コーヒーの正しい健康効果知ってる?【科学的根拠】

コーヒーは健康に良い、と聞いたことがある人がほとんどだと思います。「カフェインが体に良いんだ」「コーヒーはポリフェノールを含んでいて、ポリフェノールは抗酸化作用があるから健康に良いんだ」。こういう説明を頻繁にみますが、これらは全く信頼に値する情報ではありません。コーヒーの健康効果は、コーヒーと疾病発症の関連性を研究することによってのみ分かるものです。ポリフェノールが良い、という説明は、ポリフェノールのサプリメントを推奨する言い方であって、コーヒーの効能を示すものではありません。

この記事では、疫学研究に裏打ちされたコーヒーの健康効果を解説します。「具体的にどういう疾患予防につながるか」「コーヒーを控えるべき状況はどういうものか」「デカフェは効果があるか」こういった疑問に答えを出します。この記事を読むことで、コーヒーの真の価値を知り、ヘルスリテラシーが向上します。別記事で緑茶紅茶について解説しています。

コーヒーの健康効果をほとんどの人は知らない

コーヒーの健康効果をほとんどの人は知らない

結論から言えば、「コーヒーが健康に良い」という記述は概ね正しく、それだけ確認できればOKであればこの記事を読む必要はありません。が、「何故、どういう健康によいか」「どういう時に控えるべきか」などは、信頼できる情報(科学論文)を知る必要があります。

そうでなく、「コーヒーはカフェインが含まれているから健康に良いんだ!」と主張する方は、次のように論破されてみてください

・コーヒーが含んでいる栄養素は、他にもたくさんあります。コーヒー=カフェインではありません。

・コーヒーの中には、「発ガン性物質」とWHOに指摘されている物質が含まれています(詳細は別記事)。実は、1991年にはコーヒーは「人間に対し発ガン性を持つ可能性のある食事」と分類されていました(IARC Group2B)。

・2018年に、カリフォルニア州がコーヒー製品に「発がん性を持つ可能性がある」記述を明記するよう法律を制定しました(詳細を別記事)。

・カフェインが本当に体に良いなら、カフェインのサプリメント摂取が推奨されていると思いませんか?むしろ体に悪いイメージがあります。

・明らかに、カフェインにより体調不良を来す方がいます。

繰り返しますが、栄養素の観点で食事を語るほとんどの説明は、科学的事実に基づいていません。めちゃくちゃ体に良い栄養素があれば、それはサプリメントとして全員に摂取が推奨されるはずです。が、健康効果が立証されているサプリメントはほとんどありません(詳細は別記事)。

食事や飲料の健康効果というものは、それらが含む複雑な栄養素のバランスに依存します。なので、コーヒーの健康効果は、コーヒーを飲む人と飲まない人を比較したコホート研究でしか立証できません!この当たり前の事が、多くの方に理解されていません。テレビをみても、「コーヒーはカフェインと、プリフェノールと、ビタミンも含んでいるから健康にいいんですよ」なんて説明が再三繰り返されています。こういう情報を疑えるようになることが大事です

栄養素というものは、その食事の健康効果を理解し説明する材料です。コーヒーを飲むと、様々な疾患発症率が抑制されることが、今までの疫学研究から明らかになっています。これがコーヒーの健康効果と言えます。

科学研究で証明されているコーヒーの健康効果

実際にどんな効果があるか、みていきましょう。

ちなみに全部、ブラックコーヒーの効果です。砂糖を加えると、砂糖のマイナス効果が強いため、健康によくありません。

<死亡率>

・最も重要な報告は、ハーバードで行われた死亡率に関するメタ解析です(Eur J Epidemiol. 2019;34(8):731–752.)。コーヒーによる最大の利益は、次のようなものでした。コーヒーを飲まない状態と比較し、1日3.5杯飲むことで15%の死亡率低下、2.5杯飲むことで17%の心血管疾患による死亡率の低下、2杯飲むことで4%の癌死亡率低下が認められました。これ以上飲んでも、それぞれの死亡率低下には寄与しませんでした。そして、特にアジア人とヨーロッパ人にて、コーヒーによる良い効果が顕著に認められました。以上より、1日2-4杯のコーヒーを飲むことが、死亡率低下という最強の健康効果が期待される事がわかりました。

<心臓病>

・心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患の抑制効果があります(Circulation. 2014;129(6):643–659.)。

<癌発症>

・肝臓がん発症抑制には効果的のようです(Curr Nutr Rep. 2019;8(3):182–186.)。日本人に限定した研究でも、抑制効果が認められました(Nagoya J Med Sci. 2019;81(1):143–150.)。

・大腸癌の抑制効果もあるかもしれませんが、メタ解析の質は低いです(Nutrients. 2019;11(3):694)。

・脳腫瘍の抑制効果があるという報告がありますが、メタ解析の質は低いです(World J Surg Oncol. 2019;17(1):51.)。

・子宮体がん発症を抑制する効果がありそうです(Nutr Cancer. 2018;70(4):513–528.)。

・乳がん、前立腺癌の抑制効果もありそうです(Annu Rev Nutr. 2017;37:131–156.

