。

・コーヒー中のカフェインを原因として、流産のリスクが高まります(Int J Gynaecol Obstet. 2015;130(2):116–122.)。

 →具体的には、1日2杯コーヒー(カフェイン150mg)摂取が増えるたび、流産のリスクが8%増えるようです。

低出生体重児となるリスクも増えます(PLOS ONE 2015 10:e0132334)。

 →1日1杯コーヒー摂取が増えるたび、低出生体重児のリスク(オッズ比)が3%増えます

 

カフェインの副作用が出てしまう方は、無理して飲む必要はありません。

・副作用とは、飲んですぐの頭痛、吐き気、めまいのことを言います。副作用自体は長期的な健康には関わりません。

・デカフェでも健康効果が期待できます。

・コーヒーによらずとも、その他の多くのストラテジーで、食事による健康効果の恩恵を受けることができます。

 →飲み物はお茶紅茶、水のどれかにしましょう。ストラテジーの外観はこちら。

 

 

結論

コーヒーは健康に良いです。1日2-4杯を目安に、コーヒーを飲みましょう

またこの記事を読み、カフェインが入っているから、というのがコーヒーの健康効果を説明しないが理解頂けたかと思います。

ではまた。

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