スクリーニングのRCTで注意すべきバイアス3選

スクリーニングをした方がよいか、しない方がよいか。

巷では「スクリーニングを受けると死ぬ」と言ってる人もいるとかいないとか。

この答えを出すのが大規模ランダム化試験ですが、実はその解釈に注意すべきポイントがいくつもあります。

その中でも特に重要な3つのバイアスについて紹介していきます。

 

 

スクリーニング研究で注意すべきバイアス3選

スクリーニング研究で注意すべきバイアス3選

「スクリーニングを受けた方がよいのか、受けない方がよいか」

一見受けた方が良いに決まってると思いきや、逆の理論もあります。

スクリーニングによって手術などの治療を受ける確率が高まり、それによる合併症が無視できない

など。

 

その答えを出すため、実は数多くのランダム化試験が行われてきました。

 

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「ランダム化試験=スクリーニングを受けるかどうかがランダム」

ということなので、結果がそのまま解釈できる=バイアスがなさそうに見えますが、

実はそうでもありません

 

ランダム化で担保できることは、ベースラインでの交絡がない、ということだけ。

それがかなり大事なんですが。

 

「ランダム化試験なのにバイアスが生じてしまうメカニズム」

これを理解することが大事です。

色々ありますが、特に重要な3つを紹介します。

 

*癌がアウトカムのシナリオです

 

 

Lead-time bias

アウトカムが「〇〇癌と診断された人の中での死亡」とされた場合、生じるバイアスです。

 

当然スクリーニング群の方が、より早期に癌を検出しますね

(それが目的です)

するとこうなります:

・もしスクリーニングによって「いつ死亡するか」に全く影響がなかったとしても

=早く見つけたことによるメリットが集団レベルで無かったとしても

スクリーニングにより癌検出が早くなったという理由だけで

癌検出〜死亡までの時間=survival timeが、スクリーニング群に長くなる

 

Lead-timeというのは、発見されるまでの時間の差を意味します。

つまり「追跡開始=survival timeのカウント開始」となるまでに、2群で差があると、バイアスにつながるということ。

 

*臨床研究では、よく「術後30日からイベントをカウントする」というアウトカムを採用する場合、lead-time biasが生じます。

というのは、その30日間で2群の死亡率に差がある場合がほとんどだから。

もしランダム化していたとしても、追跡開始になった時点で、全然comparableな比較になっていないのです。

 

このバイアスにより、スクリーニングの効果が過大評価されてしまいます。

Lead-timeがどれくらいなのかわかれば調整できますが、それは個人レベルの話なので、わかりません。

よってこのバイアスを調整する方法はありません。

→つまりアウトカムの定義が妥当でないということです。

→単純に「振り分け時〜死亡」を比較すれば、Lead-time biasは生じません。

 

 

Length-time bias

これも、アウトカムが「〇〇癌と診断された人の中での死亡」とされた場合、生じるバイアスです。

 

スクリーニングで発見される癌はゆっくり進行するものが多いのです。

なぜなら、急速に進行するものはスクリーニングの間隔内で有症候性になってしまうから。

よってこうなります:

スクリーニング群の癌患者は、概して進行が遅い、性質が良い癌ばかり。

・非スクリーニング群と比較すると、この「診断された癌の性質の違い」が生存率に影響する

→これだけで、スクリーニング群で予後が良い結果となる

 

このバイアスにより、スクリーニングの効果が過大評価されてしまいます。

これも、アウトカムの定義が妥当でないということを意味します。

→単純に「振り分け時〜死亡」を比較すれば、Length-time biasは生じません。

 

 

Volunteer bias

これは有名かもしれません。

「スクリーニングに参加する人は、健康意識の高い人が多い」ということから生じるバイアスです。

 

観察研究では、「健康意識」というのがUnmeasured confounderになる、という意味合い。

ランダム化試験では、スクリーニングのアドヒアランスに影響します

つまり:

・健康意識が低い人は、スクリーニング群に割り振られても、そのうちスクリーニングを受けなくなってしまう

・健康意識が高い人は、非スクリーニング群に割り振られても、そのうちスクリーニングを受けるようになってしまう

ということ。

*「スクリーニング」ということが二重盲検化できないことが原因です

 

対象集団によって、この影響は異なってきます。

アドヒアランスが低い時は、Intention-to-treat analysisの結果は信頼できません。

Per-protocol analysisを行うべきです。

*Per-protocol analysis = IV analysisであり、Mendelian Randomizationと一緒です(この記事参照)

 

 

まとめ

如何に良質なRCTでも、

・「〇〇癌と診断された人の中での死亡」というアウトカムはだめ。

→「振り分け時〜死亡」を比較すべき。

・アドヒアランスが低い時はPer-protocol analysisを行うべき

ということでした。

ではまた。

-疫学・臨床研究

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