・食道癌発症を抑制する効果はありません(Medicine (Baltimore). 2018;97(17):e0514.)。サブ解析でアジア人には抑制効果があると結論していますが、信頼性は低いです。

・膵癌抑制効果はありません(Int J Food Sci Nutr. 2019;70(5):519–529.)。

<その他>

・糖尿病発症、悪化を抑制します(Diabetes Care. 2014;37(2):569-86., Eur J Nutr. 2014;53(1):25-38.)。もちろん、この効果はブラックコーヒーにのみ認められます。砂糖を加えた時点で、「砂糖入り飲料」にカウントされ、健康に悪影響を及ぼします(詳細こちら)。

・関節リウマチ発症抑制効果があります(Clin Rheumatol. 2014;33(11):1575–1583.)。

・うつ病、自殺のリスクを低下させる可能性があります(Aust N Z J Psychiatry. 2016;50(3):228-42., World J Biol Psychiatry. 2014;15(5):377-86.)。この効果はデカフェでは認められず、カフェイン摂取と関連する可能性が示唆されています。

・パーキンソン病のリスクが減りそうです(Annu Rev Nutr. 2017;37:131–156.)。

・膵炎のリスクが減るかもしれませんが、メタ解析の質は低いです(Dig Dis Sci. 2018;63(11):3134–3140.)。

・認知症との関連はなさそうです(Nutrients. 2018;10(10):1501.)。

・カフェインを飲むと一過性に血圧が上がりまが、脳卒中などとの関連はありませんJ Cardiovasc Electrophysiol 26:1–6., Pharmacotherapy 34:555–560.)。

まとめると、コーヒーは、死亡率、心血管病、いくつかの癌、他(糖尿病やうつ病など)のリスクを低下させる、素晴らしい飲み物だということです。大体1日2-4杯から、明らかな効果が認められます。

科学的に証明された(コーヒーでなく)カフェインの効果

科学的に証明された(コーヒーでなく)カフェインの効果

一方、コーヒーでなくカフェインのサプリメントの効果を検証した研究も、たくさんあります。

・最もはっきりしている効果は、運動のパフォーマンス向上です(Br J Sports Med. 2019;bjsports-2018-100278.)。実際、ウェイトリフティングをやっている友達に聞くと、選手はほぼ皆試合前にカフェインを服用するそうです。

※カフェイン単独による健康効果は、直接的にはカフェインサプリの効果として検証されますが、カフェインサプリを長期間投与した大規模ランダム化試験は、私の知る限りありません(知っている方、教えて下さい)。一方、カフェイン入りコーヒーとデカフェコーヒーの比較をすることで、間接的にカフェインの効果がわかります。概して、デカフェの方がカフェイン入りコーヒーより疾患抑制効果の度合いが少ないので、カフェイン自体にも健康効果があるだろう、と考えられます。

デカフェは効果あるの?

「コーヒー」として調査されている研究が多く、特別にデカフェにフォーカスしている研究は少ないですが、健康効果はありそうです。一方、カフェインによる健康効果が減弱するため、エフェクトサイズ(何%疾患罹患率を下げるか)はカフェイン入りコーヒーよりも概して低いです。

・死亡率抑制効果がありそうですが、メタ解析の質は低いです(Br J Nutr. 2014;111(7):1162–1173.)。

・大腸癌発症抑制効果はありそうです(Nutrients. 2019;11(3):694.)。

・肝臓がん発症抑制効果もありそうです(BMJ Open. 2017;7(5):e013739.)。

・子宮体がん発症抑制効果もありそうです(Sci Rep. 2015;5:13410.)。

・糖尿病発症の抑制効果はありそうです(Diabetes Care. 2014;37(2):569-86.)。

・関節リウマチ発症抑制効果があります(Clin Rheumatol. 2014;33(11):1575–1583.)。

コーヒーを飲むことを控えるべき状況

有名ですが、妊娠中は控えたほうが良さそうです。

・コーヒー中のカフェインを原因として、流産のリスクが高まります(Int J Gynaecol Obstet. 2015;130(2):116–122.)。具体的には、1日2杯コーヒー(カフェイン150mg)摂取が増えるたび、流産のリスクが8%増えるようです。

低出生体重児となるリスクも増えます(PLOS ONE 2015 10:e0132334)。1日1杯コーヒー摂取が増えるたび、低出生体重児のリスク(オッズ比)が3%増えます

カフェインの副作用が出てしまう方は、無理して飲む必要はありません。副作用とは、飲んですぐの頭痛、吐き気、めまいのことを言います。これら自体は長期的な健康には関わりません。

・デカフェでも健康効果が期待できます。

・コーヒーによらずとも、その他の多くのストラテジーで、食事による健康効果の恩恵を受けることができます。飲み物はお茶紅茶、水のどれかにしましょう。ストラテジーの外観はこちら。

結論

この記事に示したものが、「コーヒーの健康効果」です。カフェインが入っているから、ポリフェノールが入っているから、というのは、コーヒーの健康効果を説明するものではありません。

コーヒー好きな方には朗報です。1日2-4杯を目安に、コーヒーを飲みましょう

ではまた。

-食事と健康

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